愛犬が「ちょっと太ってきたな」と感じているのに、「かわいいから、まぁいいかな……」とそのままにしちゃうことってありますよね。しかし犬も人と同じで、肥満は病気のリスクを高め、寿命にも影響を与えるといわれています。今回は、近年増えてきている犬の肥満について解説します。
肥満はなぜ怖い? 代表的な病気を紹介
肥満は「万病のもと」ともいわれており、驚くべきほど多くの病気の要因となります。骨や関節に負担がかかるだけでなく、内臓への悪影響も大きいです。肥満が原因の一旦となる、犬の代表的な病気を6つ紹介します。
●糖尿病
肥満になると、血糖値を下げるインスリンの働きを弱めます。それに伴うさままざな影響が体内に生じ、最終的に血糖値が常に強い状態になる糖尿病を発症します。糖尿病になると、網膜症や白内障など、さまざまな合併症を引き起こすこともあります。
●膵炎
肥満の原因ともなる高脂肪の食事をとっていると膵臓への負担が大きくなり、膵臓の消化機能がうまく働かなくなる可能性が。本来十二指腸へ分泌される膵液が膵臓そのものに悪影響を及ぼすと、炎症(=膵炎)を起こします。
●呼吸器疾患
肥満のために首の周囲に脂肪がつくと、気道が圧迫され、呼吸がしづらくなることがあります。セキやいびきの原因となったり、呼吸のしづらさから体温を下げることが難しくなり、熱中症などにかかりやすくなることも。
●心臓病
体重が増えるほど体内に血液を送る量は多くなり、心臓の大きさは変わらないので、結果、心臓への負担が増えることに。肥満は、心臓病の発症リスクを高めるとともに、心臓病特有のセキの頻度も高くなりがちです。
●骨関節炎・椎間板ヘルニア
重症化すると歩行困難になってしまうこともある骨関節炎・椎間板ヘルニア。肥満によって足腰への負担が大きくなると、骨や関節の病気を引き起こす原因になったり、症状を悪化させることになります。
●尿路疾患
膀胱炎や尿石症など尿路疾患にはさまざまな原因がありますが、太って内臓脂肪が増えると、尿路を圧迫し、尿の通路を妨げたり、炎症を起こす原因になったり、病状を悪化させる可能性があります。
あなたの愛犬は大丈夫? 肥満度をチェック
上記のような病気にならないためにも、子犬期からしっかりと食事法を管理して、肥満を防ぎましょう。下記の項目に当てはまるものが多い場合は要注意です。
- 最近寝ている時間が多くなった
- 立ち上がるときに動作が遅くなったと感じる
- 1カ月以内に体重を量ったことがない
- やたらと食事を欲しがることがある
- つい「おやつ」を与えている
- 最近便秘気味である
- 真上から見て腰のくびれがなくなった
- なんとなくおなかが出てきた
- 運動が足りないと思っている
- 最近ジャンプをしなくなった
- 四肢がやせてきたと感じる
もしも、「愛犬は肥満かも?」と不安な方は、動物病院を受診しましょう。
肥満は早目に気づいて対処することが大切です!
参考/愛犬との暮らしをもっと楽しむ『いぬのきもち』2018年11月号「いま、気をつけたい犬の現代病 肥満」特集(監修:日本動物病院協会認定獣医内科認定医・NPO法人小動物疾患研究理事長 小宮山典寛先生)
イラスト/石山綾子
文/ichi