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犬は穀類が消化できない?グレインフリーのフードを獣医師が解説
犬が穀類を消化できないというのは本当でしょうか。そこで今回は、「グレインフリー」や「グルテンフリー」の詳細や与えることのメリット・デメリット、穀類の使用目的などから、その真偽について解説します。
グレインフリーとは?犬は「穀類」を消化できないって本当?
◇グレインフリーとは?
『グレイン』とは穀類を意味し、「グレインフリー」は、原材料に穀類全般を使用していないことを指しています。
◇グルテンフリーとは?
『グルテン』とは、麦類に含まれるたんぱく質の一種の呼び名で、「グルテンフリー」とは、おもにこのグルテンを含まないという意味であると同時に、広く麦類を避けるという意味でも使われることがあるようです。
◇犬に穀類を与えてはいけないの?
穀類に含まれる栄養素は主に炭水化物であり、そのほとんどが“でんぷん”です。でんぷんは、生の原材料のままでは、多くの動物にとって消化性が悪い栄養素だとされています。また、犬が野生動物だったころは、穀類を食べていなかったといわれているため、「犬に穀類を与えてはいけない」と考える方もいるようです。
しかし、当時の犬が穀類を食べていなかったのは、穀類に含まれる炭水化物をそのままの状態では消化できない理由からです。人がお米を炊いて食べるのと同じように、加熱や加工により消化性をアップすることで、犬も穀類を体内で消化することが可能になります(さまざまな加工をした穀類を与えたところ、フードに含まれる栄養素の60%くらいまでであれば、小腸で100%消化吸収されたという研究もあります)。つまり、ドッグフードの原材料に使用されている穀類については、炭水化物の消化性を考慮してきちんと加熱調理され、その消化性が高められているので、犬に与えても問題ないのです。
そもそも、現代の飼い犬は、オオカミと比べてもでんぷんの消化能力がはるかに高いことが研究で明らかになっており、同列に扱うことはできないでしょう。
そもそも穀類は何の目的でドッグフードに使用されているの?
穀類自体の定義は一定ですが、グレインフリーといったときにドッグフードメーカー間でその解釈が異なることがあります。一般的に、米や麦、トウモロコシ、キビなどといった『イネ科の種子』のことを指しますが、場合によっては豆類を含むこともあります。
◇ドッグフードに穀類を使用する目的やメリット
穀類は、犬種やライフステージ、特別なケアなどに合わせて、栄養バランスの細やかな調整をするうえで、欠かすことのできない栄養源です。前述のとおり、穀類は種類によって栄養分が異なりますが、使用する部位によってもその栄養バランスはさまざまです。
例えば『小麦』の場合、
・小麦胚芽…ビタミン類や必須脂肪酸、抗酸化成分が豊富
・小麦ブラン…食物繊維、ビタミン類が豊富
・小麦グルテン…良質なたんぱく質が豊富など
・デンプン・・・エネルギー源
また、トウモロコシの場合は、コーン油、コーンスターチ、コーングルテンミール、その他繊維やビタミン、ミネラルも全ての栄養素として有用に使われています。
このような穀類の特性をドッグフードにうまく活用すると、腎臓病の犬用には、影響を与えるリンの含有量が少ない原材料として小麦グルテンを使用したり、シニア犬用には、必要な抗酸化成分が豊富な小麦胚芽を使用したりと、それぞれの目的に合わせてドッグフードの栄養バランスをきめ細かく整えることができるのです。このことは、犬の健康を守るための大きなメリットといえるでしょう。
このように穀類は栄養バランスを整えるために使われていますが、適切な下処理をして消化性を高めた穀類由来の原材料は、肉類よりもコストがかかっている可能性があります。もちろん、価格についても選ぶ基準になるとは思いますが、栄養バランスが整っていて良質であることはメリットの1つといえるのではないでしょうか。
グレインフリーやグルテンフリーフードを与えるメリット・デメリットとは
アイリッシュセッターなどの犬種ではグルテンに対する不耐症が発症することがあります。そのような場合にはグルテンを含む麦類を原材料として使用していない食事(グルテンフリーのペットフード)をとることが推奨されます。グルテン以外の穀類に対してアレルギーを持つ場合には、穀類全般を含まないグレインフリーのペットフードを使用するとよいでしょう。
◇デメリット
使用する原材料が限定されることで、きめ細かな栄養バランスの調整ができなくなります。具体的には、炭水化物が少ない傾向にあるため、逆にタンパク質が増え、シニア犬にとっては内臓の負担となることもあります。
大前提として大切なのは栄養バランスなので、グレインフリーやグルテンフリーだけで判断することはできないということです。
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