「ラブ」の愛称で親しまれている「ラブラドール・レトリーバー」。今回は、ラブラドール・レトリーバーの性格について解説します。他にも、基本事項や飼う上での注意点、現役飼い主さんの体験談もあわせてご紹介します。
ラブラドール・レトリーバーとは
歴史
ラブラドール・レトリーバーは、16世紀頃に北欧やイギリスの漁船に同乗し、北アメリカ大陸沿岸まで漁に出ていた犬が祖先といわれています。名前の「ラブラドール」には諸説ありますが、カナダの「ラブラドル半島」に由来するという説もあり、「レトリーバー」とは「獲物を回収する」という意味を持ちます。
その名の通り、ラブラドール・レトリーバーは、職業犬として海中に流された網を探してきたり、網からこぼれ落ちた魚を捕えて運んだりしていました。
標準体型
大型犬に属するラブラドール・レトリーバーの標準体型は以下の通りです。
・体高…オス:57cm前後/メス:55cm前後
・体重…オス:27.2~34kg/メス:25~31.7kg
毛の色や特徴
ラブラドール・レトリーバーの毛質はダブルコートの短毛で、硬くざらついた感触が特徴的です。水中で仕事をしていたこともあり、油脂分が多く防寒性や防水性、はっ水性に優れています。カラーは、ブラック、イエロー、チョコレートの3種類です。
ラブラドール・レトリーバーの性格とは
基本的な性格
盲導犬などとして活躍していることからもわかるように、人にやさしく従順で学習能力が高い犬種です。少し頑固なところもありますが、そのぶん「自分で判断して人のために動く」ということができる賢さを兼ね備えています。
また、陽気な一面もあり人に喜ばれることが大好きで、食いしん坊が多いともいわれています。このような性格も手伝い、美味しいごほうびと飼い主さんの喜ぶ顔のためならトレーニングを一生懸命頑張る、しつけがしやすい犬種ともされているのです。
毛色によって性格が違う?
詳しいことは明らかになっていませんが、ラブラドール・レトリーバーは、毛の色によって性格が異なるといわれています。盲導犬として活躍することが多いイエローは落ち着いた性格で、ブラックやチョコレートは活発な性格といわれることが多いようです。
子犬期はやんちゃな性格で大変って本当?
ラブラドール・レトリーバーの子犬は、非常にやんちゃです。成犬期に入ってもすぐには落ちつかず、中には2才を過ぎても興味のあるものに向かってダッシュしたり、飛びついたりする子もいます。
シニア期に入ると落ち着きが出ることが多いため、一緒にゆったりとした時間を過ごすことができるでしょう。
ラブラドール・レトリーバーを飼う上での注意点
しつけのコツや注意点
前述通り、ラブラドール・レトリーバーの子犬はやんちゃな子が多いので、子犬期のしつけは非常に重要です。飛びついたり引っ張ったりするような興奮を抑えるためにも、「マッテ」や「オスワリ」などの指示やクールダウンのしつけは必須事項です。
また、作業犬として活躍してきた犬種なので、頭を使う本能が満たされないと問題行動をおこすことがあります。「モッテキテ遊び」や知育おもちゃにフードを隠して探させるなど、頭を使う遊びやトレーニングを取り入れるようにしましょう。
運動時間はしっかりと取って
ラブラドール・レトリーバーは、運動が大好きです。散歩は最低30分~1時間、1日2回は連れて行くようにしましょう。しつけが完了した後は、ドッグランで自由に走り回らせることもおすすめです。また、水も大好きな犬種なので、海や川へのおでかけに連れていくのもいいでしょう。
こんな病気には注意!
ラブラドール・レトリーバーの毛質は脂っぽいので、「マラセチア性皮膚炎」などの皮膚病にかかりやすいです。定期的なシャンプーや清潔な住環境を保ち、予防に努めましょう。また、「股関節形成不全」の発症頻度が高いことがわかっています。発症すると歩き方に異常が見られますが、症状の有無にかかわらず、成犬になったら念のために動物病院で検査を受けることをおすすめします。
ラブラドール・レトリーバーの飼い主に聞く 飼いやすさと飼い方のコツ
「いぬのきもちアプリ」ユーザーの、ラブラドール・レトリーバーの飼い主さんに、実際に飼ってみてどう感じたかをアンケート調査しました。
※この調査は飼い主さんの主観によるものです。また犬の性質は同じ犬種でも個体によって異なります。
■思っていたより飼いやすい
- 「本などで、よく家具などをかじられるエピソードなどを目にしていたので、心配していていましたが、家の中で困ったことが一度もないので、とても平和に過ごしています」
- 「年をとった親といっしょに散歩に行っても、ゆっくり歩いてくれる。孫が生まれたときからやんちゃ盛りのときも、やさしく愛情深く接してくれる」
- 「10才からきたので、信頼関係を築けるか不安だったが、すぐになれてくれた。言葉が通じている気がする。ダメなことはダメと言葉で言えばやらなくなる。散歩も『リードしてない?』と思うくらい、引っ張らずのんびりしている」
- 「干してある洗濯物をかじったので、ダメと教えたら、それ以来鼻先にあっても、かじらなくなりました」
■思っていたより飼うのが大変
- 「ムダ吠えや引っ張りグセがあるので、しつけをきちんとしないとケガをしたり、まわりに迷惑をかけたりしてしまうところ」
- 「自分が入院したとき」
- 「大型犬で頭がいい犬種なので、イタズラがひどかった」
- 「体が大きく力も強いので、散歩などが大変でした。最期のときも、抱えて座らせてあげないと、オシッコをしなかったのですが、お父さんしか持ち上げられる人がいませんでした。大きい犬はとても愛情が大きくて幸せなぶん、大変なことも多いと感じました」
- 「思っていたよりも犬は好奇心旺盛だった。机の上になにげなく置いていたものをなんでもくわえて、最悪壊してしまう」
- 「病気のときに気づきにくい。常に観察していないといけない」
- 「前に飼っていた犬は穏やかだったが、新しい子犬は元気に走り回りすぎて、家の中を破壊しそうです」
アンケートでは、「思っていたより飼うのが大変」と回答した飼い主さんのほうが多い結果に。やはり大型犬を飼うには、飼い主さんの体力や犬をコントロールするテクニックなどが必要なのかもしれません。なお、「思っていたより飼いやすい」と回答した飼い主さんからは、「賢い」「やさしい性格」といった意見が寄せられました。
飼い主さんに聞いた!ラブラドール・レトリーバーってこんな犬!
それでは最後に、ラブラドール・レトリーバーを飼育している飼い主さんの体験談をご紹介します。
人の気持ちを察してくれるやさしさがあります(神奈川県Nさん)
落ち込んでいると寄り添ってくれます。まじめな話を夫としていると、言い争いをしていると勘違いして「まぁまぁふたりとも…」といわんばかりに間に入ってきます(笑)
アイコンタクトで意思を伝えてくれます!(岐阜県Hさん)
2才まではやんちゃで大変でしたが、その時期を過ぎるとウソのようにおとなしくなりました。今では、何かしたいことがあるときは必ずアイコンタクトで「やってもいい?」と聞いてくれます!
好奇心旺盛で温厚な性格です(神奈川県Iさん)
好奇心が旺盛で、新しいものや動くものになんでも興味を示してニオイを嗅ぎに行きます。おてんばですが温厚な一面もあり、同居犬のボルゾイがちょっかいを出しても怒りませんよ!
たっぷりの散歩で運動不足を解消!(鹿児島県Iさん)
運動が大好きなので、朝・昼・夕の1日3回ドッグランで思いっきり走らせています。ボールやおもちゃなど、いわれたものを持ってくるのが得意で、遊びながらパワーを発散しています。
「マッテ」のしつけは必須です!(愛媛県Oさん)
人が大好きでしっぽを振って誰にでもよっていきます。大きな体で飛びついて相手にケガなどをさせてしまわないように「マッテ」と「オスワリ」のしつけは必須ですよ。
今回は、ラブラドール・レトリーバーの一般的な性格を中心にご紹介しました。ただし、犬の性格は個体によっても異なるため、それぞれに合った接し方やしつけ方を見つけて上手に付き合っていくことが大切です。魅力的な性格が多いラブラドール・レトリーバーなら、きっと最高のパートナーになるはずですよ!
参考/「いぬのきもち」2017年7月号『犬連載シリーズvol.25 I Loveラブラドール・レトリーバー』(監修:代官山動物病院 獣医師 獣医行動診療科認定医 藤井仁美先生)
「いぬのきもち」WEB MAGAZINE『ラブラドール・レトリーバーの特徴・性格・飼い方』(監修:ヤマザキ学園大学 講師 危機管理学修士 福山貴昭先生)
監修/いぬのきもち相談室獣医師
文/hasebe
※写真はスマホアプリ「まいにちのいぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。