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愛犬の噛みグセ直しでやってはいけない3つのこと
成犬になってからも噛みグセが直らない…。それはもしかすると、「もう噛まれたくない!」と思ってしていた飼い主さんの対策が、逆に愛犬の「噛む」行動を助長させていたのかもしれません。
「噛まれないためにはOOOした方がいい」と、さまざまなしつけの方法が色々な場所で語られていますが、愛犬が「噛む」理由は状況によって全く違うので、シチュエーションに合わせて対策を取る必要があります。
今回は、ケース別に「やってはいけない噛みグセ対策」を紹介します。
※噛む行動のしつけ直しは危険を伴うため、不安を感じる方はしつけのプロなど専門家の指導のもと行いましょう。
①「携帯電話を触っているとき」に噛んでくる
飼い主さんはとくに何もしていないのに、愛犬の方から近づいて噛んでくるケースです。
【NG対策】大声でしかる
飼い主さんがケータイを触っている、テレビを見ているなど、じっとしているのに愛犬が噛んでくるケースは、「飼い主さんにかまってほしい!」と思って噛んでいる可能性が高いです。
そん時、飼い主さんが「痛い!」「やめて!」「噛まないで!」と怒っても、愛犬は「噛んだら反応してくれた」と逆に喜んでしまうことがあります。かまってほしくて噛む行動は、子犬期によく起こる行動で自然と直るケースも多いですが、「噛むとかまってもらえる」と覚えた犬は、関心を引くために噛む行動を繰り返してしまいます。
【解決策】かまえないときは、おもちゃを与えて
愛犬にかまえないときはひとり遊び用のおもちゃを与えて、退屈させないようにしてあげましょう。
一人遊び用に与えるおもちゃは、ゴム製おもちゃがオススメ。内側にチーズを塗ると、長い時間楽しんで遊んでくれます。
こういったケースは、「噛まれたらどうするか?」に目を向けるのではなく、愛犬がなぜ噛んでくるのか考えて、噛ませない対応を事前にすることが重要です。
②「愛犬の食事中に近づく」と噛んでくる
飼い主さんが「食事中に食器からこぼれたフードを拾う」「部屋を移動していてたまたま愛犬に近づく」「空のボウルを回収しようとする」といった行動をしたときに反応して、噛んでくるケースです。
【NG対策】罰としてフードを取り上げる
愛犬がこういった攻撃行動を見せるのは、飼い主さんのことを「自分の食事を奪う存在」だと認識しているからです。罰として「フード」を取り上げても、愛犬は「噛むとダメだからやめよう」と学習するのではなく、飼い主さんに対して抱いている不信感が増すだけ……という残念な結果になる可能性も。
飼い主さんに対しての信頼性を失うと、よりフードを守る意識が強くなり、攻撃行動も悪化することがあります。
【解決策】食器にフードを継ぎ足しながら、食事をさせる
一度にすべてのフードを与えるのではなく、食器に足しながら与えていきます。そうすることで、飼い主は「フード奪う存在」ではなく「フードを足す存在」だと伝えます。
具体的には、まずは安全のためにも距離をとってフードを投げ入れることから始めましょう。
慣れてきてうなる行動も減ってきたら、食器に触れながら食器の中にフードを入れるといいでしょう。犬の威嚇が続くようなら、すぐに中止してください。
時間をかけて慣らしていきましょう。
③「くわえている物を取ろうとする」と噛む
靴下やスリッパなど、飼い主さんがかじってほしくない物を取り返そうとしたときに噛んでくるケースです。
【NG対策】強引に取り返す
「噛んだら、飼い主さんが取ろうとするのをやめた」と愛犬に覚えさせないために、「噛まれてもひるまずに、強引に取り返す」という対策。一見筋が通っているように思えますが、この対策はNGです。
愛犬は飼い主さんのことを「自分の大切な物を奪う存在」だと覚えてしまい、信頼関係が崩れてしまいます。このような対策を繰り返していると、噛まれる頻度も多くなり危険なのでやめましょう。
【解決策】フードをバラまいて回収
無理やり取るのではなく、床にフードをバラまき、愛犬がそれを食べるのに夢中になっている間に回収することです。フードをバラまく際は、愛犬の近くではなく少し離れたところへまくのがオススメ。そうすれば靴下を回収するときに愛犬との間に距離ができるので、安全に回収しやすくなります。
また、犬がくわえている物とフードを交換する、「チョウダイ」のコマンドを教えておくと、スムーズに口から離すことができるでしょう。
いかがでしたか?
「愛犬が噛むのは、飼い主さんのことを下に見ているのが原因で、やめさせるには罰を与えるのが有効」という方法が推奨されることもありますが、多くの専門家の間でそのようなやり方は否定されています。
適切な対策を取り、愛犬も飼い主さんも快適にすごせるように、トレーニングしていきましょう。
参考/「いぬのきもち」2021年3月号『犬の気持ちがわかれば 吠え・噛み問題は解決できる!」(監修:東京・世田谷のしつけスクール「Can! Do! Pet Dog School」代表 西川文二先生)
撮影/尾﨑たまき
文/ichi
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