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犬が長生きできるようになって増えた病気って?

犬の平均寿命は延びつつあり、なかには20才というご長寿犬も。そのぶん症例が目立ってきている病気もあるといいます。そこで日々多くの犬を診ている獣医師の松木薗麻里子先生と酒巻江里先生に、近年目につく病気について伺いました。今回は「犬が長生きできるようになって増えた病気」をご紹介します。

イラスト/セツサチアキ
イラスト/セツサチアキ

【がん】細胞が老化すると遺伝子の変異を起こしやすくなり、腫瘍化のリスクが高まる

人と同様、犬も年をとって細胞が老化すると遺伝子レベルで変異が起きやすくなり、細胞が異常増殖するリスクが高まります。この異常増殖がいわゆる腫瘍で、悪性の「がん」の可能性も。それゆえ、シニア犬が増えるとがんの症例も増えるのです。

生殖器のがんは避妊・去勢手術が予防に

早期に避妊・去勢手術をすれば、卵巣腫瘍や精巣腫瘍など、生殖器のがんを予防する効果が期待できます。それ以外のがんは予防は難しいので、飼い主さんによる日々の健康チェックや、動物病院での定期的な健診で早期発見を心がけることが重要になってきます。

【認知症】脳の組織が年とともに変性して機能が低下。今までできていたことができなくなる

犬の認知症とは、加齢がもとで脳の機能が低下し生活に影響が出る状態。日本犬がなりやすいという声もありますが、実際にはどの犬もなりうるもので、高齢になるほど発症率が高まります。物事を認識、記憶する能力の衰えは犬によって出方が異なり、夜鳴きや徘徊のほか、呼びかけに反応しなくなる、そそうが増えるという犬も。

日中の散歩や遊びで夜鳴きなどの症状がやわらぐことも

早起きして日の光を浴びながら散歩する、嗅覚を利用した遊びをいっしょに楽しむなど、生活の中で脳に心地いい刺激を与えるようにして。認知症予防のサプリメントを与えるのも一手。完全な予防は難しいですが、発症を遅らせられるかも。もし発症してしまっても、早起きや散歩、遊びは続けて。症状の緩和に役立つでしょう。
イラスト/セツサチアキ
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【変形性脊椎症】加齢により関節軟骨が変性。周辺の骨が変形してしまう

背中が曲がる変形性脊椎症。背骨を支える軟骨の代謝異常が起きて変性することが原因。軟骨が背骨を支えられなくなるので、背骨同士がくっついて背中が曲がったような体格になり、痛みを伴うこともあります。軟骨の変性は加齢がもとで起きがちなため、シニア犬が増えると症例数も増加します。
イラスト/セツサチアキ
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若いときから適正体重をキープし、関節への負担を減らして

肥満は発症や症状の悪化につながりがちなので、若いときから適正体重をキープするように心がけて。激しすぎる運動も関節に負担なので避けます。発症してしまったら、関節によいとされるサプリメントや鎮痛薬を使用することが多いです。

【慢性腎臓病】腎臓の機能は年とともに少しずつ低下。シニアほど発症しやすくなる

年をとると、ほかの病気の影響などもあって腎臓がダメージを受けやすくなり、徐々に機能が低下。一度失った機能は回復することがないため、高齢になるほど慢性腎臓病のリスクが高まるとされています。慢性腎臓病は症状が出にくくひっそりと進行するので、シニアになってから明るみになった、という例も少なくありません。

腎臓に負担の少ないフードを与えて。水もしっかり飲ませよう

元気なうちは栄養バランスのとれたゴハンを与えることで腎臓へ負担をかけないようにします。また水をしっかり飲ませることで老廃物を出しやすくします。定期健診での確認も重要。病気が疑われたら、獣医師の診断のもと、食事療法のほか点滴や薬での治療も行います。
イラスト/セツサチアキ
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犬が長生きできるようになって増えた病気をご紹介しました。加齢による体の機能低下はやむを得ないものですが、上手に寄り添ってあげたいですね。
お話を伺った先生/フジタ動物病院医長・獣医師。松木薗麻里子先生 同獣医師・酒巻江里先生
参考/「いぬのきもち」2024年11月号『今、気をつけたい犬の病気12』
イラスト/セツサチアキ
文/いぬのきもち編集室
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