しつけでよく聞くウワサ、実はウソかも!?
犬のしつけにまつわるウワサは色々ありますが、例えば昔は正しいとされていたことが、後から科学的に否定されてしまったものなど、なかには本当かどうかわからないものも……。誤ったウワサを信じたままでいると、愛犬との関係にヒビが入ってしまうかもしれません! 今回は、しつけでよく聞くウワサが本当かどうか、プロにジャッジしていただきました。
<判定してくれたプロは……>
荒井隆嘉先生
東京都台東区にある犬のしつけ教室DOGLY代表。日本動物病院協会認定家庭犬しつけインストラクター。愛犬はDOGLYの看板犬しじみちゃん(メス・7才/3.2kg/チワワ/甘え上手)。
ウソつきには犬は従わない?
「このおいしいおやつ、あげちゃおうかな……な~んてね! やっぱりあげない!」など、愛犬がかわいいあまりに、ついイタズラしてしまう飼い主さんも多いことでしょう。しかし、こういったイタズラを繰り返しているうちに、愛犬がなんとなく疑い深くなったり、指示を聞いてくれないなんてことも……。そこでよく聞く噂が「犬はウソつきには従わない」というものですが……。
<プロのジャッジ>ホント!
これはホントです!
イタズラの内容にもよりますが、しつけは愛犬との信頼関係のうえに成り立っているものですから、ウソをつくと信頼度が低下して、しつけに影響が出ることも考えられるのだそうです。愛犬がいくらかわいいからと言って、あまりからかいすぎるのはよくないかもしれませんね。
多頭飼いをするとしつけがラクになる?
続いては、多頭飼いの飼い主さんでよく聞くウワサです。後から犬を迎えると、飼い主さんがしつけを頑張らなくても、先輩犬が後輩犬を代わりにしつけてくれることがあるというものですが……。本当のところはどうなのでしょうか?
<プロのジャッジ>慎重に!
「後輩犬が先輩犬のマネをすることはあるかもしれませんが、犬が犬をしつけることはないと思います。また、相性が悪い犬同士だと、お互いの存在がストレスになることもありますので、多頭飼いの決断は慎重に!」とのことでした。
しつけがラクになるかも♪と期待しすぎるのは、避けたほうが無難ですね。
噛まれたらハウスに入れればいい?
あま噛みされたときは、罰としてハウスに入れるといいという噂もよく聞こえてきます。罰としてハウスに入れれば、物理的に噛めない状況になるうえに、愛犬もなんとなく反省してくれそうなものですが……。
<プロのジャッジ>ウソ!
これはウソです!
というより、ハウスを「おしおき場所」として使うのは、愛犬がハウスを嫌がるようになってしまうのでNGです。
もしかしたらストレスがたまっているかもしれないので、ハウスに閉じ込めるよりも、噛んでいいおもちゃを与えてみてもよいでしょう。
手を噛まれたら、グーの手を口に突っ込むといい?
続いても、噛みにまつわるウワサです。手をあま噛みされたときは、手をグーのカタチにして、犬の口の奥まで突っ込むといいというものです。犬の口の中にこぶしを突っ込むなんて、だいぶ勇気がいるように思いますが……。
<プロのジャッジ>ウソ!
これはウソです。
こぶしを口の中に突っ込まれることが、すごく嫌だと感じた場合はあま噛みしにくくなることはあるようですが、愛犬の口の中を傷つける、手に歯が刺さるなど、犬にとっても人にとっても危険なのでやめましょう。
それに、人の手を怖がる犬にさせてしまうのも避けたいですね。
犬はゴハンをくれる人に一番なつく?
犬は食べることが大好きなので、ゴハンをくれる人に一番なつくというウワサはよく聞くものですが、これは本当なのでしょうか?家族のなかでもしゴハンを与える人と、散歩をする人などでお世話を分担しているとしたら、ゴハンを与える人だけなつかれるのって、なんだか不公平な気がしますが……。
<プロのジャッジ>グレーゾーン
これは断定が難しい質問なのでグレーゾーンです。
「何よりも散歩が好き!」というタイプの犬もいますし、なでられるのが一番好き!というタイプの犬もいるでしょうから、ゴハンを与えることだけが関係性のすべてを左右するとはいえないですよね。
ただ、接する時間が多い人のほうが、より親しまれやすいと思います。そして、お世話の分担をすることはとってもすばらしいことです!
フェイクにまどわされず、愛犬と良好な関係を築こう
いかがでしたか? 真偽のわからないウワサは多々ありますが、どのウワサも誰かが試行錯誤した結果のひとつかもしれません。愛犬にぴったりな情報をみきわめて、有効活用できるとよいですね。
参考/『いぬのきもち』2019年4月号「気になるあの"しつけのうわさ"ウソ?ホント?を判定!」(監修:DOGLY代表 荒井隆嘉先生)
イラスト/Yu Tokumaru
文/影山エマ