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【獣医師監修】犬にレモンを与えるときは注意が必要。与えるメリットとデメリットを解説

ビタミンCが豊富で体によいイメージのあるレモン。人工的な食べ物ではないので犬に与える心配は低いと考えられがちですが、じつは与えるにあたっては少し注意が必要です。犬がレモンを食べるメリットとデメリット、与える際の与え方と注意点について解説します。

佐野 忠士 先生

犬にレモンを与えるときは犬には強過ぎる匂いと刺激に要注意

フレッシュレモンのイメージ
kuppa_rock/gettyimages
レモンは、一般的にビタミンCが多い食べ物の代表格として認識されていて、自分の美容と健康のためには積極的に摂りたいと考える人もいるかもしれません。たしかに、レモンには抗酸化作用のあるビタミンCやクエン酸などが含まれる栄養価が高い食べ物で、中毒を引き起こすような有害物質は含まれていません。

しかしながら、人間にとって役立つ食べ物であっても、犬にとってはあまり役立たない、もしくはかえって体によくない場合もあります。レモンもそのひとつといえるでしょう。

そもそも犬はレモンのような強い酸の匂いは苦手で、飼い主さんがよかれと思ってフードにレモンを搾って与えたりすると、かえって食べないという結果になることも。さらに、レモンの強い酸味は消化器官の弱い犬には大きな負担となります。
また、レモンには人間の疲労回復や血糖値の上昇を抑えるのに役立つとされるクエン酸が豊富に含まれていますが、酸味のもとになっている成分なので、犬にとっては刺激を与え過ぎる好ましくない栄養素ともいえます。

体調の悪い犬に与えると悪化してしまう場合もあるので、レモンは犬に積極的に与えたい食べ物ではないと考えられます。

レモンのおもな栄養素|各種ビタミンが豊富

耳が茶色、顔の中心と胴体が白いパピヨンの顔アップ
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
レモンに含まれるおもな栄養素 ※数値は可食部100g(レモン果汁)に含まれる成分
エネルギー24kal
水分90.5g
タンパク質0.4g
脂質0.2g
炭水化物8.6g
灰分(無機質)0.3g

文部科学省「食品データベース」https://fooddb.mext.go.jp/index.plより参照

犬がレモンを食べるメリット|さまざまなビタミンで体調を整え、病気を予防

芝生の上に腹ばいに座り、舌を出しているカニーンヘン・ダックスフンド
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
レモンの栄養素のなかで、犬の体に役立つと考えられる栄養素と働きを紹介します。

ビタミンC|病気の予防とアンチエイジング

ビタミンCは、コラーゲンを作るのになくてはならない栄養素で、毛細血管や歯、骨を健康に保つほか、鉄分の吸収や解毒やホルモン代謝のサポート、活性酸素を除去する抗酸化作用があります。愛犬の健康を守り、老化防止にも役立つ栄養素といえるでしょう。

ただし、一般的にレモンはビタミンCが豊富な食べ物というイメージがありますが、可食部同量比でレモンより多くビタミンCを含む野菜はブロッコリー、水菜、ピーマン、菜の花などたくさんあるので、あえて犬が苦手で体調不良の原因になりかねないレモンでビタミンCを与える必要はないといえます。

ちなみに、犬は肝臓でブドウ糖からビタミンCを合成できるので、従来、食べ物など外部から摂取する必要のない栄養素であると考えられてきました。しかし、最近の研究結果から犬も5歳を過ぎると、ビタミンC合成能力が低下することが明らかになりました。そのため、犬の年齢や体調によっては、食べ物や薬から摂取したほうがよいこともあります。

ビタミンB群|エネルギー代謝を促進して健康を維持

ビタミンB群とは、「ビタミンB1・B2・B6・B12」「ナイアシン」「葉酸」「パントテン酸」「ビオチン」の8種類。脂肪や炭水化物、タンパク質、糖の代謝をサポートすることで、エネルギーを生み出すのに役立ちます。レモンにはこれらが少量ずつ含まれていますが、とくに多いのはビオチン、ナイアシン、パントテン酸、葉酸です。

ビオチン

ビタミンB1は、皮膚や粘膜の健康を維持するのに役立つ栄養素です。ビタミンB1が不足すると、皮膚トラブルが起こりやすくなったり、毛艶が悪くなったりする場合があります。また、歩行障害や筋力低下の原因にもなります。

ナイアシン

ナイアシンは、ビタミンB3ともいわれ、細胞の代謝促進や肝臓の代謝をサポートします。

パントテン酸

ビタミンB5ともいわれ、エネルギー代謝にかかわっている栄養素です。不足すると、犬の皮膚炎などの原因になります。

葉酸

「ビタミンB9」ともいわれ、DNAの合成にかかわる栄養素。細胞の生産や再生をサポートする働きもあります。また、葉酸は赤血球の生産にもかかわっているので、不足すると貧血や口内炎の原因になります。

ビタミンA群|皮膚や被毛の健康維持

レモンにはβカロテンが含まれています。βカロテンは、犬の体内で必要な分だけビタミンAに変換され、犬の皮膚や被毛の健康維持や丈夫な歯や骨を作るのに役立ちます。

ビタミンE|抗酸化作用で生活習慣病を予防

ビタミンEには、病気や老化の原因となる活性酸素を除去する抗酸化作用があります。ビタミンEは、体内で細胞膜を守るために働いたあと、「ビタミンEラジカル」という体にとってよくない成分に変わってしまいますが、体内にビタミンCがあれば、また元のビタミンEに戻ることができます。レモンにはビタミンEとCが同時に含まれているので、体へのよりよい効果が期待できるでしょう。

犬がレモンを食べるデメリット|強い刺激で胃にダメージの心配あり

ウッドデッキに立って口を開け、下で上唇を舐めて上を見上げているストライプの洋服を着たパグ
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
犬にレモンを与える際に考えられるデメリットを紹介します。

そもそも犬は、酸味の強いものが嫌い

レモンの酸っぱい匂いとツンとする香りは、犬にとって強過ぎる刺激です。一度レモンを舐めたり、食べたりするとあまりの酸っぱさに驚いて、二度とレモンを食べようとしない犬も多いようです。「犬はレモンが苦手」という習性を利用して、レモン成分が配合された犬用のしつけスプレーも発売されているほどです。

ビタミンC不足を補うためにドッグフードにレモンをのせたり、レモン汁をかけたりすると、かえって愛犬が食べなくなってしまう可能性があるので、避けたほうがよいでしょう。

レモンの酸味成分が胃を刺激して不調の原因に

レモンは犬が少し食べたり舐めたりしただけでも、犬にとっては刺激が強く、胃の不調を引き起こす可能性が。大量にレモンを食べてしまうと、中枢神経系が抑制されたり、炎症を引き起こしたりする場合もあります。

犬にビタミンCを与える場合は、犬にとって刺激が強過ぎるレモンではなく、ビタミン系のサプリやビタミンCを含む他の食材を選ぶことをおすすめします。

まれに食物アレルギーになることも

食物アレルギーは、タンパク質に免疫機能が過剰反応することで、皮膚の痒みや湿疹、下痢、嘔吐などの症状を引き起こす現象です。レモンにも果汁100gあたり0.4gと少量ながらタンパク質が含まれているので、アレルギーの原因となる可能性はゼロではありません。

犬にレモンを与えるときの注意ポイント|皮と種を取り除き、絞った果汁を与えよう

黒い皮張りのソファに腹ばいに座っているミニチュア・シュナウザー
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
犬にレモンを与える場合は、以下の点に注意してください。

与えてよい部位

レモンの皮には「リモネン」という植物性の化学物質「ファイトケミカル」が含まれていて、リモネンの香りは爽やかな柑橘系の香りで、芳香剤やアロマとしても用いられています。犬にとって「アロマ効果としてはOK」「犬には刺激臭なのでNG」という両方の情報がありますが、柑橘系の酸っぱい匂いを嫌う犬は多く、レモンの香りも犬には刺激が強過ぎます。
もし愛犬にレモンを与えるとしたら、与えてよいのは、実の部分だけです。

与えるときの適量

先述したとおり、レモンは犬に積極的に与えたい食材ではありません。もし与えるとしても酸味や柑橘系の匂いが気にならない程度の極々少量に留めてください。

調理方法

皮は取り除き、犬が消化しにくい種も取り除きます。実をそのまま与えるのではなく、絞った果汁をフードに混ぜるなどして与えましょう。

レモンはあえて犬に与えなくてもよい食べ物!与えるなら少量で

レモンそのものは栄養価が高く有毒な物質が含まれているわけではありませんが、犬が食べると胃の具合が悪くなったり、量が多いと皮膚に炎症ができたり、中枢神経が抑制されたりしてしまう可能性があります。そもそも犬はレモンの刺激臭と酸っぱさは苦手なので、あえて与えるメリットはありません。また、病気がある犬やシニア犬にビタミンCやクエン酸を摂取させたいと考えるなら、ビタミンC配合のドッグフードか犬用サプリメント、ビタミンCを含むほかの食材を選ぶとよいでしょう。
監修/佐野忠士先生(酪農学園大学 獣医学群 獣医学類 准教授 )
文/村田典子
※一部写真はスマホアプリ「まいにちのいぬのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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