人より地面に近い場所を歩いている犬にとって、熱中症はとても身近な病気です。この熱中症、夏だけでなく春にも起こり得る病気ということをご存じでしたか? この記事では、春も注意が必要な熱中症の症状や、応急処置の方法について解説します。
熱中症の時期とは?
「熱中症」と聞くと、夏の暑い日に発症する病気と思いがちではないでしょうか。しかし、熱中症は、実際は4月下旬のGW頃からの発生率がぐんと上がります。
真夏にはエアコンをつけたり、水分補給をこまめにしたりと、多くの人が意識して熱中症対策をするでしょう。一方で春は「まさか熱中症なんて」と、油断してしまうこともあるかもしれません。そのため、人はもちろん、全身を毛で覆われた犬にとって、春も熱中症に気を付けたい時期といってもよいでしょう。
熱中症ってどんな症状?
熱中症になると、どのような症状が見られるのでしょうか。熱中症の症状は、軽度、中等度、重度の3段階に分かれます。
軽度から中等度の熱中症の症状
- 元気がなく、ぐったりした様子が見られる
- 食欲がない
- 「ハアハア」と荒い呼吸している
- 大量のヨダレが出ている
- 吐き気や嘔吐
- 下痢をしている
- 40℃以上の熱がある
重度の熱中症の症状
- ふらつきが見られる
- けいれん発作
- 意識がない
- ショック状態
上記のような重度の熱中症の場合は、最悪命を落とすこともあり、大変危険な状態です。一方、適切な処置を行い、幸い命は助かったとしても、急性腎不全や播種性(はしゅせい)血管内凝固、脳障害など、合併症を引き起こす恐れもあります。これらの合併症に伴い、慢性腎不全や肝障害、脳障害などの後遺症が残ることもあるのです。
このように、熱中症はとても怖い病気です。
応急処置の方法を知っておこう
「いつもと様子が違う?」と思ったら、まず、犬を涼しい場所へ移動させましょう。そして、水や保冷剤を使って急いで体を冷やします。このとき、首や脇、後ろ足の付け根に保冷剤をあてると、より早く体を冷やすことができます。
意識がある場合
意識がはっきりしているなら、体を冷やしながら水を飲ませても良いでしょう。ただし、飲み込みにくそうな様子が見られる場合は、無理に飲ませる必要はありません。
なお、愛犬の症状が落ち着いたとしても、体の中はダメージを受けている恐れがあるので、当日中に受診するようにしましょう。
意識がない場合
意識がない、または、けいれんしているなどの症状が出ている場合は、重度の熱中症が疑われます。身体を冷やしながら、すぐに受診しましょう。かかり付けの病院が遠いなら、すぐに診てもらえるよう近くの病院を受診してください。なぜなら、熱中症は処置の早さが予後に大きく影響を与えるからです。
春も熱中症には気をつけよう!
つい先ほどまで元気だった犬が、突然死んでしまうかもしれない……熱中症はどんな犬にでも起こり得る恐ろしい病気です。春先から夏にかけて、発生件数が急増する熱中症、十分注意してくださいね。
参考/「いぬのきもち」WEB MAGAZINE『犬の熱中症についてのまとめ~症状、原因、対策、予防法、治療法』(監修:いぬのきもち相談室獣医師)
文/しばたまみ
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。