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【獣医師監修】犬にコーヒーは絶対にNG。飲んでしまったときの症状と対処方法

犬にとってコーヒーは中毒を起こす危険なものです。犬にコーヒーを与えてはいけません。また、愛犬がコーヒーを誤飲しないよう、飼い主さんは細心の注意が必要です。最悪の場合、死に至ることもある犬のカフェイン中毒。その原因と症状、誤飲してしまった場合の対処法を紹介します。

佐野 忠士 先生

犬はコーヒーを摂取してはいけない。命の危険あり

コーヒーカップとコーヒー豆
SB/gettyimages
犬にコーヒーを飲ませてはいけません。
毎日コーヒーを飲む習慣のある飼い主さんや、愛犬を連れてカフェに行く飼い主さんは、美味しいコーヒーを愛犬にも少しお裾分けしてみようと思うこともあるかもしれません。しかし、コーヒーは、犬にとってカフェイン中毒を引き起こすたいへん危険なものです。

飲ませるのはもちろんのこと、自分のカップから少し舐めさせたりするのもNG。テーブルの上にこぼれたコーヒーを愛犬が舐めたりしないよう、コーヒーカップは愛犬の手の届くところに置かず、こぼれたコーヒーはすぐに拭き取ってください。

なお、「ミルクで薄めてあるカフェオレならOK?」と考えるのもいけません。
カフェオレはミルクを加えても美味しく感じられるよう、通常のコーヒーより濃く抽出してある場合があり、ミルクが半分だったとしても含まれるカフェインの量が多いことに変わりはないからです。

犬がコーヒーを摂取してはいけない理由|カフェイン中毒は命に関わる可能性も

カフェのテラス席でバギーに乗って口を開けて笑っている茶色のトイ・プードル
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
コーヒーが犬にとってよくないのは、「カフェイン」という成分が含まれているからです。
コーヒーには、「カフェイン」や「ポリフェノール」など、人間の健康を増幅させる効果があるといわれている成分が多く含まれています。しかし、人間にとってメリットになる成分が、必ずしも犬にとってもよいとは限りません。
「カフェイン」とは、犬にどんな作用を及ぼすものなのか理解しておきましょう。

カフェイン|中枢神経を刺激し、興奮させる

カフェインは「アルカロイド」という有機化合物の一種です。中枢神経を刺激し、覚醒させる作用があり、一般的には眠気を覚ます効果や利用効果があると知られています。さらに、近年では自律神経の働きを高めたり、集中力を高め手作業能率を上げたりする効果もあるとして注目を集めています。

その一方で、人間でも過剰摂取をすると目眩や心拍数の増加、興奮、震え、不眠症、下痢、吐き気など健康上の問題が起こる場合があります。最近、カフェインを多く含むドリンクを過剰に飲んで体調を崩す人が出たことから、厚生労働省もカフェインを多量摂取しないよう、注意を呼びかけているほどです。

ましてや犬は人間より体が小さく、少しの量の摂取でも人で「かなりの量」を摂取してしまうのと同じ状況となってしまうことが多いです。また、カフェインに対して強く反応が出てしまうことが多い(≒感受性が高い)ので、わずかな量でもカフェイン中毒になる恐れがあります。

お菓子などもコーヒー成分のあるものはNG、カフェインレスにも要注意

液体状のコーヒーはもちろんのこと、コーヒー牛乳やコーヒー豆、コーヒーのパウダー、またカフェインを含むキャンディーやクッキー、ケーキなどのお菓子類も犬に与えてはいけません。

また、「カフェインレスコーヒーなら大丈夫」と考えるかもしれませんが、じつはカフェインレスコーヒーはカフェインを90%以上除去したもので、「カフェインゼロ」ではありません。

愛犬にドッグフード以外のものを与えるときは、必ず含まれる成分をチェックし、カフェインが含まれているものは絶対に与えないでください。

危険な量の目安

犬がコーヒーを誤飲した場合の危険量目安は以下のとおりです。
致死量は体重1kgあたり100mg〜200mg(コーヒーカップ約1杯)程度だといわれています。

ちなみに、コーヒー製品100gあたりのカフェイン含有量は以下のとおりです。


  • インスタントコーヒー 60mg

  • ドリップコーヒー 135mg

  • エスプレッソコーヒー 140mg

  • コーヒーゼリー 40mg



いずれにしても、愛犬がコーヒーをほんの少しでも舐めているところを見たら、ただちに動物病院を受診しましょう。

コーヒー以外にもカフェインを含む食材に要注意!

じつは、カフェインを含む食材はコーヒーばかりではありません。
カフェインを含むおもな飲み物は以下のとおりです。製品100g中に含まれるカフェイン量を紹介しておきます。


  • 紅茶 30mg

  • 玉露 160mg

  • 煎茶 20mg

  • ウーロン茶 20mg

  • コーラ 10mg〜13mg

  • 栄養ドリンク 30mg〜50mg


※カフェインの含有量は商品により異なります。

いずれも一般家庭に常備している飲み物が多いので、犬を飼っている場合は犬が誤飲しないように管理を徹底しましょう。

犬がコーヒーを飲んだときに見られる症状|興奮、嘔吐、下痢、けいれんなど

フローリングの床に横たわっている茶色い柴犬
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
犬がコーヒーを飲んでしまい、カフェイン中毒になった場合の症状には、以下のようなものが考えられます。

中毒・アレルギーが考えられる症状

◆初期症状

  • 興奮して落ち着きがなくなる

  • よだれが多くなる

  • 呼吸が速くなる


こうした初期症状が見られた場合も軽く考えず、ただちに動物病院を受診することをおすすめします。


◆中期症状

  • 嘔吐

  • 下痢


初期症状を過ぎると、嘔吐や下痢など中毒症状が見られるようになり、ぐったりとしてきます。ただちに動物病院を受診し、獣医師の指示に従ってください。


◆重篤症状

  • けいれんする

  • 筋肉が硬直する

  • 呼吸不全を起こす


これらの症状が見られるとたいへん危険です。犬のカフェイン中毒は重篤な場合、1分1秒が命に関わる可能性があり、最悪の場合、死に至ることもあります。すぐに動物病院を受診し、獣医師の指示に従ってください。

症状が出るまでの時間

個体差はありますが、多くの場合は犬がコーヒーを誤飲してから1〜2時間後に中毒症状が現れるといわれています。

ただし、先述した危険な量の目安はあくまでも一つの目安です。少量でも誤飲してしまった(誤飲したことが疑われる)場合には、必ずかかりつけの獣医師に連絡してすぐに対応してください。

犬がコーヒーを誤飲してしまった場合の対処方法

床の絨毯に顔をつけて、少し困った表情を浮かべる茶色のパグ(口のまわりは黒)
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
万が一、愛犬がコーヒーやカフェイン成分を含む食べ物を口にしてしまい、上記のような症状が見られた場合は、必ず動物病院で診察を受けましょう。

病院へ

病院に行く際には、以下の内容をメモしていくと診察及び処置がスムーズに進みます。

  • コーヒーやコーヒー関連食品を誤飲・誤食した時間(何時間前か)

  • どんな種類のコーヒーまたはコーヒー関連食品を誤飲・誤食したのか(パッケージなどがあるとベター)

  • 誤飲・誤食したおおよその量


まずは、飼い主さんがパニックにならないことが大切です。万が一のときに落ち着いて行動できるよう、深夜でも受診できる動物病院を探しておくこともおすすめします。

病院での治療方法

犬のカフェイン中毒の治療法としては、症状を緩和させる対症療法のみとなります。解毒剤などはありません。
胃の中にある有毒成分を吐き出させることで症状がおさまるケースもあります。そのためにも、愛犬がコーヒーを誤飲したのを発見したら、早く診察を受けることが大事です。

なお、胃の中の物を吐き出させる「催吐処置」は、獣医師が行うべき医療行為のひとつです。飼い主さんが無理に吐かせようとするのはとても危険なので、絶対にしないでください。

病院で行うおもな治療は以下のとおりです。

◆催吐処置

胃の中身を吐かせる「催吐処置」を行う場合があります。犬が嘔吐を催しやすい薬剤を使い、犬の体に負担をかけないよう注意しながら行われます。

◆点滴・投薬

症状を改善するために、点滴や経口での投薬が必要になるケースもあります。

犬のコーヒー誤飲を防ぐ方法

こちらを見つめるパグの子犬(薄茶色で口のまわりは黒)
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
飼い主さんが愛犬にコーヒーを与えなくても、日常生活の中には愛犬がコーヒーを誤飲する危険性がたくさんあります。
誤飲してしまうケースの例と、コーヒー以外に犬に与えてもよい飲み物を紹介します。

犬がコーヒーを誤飲してしまうケースは?

以下のようなときは、飼い主さんが目を離した隙に誤飲する可能性があるので、要注意です。

  • コーヒーをテーブルの上や床にこぼしたとき

  • コーヒーを抽出した後のコーヒー豆カスをゴミ箱に入れたとき

  • ペット同伴のカフェやお店に連れて行ったとき

コーヒーの代わりに犬が飲めるものは?

コーヒーの代わりに犬が飲めるドリンクを知っておくと、愛犬と一緒のおやつタイムやカフェタイムが楽しくなるかもしれません。

コーヒーの代わりに犬が飲めるもの1:麦茶

麦茶にはカフェインが含まれていないので、中毒の心配がありません。さらに、香ばしい麦の香りは犬の興味を惹くので、水を飲みたがらない犬の水分補給にも役立つでしょう。

ただし麦茶にはミネラルが豊富に含まれているので、腎臓病などを患っている犬には負担になる場合があります。愛犬の体調や年齢などを考慮して与えるようにしましょう。何らか病気がある場合は、必ずかかりつけの先生に相談することをおすすめします。

コーヒーの代わりに犬が飲めるもの2:100%ジュース

果物を絞った100%ジュースも犬が飲んでよいドリンクです。
犬が食べられるフルーツを使ったジュースなら、ビタミン、カリウム、カルシウムなどフルーツ類の栄養をそのまま摂取させることができます。

しかし市販の100%フルーツジュースは、糖分を加えているものも多く、飼い主さんが考えている以上に高カロリーです。また、犬に有害な原材料が使われている可能性もあるので、飼い主さんがフルーツを絞った手作りジュースを与える方が安心です。

犬にコーヒーを与えるのは絶対にNG ! カフェインに要注意

愛犬と一緒に美味しいものを共有したい飼い主さんの気持ちはわかりますが、コーヒーは犬にカフェイン中毒の原因になる危険な飲み物です。

コーヒーでなくてもカフェイン成分の入っている飲み物や食べ物は、絶対に愛犬に与えてはいけません。愛犬の健康と命を守るのは飼い主さんの責任です。愛犬がうっかりコーヒーやコーヒー関連の飲み物や食べ物を口にしないよう、くれぐれも気をつけましょう。

万が一、愛犬がコーヒーを誤飲してしまったときは、速やかにかかりつけ医に相談、指示に従ってください。
監修/佐野忠士先生(酪農学園大学獣医学群獣医学類准教授)
文/村田典子
※一部写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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