現在、「犬に体罰をしていけない!」という考え方は主流で、多くの飼い主さんも「感情に任せて犬を叩いたりしてはいけない」と気をつけていることでしょう。しかし、飼い主さんが「愛犬のため」に行っているしつけやお世話のなかには、じつは愛犬が「体罰を受けている!」と感じているかもしれないものも……。
家庭犬しつけインストラクターの戸田美由紀先生に伺いました。
1. リードを乱暴に引いて「ダメ」を伝えるのはNG
たとえば拾い食いなどを止めようと、いきなり愛犬のリードを乱暴に引っ張っても、愛犬はただ「痛い、驚いた」と嫌な思いをするだけ。また引き方が強いと、愛犬が首の骨を痛めてしまうかもしれません。
こうしよう!
拾い食いを防ぐなら、愛犬の名前を呼び、こちらに気をひいてその場を通り過ぎ、できたらほめて。リードを強く引かずにすむようにしましょう。
2. そそうやイタズラをマズルをつかんで注意するのはNG
マズルをつかんで注意すると犬には強いストレスになり、関係悪化につながりかねません。また、飼い主さんの手に対して恐怖を覚えて問題行動が悪化する可能性もあります。
ちなみに、時間があった後に振り返って叱る飼い主さんもいますが、それもNG。犬は過去のことを言われても何のことか理解できないため、注意する飼い主さんに対して嫌だなぁと感じるだけです。
こうしよう!
そそうやイタズラを後から注意したり、体罰で教えようとしたりするのではなく、されないよう事前に予防したり、トイレのしつけ直しをするといいでしょう。
3. 排泄のたびに陰部やお尻をゴシゴシ拭くのはNG
愛犬をきれいにしたい一心で、陰部やお尻を強く拭いているケースを見受けますが、じつはこれもプチ体罰。敏感な部位だけに、強く拭けばヒリヒリして痛がったり皮膚を傷つけたりすることがあります。
こうしよう!
汚れが体についていないなら拭かなくてもOK。拭くときは、汚れた部分にウエットシートを
静かに2~3回あてがい押さえ拭きをすれば、やさしく拭くことができます。
4. 逃げたがる愛犬を押さえこんで歯みがきするのはNG
逃げるということは歯みがきを嫌がっている証拠。たとえ愛犬のためにしていることでも、嫌がるまでするのはプチ体罰に。そのまま同じやり方で続けると飼い主さんとの関係も悪化しがち。
こうしよう!
お手入れは犬が受け入れている間にほめてやめて。嫌がってからやめているとお手入れ
にいい印象がつかず、いつまでも慣れません。
愛犬の関係性をチェックしよう!
もし、上記で紹介したしつけやお世話を愛犬にしていて、下記のような様子が見られたら、関係性が悪化しているかもしれません。
□目を合わせなくなる
□ 触らせてくれない
□ 抱っこしようとすると逃げる
□ お手入れを嫌がる
愛犬が不快になることはなるべく避けて、愛犬から信頼されるやり方に切り替えていきましょう!
参考/「いぬのきもち」2020年2月号『かわいがっているつもりのアノ行動が……じつはストレスになっていた! NO MORE! DOGハラスメント』(監修:戸田美由紀先生 日本動物病院協会認定家庭犬しつけインストラクター)
撮影/佐藤正之
文/ichi
※撮影モデルには、しつけやお世話のNG例を演じてもらっています