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【獣医師監修】犬にエビを与えるときは注意が必要。与えるメリットとデメリットを解説

犬にエビを与えるときは、必ず加熱してから。エビには犬の体にメリットとなる栄養が豊富な一方、生のエビには体調不良や中毒の原因となる物質が含まれています。また、エビは甲殻類アレルギーの原因にも。犬の体に役立つエビの栄養素とともに、与える際の注意点を紹介します。

佐野 忠士 先生

犬にエビを与えるとき、生は絶対にNG ! アレルギーにも要注意

ざるの上の海老
hungryworks/gettyimages
エビは、タンパク質が豊富で、ビタミンE、ビタミン12、タウリンなど、犬の体に役立つ栄養素を豊富に含んでいますが、犬に与えるときは注意が必要です。

まず、犬に生のエビを与えるのは絶対にやめてください。エビに含まれる酵素「チアミナーゼ」は、犬の体内でビタミンB1欠乏症を引き起こす物質で、体調不良のもとになります。しかし、十分に加熱することで効力をある程度失くすことはできます。エビの栄養を愛犬の健康に役立てるなら、茹でる、蒸す、焼くなど熱を加えてから与えましょう。

そして、また注意したいのが甲殻アレルギーです。エビやイカ。カニなど甲殻類に分類されるものに対してアレルギー反応を示す人がいるように、犬にも稀に甲殻類アレルギーがあります。たとえ加熱したとしても、アレルゲンになる可能性はなくなりません。甲殻類アレルギーがあるとわかっている犬には、エビを絶対に与えないでください。また、アレルギーがあるかどうかわからない犬に与えるときも、注意が必要です。

さらに、エビやイカ、カニなどの甲殻類は、犬にとって消化が悪い食べ物です。犬は人間に比べて胃や腸が小さいため、もともと消化が得意な動物とはいえません。そのため、消化が悪いエビを食べると、消化不良を起こす可能性が高いのです。消化不良は嘔吐や下痢の原因となり、食欲の低下や脱水を引き起こしかねません。たとえ加熱や乾燥したエビであっても、大量に食べれば消化不良になる可能性が高いので、与える量には注意が必要です。

エビのおもな栄養素| タンパク質が2割強と豊富

黄色い毛糸で編んだ帽子を顔に巻き付け、舌を少し出して笑っているチワワ
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
エビ(大正エビ)に含まれるおもな栄養素 ※数値は可食部100gに含まれる成分
エネルギー89kal
水分76.3g
タンパク質21.7g
脂質0.3g
炭水化物0.1g
灰分(無機質)1.6g

文部科学省「食品データベース」https://fooddb.mext.go.jp/index.plより参照

犬がエビを食べるメリット|体内の若さと健康維持をサポート

首を傾けて微笑んでいる茶色いトイ・プードルの顔アップ
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
犬の体にメリットとなるエビの栄養素について紹介します。

ビタミンE|抗酸化作用でアンチエイジング

エビにはビタミンEが含まれています。ビタミンEには、体内に発生した細胞膜にダメージを与える活性酸素を除いてくれる抗酸化作用があり、病気の予防や老化防止に役立つと考えられます。

ビタミン12|若さのキープ、貧血防止

ビタミン12は、動物性の食品にだけ含まれる栄養素で、エビにも豊富に含まれています。
ビタミンB12は、タンパク質の合成や血液の赤血球の色素であるヘモグロビンの生成に関わり、老化防止や貧血防止などに役立ちます。

タウリン|コレステロール低下

タウリンは、タンパク質が分解される過程で生成されるアミノ酸のような物質で、エビのほかにもイカやタコ、貝類に多く含まれている栄養素です。
タウリンは、コレステロールや中性脂肪の低下、心臓や肝臓の機能アップ、視力の低下や動脈硬化を抑制するなど、さまざまな効果があるといわれています。
犬はもともと体内で「システイン」と「メチオニン」というアミノ酸からタウリンを作ることができますが、年齢を重ねると十分な量を作れなくなってくるので、食べ物やサプリメントで補うのもよいかもしれません。

タンパク質|高タンパクで低脂肪

タンパク質は、血液や筋肉など体を作るうえで欠かせない成分であると同時に、エネルギー源としても役立ちます。
エビには可食部100gあたり21.7gもの豊富なタンパク質が含まれています。
タンパク質の多い食べ物は、一般的に脂肪分が多い傾向がありますが、エビはタンパク質含有量のわりには低脂肪な食べ物なので、比較的安心してフードのトッピングに使えるでしょう。

もちろん、総合栄養食のドッグフードを与えていれば、タンパク質が不足することはまずありませんが、ドッグフードをあまり欲しがらず体力低下が心配されるときに、愛犬が好むならエビでタンパク質を補うのもよいかもしれません。

犬がエビを食べるデメリット|ビタミンB1欠乏症、アレルギーの心配あり

石の上に行儀よく座り、笑っているような表情を見せている2匹の柴犬
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
エビを犬に与えるデメリットとして飼い主が覚えておきたいことは、次の通りです。

チアミナーゼ|過剰摂取でビタミンB1欠乏症の心配

「チアミナーゼ」は、ビタミンB1を分解、破壊する酵素で、過剰に摂取することで体内のビタミンB1を減少させてしまいます。
ビタミンB1は、体の活動に必要なエネルギーを作り出したり、正常な神経伝達を行ったりするのに必要な栄養素。「ビタミンB1欠乏症」になると、食欲不振や嘔吐、痙攣、筋力の低下やふらつきなどの体調不良を起こし、最悪の場合は命を落とすことにも。

ただし、チアミナーゼは70度以上の熱で十分に加熱すれば、効力をほぼ失うといわれています。犬にエビを与えるときに、必ず加熱するのは、そうした理由からなのです。

トロポミオシン|甲殻類アレルギーを発症する心配

エビには「トロポミオシン」というタンパク質が含まれていて、これがアレルギーを引き起こす原因となります。トロポミオシンは、加熱すると多少は減少しますが、完全になくなるわけではありません。チアミナーゼが加熱すれば効力を失うからといって、アレルギーも心配ないと思い込むのは危険です。

犬がエビを食べてアレルギーを起こすと、体の痒み、嘔吐、下痢、脱毛、体温の低下などの症状が見られます。アレルギーが起こるアレルゲンの量には、個体差があるので注意しましょう。

犬にエビを与えるときの注意ポイント|殻としっぽは取り除き、必ず加熱を

口を開けて笑っている毛がふさふさのポメラニアン、顔アップ
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
「犬に与えるときは、殻やしっぽも与えて OK?」そんな疑問を持っている飼い主さんも多いようです。与えてよい部位、与えると適量、与えるときの調理法について解説します。

与えてよい部位

エビの殻は消化しにくいので、犬に与えるときは取り除いてください。
また、天ぷらやエビフライのしっぽを好んで食べる人もいますが、犬にとっては殻と同じように消化に悪く、喉に詰まらせる恐れもあるので、必ず取り外し、身の部分だけを与えましょう。

与えるときの適量

犬にエビを与える場合は、体重に合わせて以下の量を目安にしてください。ただし、あくまでもカロリー上の算出値なので、主食(総合栄養食)の摂取を阻害しない量にとどめることが大切です。
また、犬の年齢や健康状態によっては、特定栄養素の過剰摂取につながることもあるので注意しましょう。

犬の体重目安1日あたりの摂取可能目安
小型(2~5kg)21g~42g(中2尾~中4尾)
中型(6~15kg)48g~96g(中4尾~中8尾)
大型(20~50kg)119g~237g(中5尾~中20尾)

※大正エビ中1尾の可食部12gとして算出
※数値は、避妊・去勢済みの犬で体重相応のおやつ(1日の総摂取カロリー目安の1割)として算出

調理方法

先述したように、ビタミンB1分解酵素のチアミナーゼの活性を抑えるために、必ず加熱してください。
加熱方法は、油などを使わず、茹でる、蒸す、焼くがおすすめ。味付けは一切不要です。

えびせんなどのエビの入ったおやつは大丈夫?

えびせんのほか、エビを使った食べ物はたくさんあります。加熱・乾燥されているものはよほど大量に与えない限り、アレルギーを心配する必要はありませんが、最初は少量にしましょう。また、えびせんに限らず、人間用のおやつや料理は塩分や油分が多すぎるため、与えてはいけません。

加熱したエビなら犬に与えてOK。ただし、アレルギーには注意して!

エビは、犬にとってメリットとデメリットの両面があることを紹介しました。愛犬の健康と命を守るのは、飼い主の責任です。「人間が食べているものだから大丈夫だろう」と安易に与えるのは、とても危険なことです。エビにアレルギーがないかどうかわからない場合は、まず少量を与えてみて、体調に変化がないかどうかを観察することが大切です。愛犬が愛くるしい目で欲しがっても、安易に与えず、また与える際は適量と与え方の注意点を守ってください。
監修/佐野忠士先生(酪農学園大学獣医学群獣医学類准教授)
文/村田典子
※一部写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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