愛犬の目やにが気になるときは、一度動物病院を受診してみましょう。ここでは、犬の目やにの症状や原因となる病気、対処法についてご紹介します。犬の目やにの症例写真も掲載しているので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
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【動物病院に連れて行くべき?】犬の目やにの原因と症状
目やにとは、目の表面についたホコリや老廃物、目を保護している粘液などが混じりあってできるもののこと。人と同じように、犬も生理現象として目やには出るので、少量であれば健康に影響はありません。
ただし、目やには目の病気が引き金となって出ることもあります。ここでは、あまり心配のいらない目やにの特徴と、病気の疑いがある目やにの特徴を見ていきましょう。
あまり心配のいらない目やに
黒っぽい目やに
犬の目についたゴミやホコリが固まると、黒っぽい乾燥した目やにが出ることがあります。
茶色や灰色の目やに
目の細胞の分泌物や老廃物が固まると、茶色や灰色っぽい目やにが出ることがあります。このタイプの目やには、とくに寝起きに見られることが多いです。
白い目やに
目頭にたまる白くトロッとした目やには、皮脂腺の分泌物や目の粘液のかたまりです。続くようなら動物病院を受診したほうが安心ですが、2~3日に1回出る程度なら問題ないでしょう。
老犬になると目やにが増えることも
また、犬は年を重ねると目やにが出やすくなることがあります。これは、年齢とともに代謝が衰えて涙の量が減り、老廃物などが目にたまりやすくなるのが原因です。そのため、若いころに比べて目やにの量が増えたとしても、朝起きたときに少し目やにがつく程度であれば、心配いらないでしょう。
病気の疑いがある目やに
目を覆うように目やにが出ている
ドライアイなどで涙の量が減ると、目の表面が乾いて粘度の高い目やにが大量に出ることがあります。重度の結膜炎などでも同じような目やにが出ることが。
黄色い膿のような目やにが出ている
ドロッとした黄色っぽい目やには、結膜炎やドライアイの初期症状などで見られやすいです。これ以上悪化させないよう、なるべく早く治療を始めましょう。
水っぽい目やにが出ている
水っぽい目やにが見られたら、結膜炎や角膜炎が起こり始めているサインかもしれません。その後、白や黄色の目やにに変化したり、量が増えたりした場合は悪化しているおそれも。
目やにが臭い
犬の目やにが臭いときは、菌が繁殖している可能性があります。放っておくと結膜炎などの病気を引き起こしたり、目のまわりの被毛が変色する涙やけの原因になったりするので、こまめに拭いてあげるようにしましょう。
犬の目やにの原因として考えられる主な病気
では、犬の目やにの原因として考えられる病気について、詳しく見ていきましょう。
角膜炎
角膜炎は、角膜に刺激が加わることで発症する病気です。外傷性のものと非外傷性のものがありますが、非外傷性の場合は、両目に症状があらわれることが多いでしょう。犬が角膜炎になると、目やにや涙の量が増えたり、しきりに目を気にしたりするなどの症状が見られます。
結膜炎
結膜炎は、まぶたの裏と眼球の表面を覆っている粘膜(=結膜)が、アレルギーや細菌感染などで炎症を起こす病気です。結膜炎になると目が赤く充血したり、目やにや涙が出たりするほか、かゆみや痛みを伴うため、目を開きにくそうにしたり、しきりに目を気にしたりすることもあります。
角膜炎や結膜炎については、以下の記事も参考にしてください。
ドライアイ(乾性角結膜炎)
ドライアイは、涙の量が減少することで目の表面が乾燥し、結膜や角膜に炎症を起こす病気のこと。ドライアイになると、粘性の目やにが出るほか、目の充血やまぶたのけいれんといった症状が見られます。重症化すると、視力障害や失明の危険もあるので注意が必要です。
眼瞼内反症(逆さまつげ)
眼瞼内反症(がんけんないはんしょう)は、まぶたの先が眼球側に反り返ってしまうことで、まつげなどが目に入り、目やにや涙が出たり、痛みや炎症を起こしたりする病気のことです。遺伝的な原因が多く、進行すると結膜炎や角膜炎を引き起こすこともあります。
ぶどう膜炎
ぶどう膜とは、眼球の中の虹彩・毛様体・脈絡膜といった部位の総称で、ぶどう膜炎はこれらが炎症を起こした状態を指します。犬がぶどう膜炎になると、目の充血や目やになどの症状が見られるほか、目の痛みから頻繁にまばたきをしたり、目を床にこすりつけるしぐさをしたりすることも。また、緑内障などのほかの目の病気を引き起こすおそれもあります。
白内障
白内障とは、本来透明であるはずの水晶体の一部または全体が白くに濁り、視覚が失われていく目の病気です。ごく軽度の白内障では、目がうっすらと濁ったように見える程度ですが、症状が進行すると徐々に目の色が真っ白になってしまうほか、ぶどう膜炎などの合併症を引き起こし、目やにを含むさまざまな症状が見られることがあります。
犬の白内障の詳しい情報は、以下の記事をご覧ください。
犬の目やにの対処法
目やにが大量に出るなど、病気が疑われる場合は必ず動物病院を受診し、原因を探ることが大切です。また、あまり心配のいらない目やにの場合は、自宅できちんとケアをして、清潔を保ってあげましょう。
自宅でできる目やにのケア
指先に水をつけてふやかす
目頭などに目やにがついているときは、水をつけた指先でしばらくの間軽く押さえて湿らせると、スルッと取れます。このとき、指先が目に当たらないように気をつけましょう。
目の下の縁の被毛が固まっていたらふやかして
目やにや涙などで目の縁の被毛が固まっていたら、よくぬらしたコットンで押さえ、ふやかして拭き取りましょう。ふやかさずにほぐそうとすると、被毛が抜けることもあるので、注意が必要です。
コットンやウエットシートが目に入らないように要注意
目やにを拭く際、ウエットシートやコットンが目に当たりそうになっても、目をつぶらない犬もいます。ウエットシートやコットンが当たると眼球が傷ついたり、痛みを感じて嫌がったりすることがあるので注意しましょう。
固まった目やにを無理やり引っ張るのはNG
先述したとおり、固まったままの目やにをつまんで引っ張ると、毛が抜けたり痛みを感じたりすることがあります。犬の目やにを取るときは、必ず水をつけてふやかしてからにしてください。
動物病院での治療が必要な場合
犬の目やにの治療例
犬の目やにの治療法は、原因となっている病気によって異なります。たとえば角膜炎の場合は、まずは目をきれいに洗眼し、抗生剤や消炎剤などの目薬による治療を行うのが一般的です。場合によっては、内服薬や注射などによる治療が併用して行なわれることもあるでしょう。
また、眼瞼内反症で目やにが出ているときは、外科手術が根本的な治療法とされています。しかし、軽度の場合は角膜や結膜を刺激しているまつ毛を抜いたり、目薬による内科的治療を継続的に行ったりすることで、症状が改善するケースもあるようです。
目薬を点すなど、自宅できちんとケアすることも大切
目やにが出ているときは、自宅でのケアも欠かせません。動物病院で目薬や眼軟膏を処方されたときは、必ず獣医師に指示されたとおり投与するようにしましょう。また、ウエットシートやコットン、ガーゼなどを使い、こまめに目やにを拭き取ってあげることも大切です。
なお、愛犬の目やにの量が減ったなど、目の状態がよくなったからといって自己判断で断薬・減薬するのはやめてください。とくに結膜炎などの場合は再発しやすく、放置すると炎症が広がるおそれもあるので、最後まできちんと治療を続ける必要があります。
また、目薬は、動物病院で処方されたものを使いましょう。
愛犬の目やにが気になったら動物病院へ
犬の目の病気は早い段階で治療を行うことで、重症化を防いだり、症状の進行を抑えたりできるものが多いです。病気の早期発見・治療のためにも、愛犬の目やにが気になるときは、一度かかりつけの動物病院で診てもらいましょう。
犬の目やにに関する情報は、以下の記事もあわせて参考にしてみてください。
参考・写真/「いぬのきもち」2018年8月号『目ヤニ、耳アカ、オシッコ、できもの……etc.ひと目でキケンがわかる!愛犬のカラダから出たもので気づく病気大事典』
「いぬのきもち」2019年1月号『子犬に必要なしつけとお手入れを紹介!さいしょの一歩』
監修/いぬのきもち相談室獣医師
文/ハセベサチコ
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。