犬の足の筋力は、後ろ足から衰えていくといわれています。愛犬が一生元気で歩けるようにするには、若いうちからケアを始めることが大切です。今回は、屋外でできる「後ろもも筋トレーニング」について、獣医師の佐々木彩子先生に教えていただきました。
筋力は後ろ足から落ちる
犬の足の筋力は、後ろ足から落ちやすいことをご存じですか? 犬は前足に7割、後ろ足に3割の体重をかけているといわれ、前足に体重がかかるぶん後ろ足の筋力が衰えやすいのです。生涯元気な足を保つために、若いうちからしっかりトレーニングしましょう。
初級:ゆる上り坂トレ
坂道を上ると平らな道より負荷がかかるので、ももだけでなく後ろ足全体の筋肉を鍛えることができます。お散歩ルートのなかで坂がある場所を探しておき、愛犬に余裕があるときにチャレンジしましょう。ゆっくり上ると負荷がじんわりかかって効果がアップします。
中級:のんびり階段トレ&全力ダッシュ
階段を上るときは片足で体重を支える瞬間が生じるため、後ろ足の筋肉も鍛えられます。たまには階段のある散歩ルートを選ぶとよいでしょう。ゆっくり上るとさらに負荷がアップします。階段の段差は、愛犬の足の長さ以下のものを選びましょう。
また、全力ダッシュもおすすめ。地面を蹴り出すことで、後ろ足の筋肉をしっかり使えます。全速力で走れば走るほど鍛えられるので、広い場所を散歩できるときに、10秒〜数分間だけ思いっきり走らせてみましょう。
ほかにもある! 後ろもも筋にいいこと
トレーニング以外で、ふだんのお世話に取り入れるだけで後ろもも筋のケアになることをご紹介します。
滑りにくい床にして足腰の負担を軽減
フローリングなど滑りやすい床は、愛犬の足腰に負担がかかります。カーペットやマット、滑り止め効果のあるコーティング剤などを活用しましょう。
プールで泳いで股関節を強化
水中では、浮力で体にかかる負荷を軽減しながらトレーニングできます。小型犬なら家の浴槽をプール代わりにしてもよいですね。
アミノ酸やコラーゲンパウダーをフードにちょい足し
アミノ酸は筋肉をつくるたんぱく質のもとで、コラーゲンは筋肉や腱を丈夫にして関節の動きをなめらかにする働きがあります。持病などがなければ、フードにちょい足ししてみて。
さまざまな地面を歩いて脚力をキープ
砂浜や土の上など、歩きにくい場所ではしっかりと足を持ち上げて歩く必要があります。歩くだけで後ろ足のトレーニングになりますよ。
ブランケットや白湯で温めて筋肉をほぐす
愛犬が嫌がらないようなら、冷え込む朝は足腰にブランケットをかけたり、人肌程度の白湯を与えたりしてもOK。体を温めることで血流がよくなり、関節の可動域が広がって筋肉がほぐれやすくなります。
自分の足で歩けるということは、愛犬の気持ちを若々しく保つことにもつながります。愛犬のペースに合わせて、無理のない範囲でトレーニングを取り入れてみてくださいね。
お話を伺った先生/佐々木彩子先生(「キュティア老犬クリニック」獣医師 獣医中医師1級 獣医推拿整体師)
参考・写真/「いぬのきもち」2024年10月号『3才から始める 「一生歩ける!」のための後ろもも筋ケア』
※持病がある犬やハイシニア犬などは、かかりつけ医と相談のうえ行ってください。それ以外でも、愛犬がケガをしていたり体調不良の場合は控えましょう。また、無理はさせず、愛犬につらそうな様子やしぐさが見られたらただちに中止しましょう。
文/柏田ゆき