犬と暮らす
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【獣医師監修】犬にコーヒーは絶対にNG。飲んでしまったときの症状と対処方法
犬にとってコーヒーは中毒を起こす危険なものです。犬にコーヒーを与えてはいけません。また、愛犬がコーヒーを誤飲しないよう、飼い主さんは細心の注意が必要です。最悪の場合、死に至ることもある犬のカフェイン中毒。その原因と症状、誤飲してしまった場合の対処法を紹介します。
佐野 忠士 先生
酪農学園大学獣医学群獣医学類准教授
酪農学園大学附属動物医療センター 集中治療科診療科長
日本獣医畜産大学(現 日本獣医生命科学大学)卒業
東京大学大学院農学生命科学研究科獣医学専攻博士課程修了
北里大学獣医畜産学部および同大学獣医学部勤務
日本大学生物資源科学部獣医学科勤務
●資格:獣医師/博士(獣医学)/世界的獣医心肺蘇生ガイドラインインストラクター(RECOVER インストラクター)/CCRP
●所属:日本獣医麻酔外科学会/日本獣医学会/日本獣医師会/日本動物リハビリテーション学会/動物臨床医学研究所/日本麻酔科学会/日本臨床モニター学会
●主な診療科目:麻酔科/集中治療科
●書籍:『asBOOKS チームで取り組む獣医師動物看護師のためのICU管理超入門』/『as BOOKS チームで取り組む獣医師・動物看護師のための輸液超入門』/『動物看護師のための麻酔超入門・改訂版』 など多数
犬はコーヒーを摂取してはいけない。命の危険あり
毎日コーヒーを飲む習慣のある飼い主さんや、愛犬を連れてカフェに行く飼い主さんは、美味しいコーヒーを愛犬にも少しお裾分けしてみようと思うこともあるかもしれません。しかし、コーヒーは、犬にとってカフェイン中毒を引き起こすたいへん危険なものです。
飲ませるのはもちろんのこと、自分のカップから少し舐めさせたりするのもNG。テーブルの上にこぼれたコーヒーを愛犬が舐めたりしないよう、コーヒーカップは愛犬の手の届くところに置かず、こぼれたコーヒーはすぐに拭き取ってください。
なお、「ミルクで薄めてあるカフェオレならOK?」と考えるのもいけません。
カフェオレはミルクを加えても美味しく感じられるよう、通常のコーヒーより濃く抽出してある場合があり、ミルクが半分だったとしても含まれるカフェインの量が多いことに変わりはないからです。
犬がコーヒーを摂取してはいけない理由|カフェイン中毒は命に関わる可能性も
コーヒーには、「カフェイン」や「ポリフェノール」など、人間の健康を増幅させる効果があるといわれている成分が多く含まれています。しかし、人間にとってメリットになる成分が、必ずしも犬にとってもよいとは限りません。
「カフェイン」とは、犬にどんな作用を及ぼすものなのか理解しておきましょう。
カフェイン|中枢神経を刺激し、興奮させる
その一方で、人間でも過剰摂取をすると目眩や心拍数の増加、興奮、震え、不眠症、下痢、吐き気など健康上の問題が起こる場合があります。最近、カフェインを多く含むドリンクを過剰に飲んで体調を崩す人が出たことから、厚生労働省もカフェインを多量摂取しないよう、注意を呼びかけているほどです。
ましてや犬は人間より体が小さく、少しの量の摂取でも人で「かなりの量」を摂取してしまうのと同じ状況となってしまうことが多いです。また、カフェインに対して強く反応が出てしまうことが多い(≒感受性が高い)ので、わずかな量でもカフェイン中毒になる恐れがあります。
お菓子などもコーヒー成分のあるものはNG、カフェインレスにも要注意
また、「カフェインレスコーヒーなら大丈夫」と考えるかもしれませんが、じつはカフェインレスコーヒーはカフェインを90%以上除去したもので、「カフェインゼロ」ではありません。
愛犬にドッグフード以外のものを与えるときは、必ず含まれる成分をチェックし、カフェインが含まれているものは絶対に与えないでください。
危険な量の目安
致死量は体重1kgあたり100mg〜200mg(コーヒーカップ約1杯)程度だといわれています。
ちなみに、コーヒー製品100gあたりのカフェイン含有量は以下のとおりです。
- インスタントコーヒー 60mg
- ドリップコーヒー 135mg
- エスプレッソコーヒー 140mg
- コーヒーゼリー 40mg
いずれにしても、愛犬がコーヒーをほんの少しでも舐めているところを見たら、ただちに動物病院を受診しましょう。
コーヒー以外にもカフェインを含む食材に要注意!
カフェインを含むおもな飲み物は以下のとおりです。製品100g中に含まれるカフェイン量を紹介しておきます。
- 紅茶 30mg
- 玉露 160mg
- 煎茶 20mg
- ウーロン茶 20mg
- コーラ 10mg〜13mg
- 栄養ドリンク 30mg〜50mg
※カフェインの含有量は商品により異なります。
いずれも一般家庭に常備している飲み物が多いので、犬を飼っている場合は犬が誤飲しないように管理を徹底しましょう。
犬がコーヒーを飲んだときに見られる症状|興奮、嘔吐、下痢、けいれんなど
中毒・アレルギーが考えられる症状
- 興奮して落ち着きがなくなる
- よだれが多くなる
- 呼吸が速くなる
こうした初期症状が見られた場合も軽く考えず、ただちに動物病院を受診することをおすすめします。
◆中期症状
- 嘔吐
- 下痢
初期症状を過ぎると、嘔吐や下痢など中毒症状が見られるようになり、ぐったりとしてきます。ただちに動物病院を受診し、獣医師の指示に従ってください。
◆重篤症状
- けいれんする
- 筋肉が硬直する
- 呼吸不全を起こす
これらの症状が見られるとたいへん危険です。犬のカフェイン中毒は重篤な場合、1分1秒が命に関わる可能性があり、最悪の場合、死に至ることもあります。すぐに動物病院を受診し、獣医師の指示に従ってください。
症状が出るまでの時間
ただし、先述した危険な量の目安はあくまでも一つの目安です。少量でも誤飲してしまった(誤飲したことが疑われる)場合には、必ずかかりつけの獣医師に連絡してすぐに対応してください。
犬がコーヒーを誤飲してしまった場合の対処方法
病院へ
- コーヒーやコーヒー関連食品を誤飲・誤食した時間(何時間前か)
- どんな種類のコーヒーまたはコーヒー関連食品を誤飲・誤食したのか(パッケージなどがあるとベター)
- 誤飲・誤食したおおよその量
まずは、飼い主さんがパニックにならないことが大切です。万が一のときに落ち着いて行動できるよう、深夜でも受診できる動物病院を探しておくこともおすすめします。
病院での治療方法
胃の中にある有毒成分を吐き出させることで症状がおさまるケースもあります。そのためにも、愛犬がコーヒーを誤飲したのを発見したら、早く診察を受けることが大事です。
なお、胃の中の物を吐き出させる「催吐処置」は、獣医師が行うべき医療行為のひとつです。飼い主さんが無理に吐かせようとするのはとても危険なので、絶対にしないでください。
病院で行うおもな治療は以下のとおりです。
◆催吐処置
胃の中身を吐かせる「催吐処置」を行う場合があります。犬が嘔吐を催しやすい薬剤を使い、犬の体に負担をかけないよう注意しながら行われます。
◆点滴・投薬
症状を改善するために、点滴や経口での投薬が必要になるケースもあります。
犬のコーヒー誤飲を防ぐ方法
誤飲してしまうケースの例と、コーヒー以外に犬に与えてもよい飲み物を紹介します。
犬がコーヒーを誤飲してしまうケースは?
- コーヒーをテーブルの上や床にこぼしたとき
- コーヒーを抽出した後のコーヒー豆カスをゴミ箱に入れたとき
- ペット同伴のカフェやお店に連れて行ったとき
コーヒーの代わりに犬が飲めるものは?
コーヒーの代わりに犬が飲めるもの1:麦茶
ただし麦茶にはミネラルが豊富に含まれているので、腎臓病などを患っている犬には負担になる場合があります。愛犬の体調や年齢などを考慮して与えるようにしましょう。何らか病気がある場合は、必ずかかりつけの先生に相談することをおすすめします。
コーヒーの代わりに犬が飲めるもの2:100%ジュース
犬が食べられるフルーツを使ったジュースなら、ビタミン、カリウム、カルシウムなどフルーツ類の栄養をそのまま摂取させることができます。
しかし市販の100%フルーツジュースは、糖分を加えているものも多く、飼い主さんが考えている以上に高カロリーです。また、犬に有害な原材料が使われている可能性もあるので、飼い主さんがフルーツを絞った手作りジュースを与える方が安心です。
犬にコーヒーを与えるのは絶対にNG ! カフェインに要注意
コーヒーでなくてもカフェイン成分の入っている飲み物や食べ物は、絶対に愛犬に与えてはいけません。愛犬の健康と命を守るのは飼い主さんの責任です。愛犬がうっかりコーヒーやコーヒー関連の飲み物や食べ物を口にしないよう、くれぐれも気をつけましょう。
万が一、愛犬がコーヒーを誤飲してしまったときは、速やかにかかりつけ医に相談、指示に従ってください。
文/村田典子
※一部写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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