散歩前やゴハン前、遊ぶときなどの愛犬の興奮吠え。「いぬのきもち」で行った愛犬の吠えのお悩みランキングでも、1位のチャイム吠えに続いて2位にランクインするなど、頭を悩ませている飼い主さんも少なくないでしょう。(※「いぬのきもち作り隊」の読者へのアンケート(計96人/複数回答、2024年4月実施)集計結果)
今回は、しつこい興奮吠えに効く解決法を、獣医師の藤本聖香先生に伺いました。
まずは確認! 吠えグセ直しの解決とは「吠え続けさせない」こと
吠えグセ直しには時間がかかります。そもそも犬は吠える生き物なので、数回吠えてもすぐにやめるようになれば解決といえるでしょう。最初からゼロを目指さずに、吠える時間が少しずつ減ればOKです。
吠えには理由がある! 愛犬のタイプを見極めよう
犬の吠えにはさまざまな理由があります。なかなか直らない場合は、吠えが習慣になっていたり、愛犬の気質が影響していたりする場合も。そのため、愛犬をよく観察してタイプに合ったアプローチをしてみましょう。愛犬のタイプの見きわめが難しければ、次に紹介する「タイプ別解決法」をひとつずつ試してみてください。
興奮吠えの王道解決法
興奮吠えの王道解決法は、愛犬が興奮しているうちは反応しないことです。
愛犬が興奮しているあいだは、とにかく何もしないことが大切。散歩やゴハンや遊びなど、愛犬にとって楽しいことはすべてストップして、「興奮しているあいだはいいことが起こらない」という状況にすると、そのうち自然とおさまっていくでしょう。
とくに散歩やゴハンのときは、お世話に対する責任感で飼い主さんが根負けしてしまいがちですが、繰り返すと「吠えればお世話をしてもらえる」と愛犬を勘違いさせてしまうので、グッとこらえて。
さらに、腕組みをしたり首をかしげたりしてクールな雰囲気を演出することで、愛犬に「飼い主さんの様子が変だぞ」と伝わると、愛犬が冷静さを取り戻すきっかけになります。
王道解決法でダメならタイプ別の解決法を
先述した方法で解決しない場合は、愛犬のタイプ別にアプローチしてみましょう。
【「吠えなきゃダメ」と覚えてしまったタイプ】「オシマイ」でクールダウン作戦
飼い主さんが何度か根負けしてしまったなどで、逆に「吠えればお世話がしてもらえる」と覚えてしまった犬なら、まずは興奮している時間を短くしましょう。「オシマイ」の指示でクールダウンさせることを続けるうちに、興奮が最小限になっていきます。
ふだんから遊びを終わらせるときに「オシマイ」の声がけを使うと、愛犬が終わりの前触れとして覚えるので、興奮をいち早く静めたいときにも効果的。散歩やお手入れ終了の場面で使ってもよいでしょう。
【そもそも興奮しすぎるタイプ①】 興奮自体をコントロール作戦
そもそも興奮しすぎる性格の犬なら、愛犬の興奮度合いを、飼い主さんが制御できる範囲内におさめるのが有効です。たとえばボールが大好きで見るだけで興奮しすぎてしまう犬なら、ボールはふだん使いせず、興奮しすぎないおもちゃを使ってみましょう。
犬は遊んでいるとだんだん楽しくなって興奮度合いが上がりますが、興奮のラインが一定を超えると制御が困難になります。低いうなり声を上げ始めたらクールダウンするなど、臨界点を見きわめて。
【そもそも興奮しすぎるタイプ②】 ストレス耐性UP作戦
飼い主さんが根負けしていると、愛犬が自分の要求が通らない場面でストレスがたまり、さらなる興奮を呼ぶことに。室内で脳トレになる遊びをしたり、ボールが好きな犬なら、散歩するときに口より大きいサイズのボールをくわえさせたりすると、ストレス発散の助けになるでしょう。
愛犬が興奮しても、その興奮をおもちゃで発散することができれば吠えの抑制につながります。長時間噛んでいられる丈夫で噛みごたえのあるおもちゃを用意しておいて、愛犬が興奮しそうになったら与えるのもよいでしょう。
吠えグセ直しは、毎日の積み重ねが大きなポイントになります。吠える時間が限りなくゼロに近づくよう愛犬と楽しく日々を積み重ねてくださいね。
お話を伺った先生/藤本聖香先生(英国APDT認定ペットドッグトレーナー 獣医師)
参考・写真/「いぬのきもち」2024年9月号『王道でもダメなら愛犬のタイプ別対策で 今度こそ!吠えを解決する!』
文/小林けい
※記事と写真に関連性がない場合もあります。