「アイコンタクト」とは、愛犬と飼い主さんが目と目を合わせること。
ただ見つめ合うだけに思えるかもしれませんが、実は深い意味があります。たとえば、オスワリやオイデなどの指示を出すときに、愛犬がほかのものに気をとられていたら指示は通りません。飼い主さんに注目させて、聞く耳をもつ状態にすることが「アイコンタクト」の役割。その意味でも、愛犬に必ず教えたい指示しつけのひとつなのです。
愛犬に絶対教えておきたい!「アイコンタクト」
アイコンタクトを愛犬に教えることには、以下のような3つのメリットがあります。
1.愛情ホルモンが出て、絆が強まる
ある実験で、犬と人が好んで見つめ合うことで、双方にオキシトシンの分泌が促進されることが判明。オキシトシンとは赤ちゃんの授乳時に母親から出るホルモンで、愛情や友情、信頼などの感情に関与しており、幸福感が増すといわれます。
2.困った行動を減らせる
撮影/佐藤正之
たとえば、愛犬がイタズラしそうなときは名前を呼んでアイコンタクトをし、オイデと呼べば防げます。また、犬からの自発的なアイコンタクトを増やせば、余計なものが目に入らなくなるため、困った行動自体を減らせます。
3.しつけがしやすくなる
冒頭でも触れましたが、愛犬を飼い主さんに注目させることで「次の指示が通りやすくなる=しつけがしやすくなる」効果があります。アイコンタクトが上達すれば、興奮しやすい状況でもしつけの成功率が上がります。
アイコンタクトの教え方
以上のように、アイコンタクトを犬に教えることにはたくさんのメリットがあります。しかし、犬はもともと目を合わせたがらない動物だといわれています。これは、本来、犬同士がじっと目を合わせるのは「ケンカ」の意味合いがあるから。
ケンカは極力避けようとするのが本能なので、じっと見られると視線をそらします。ですから、目と目を合わせる「アイコンタクト」のしつけは、丁寧に教えなければできません。
アイコンタクトを教えるには、ごほうび(フード)を使います。いきなり目と目を合わせるのは難しいため、フードを持つ手に注目させることから始めましょう。
フードばかり見ていたとしても、次第にフードをくれる飼い主さんのことが好きで、目と目を合わせるようになるので大丈夫。ですから、第一段階として手からフードを与える練習が必要になります。
1.フードを1粒持って握りこむ
撮影/佐藤正之
フードをつまんで持つと、フードのあるなしがわかってしまため、フードがないとアイコンタクトをしない犬になってしまうことも。フードは見えないように手の中に握りこみましょう。人差し指あたりに隙間をあけると、フードのニオイが出て、気をひきやすくなります。
2.ほめながらフードを与える
撮影/佐藤正之
手のひらを上にしてニオイをかがせ、愛犬の気をひいたら「イイコ」とほめ言葉をかけてフードを与えましょう。1粒ずつ繰り返し、終わったら練習終了。時間をおいてまた練習しましょう。
3.フードを握りこみ、犬の鼻にピタッとする
撮影/佐藤正之
1~2までがうまくできたら、次は手で誘導して飼い主さんの顔に注目させる「鼻ピタアイコンタクト」に進みます。1のようにフードを手の中に握りこんだら、手のひらを上にして愛犬の鼻先にピタッとくっつけ、ニオイをかがせて気をひきます。
4.手をあごの下に移動する
撮影/佐藤正之
3ができたら、次はフードを握ったままの手をあごの下に移動します。手の動きを追って上を向いた愛犬と、自然と目が合うはずです。
5.目が合ったらほめてフードを与える
撮影/佐藤正之
4で愛犬と目が合ったら、すぐに「イイコ」とほめて、手の中に握っていたフードを与えましょう。1回分のフードが終わるまで、3~5を繰り返し練習します。慣れてきたら、1のときに愛犬の名前を呼び、名前を呼んでフードのニオイをかがせることを繰り返して。
ここまでできるようになったら、鼻ピタをやめて、次にフードを持たずにアイコンタクトができるように練習を繰り返せば完璧です!
愛犬とたくさん見つめ合おう♡
撮影/佐藤正之
犬は楽しいことをしてくれる人が好きで見るようになるため、積極的にいっしょに遊んであげるとよいでしょう。また、苦手なものがあると落ち着かず、キョロキョロしがちです。例えば掃除機が苦手な犬なら、掃除機を犬の視界に入るぐらいの距離に置きつつ、フードを与え慣れさせると、アイコンタクトの精度もアップしますよ!
たくさん見つめ合うことで、愛犬と絆を強めていってくださいね。
参考/初めて飼い主さんの『いぬのきもち』2016年4月号「はじめてしつけコンプリートドリル」(監修:「Can ! Do ! Pet Dog School」代表 西川文二先生)
撮影/佐藤正之
文/影山エマ