
ピレニアン・マスティフ
- 英語名
- Pyrenean Mastiff
- 原産国
- スペイン
- サイズ
- 超大型犬
- グループ
- 使役犬
ピレニアン・マスティフの性格と特徴・飼いやすさ
ピレニアン・マスティフは、スペインのピレネー山脈に連れてこられたチベット原産のチベタン・マスティフと土着の犬とが交配され発展したと言われています。おもにクマやオオカミから羊を守る護衛犬として活躍していました。1900年代にピレネー山脈のクマやオオカミが絶滅寸前まで減少したことなどから、ピレニアン・マスティフの用途がほぼなくなって頭数が激減し、あわや絶滅という危機に陥りました。そこから持ち直したものの、今でも希少な犬種の一つです。番犬としての威厳ある外見をしています。
ピレニアン・マスティフの飼いやすさ 各項目の数値が大きいほど飼いやすい傾向
※参考『日本と世界の犬のカタログ』(成美堂出版)
ピレニアン・マスティフの性格
もともと自らの判断で、侵入者やクマやオオカミを相手にしていた護衛犬のため独立心があり、警戒心を強く抱いた時などは、驚くほど俊敏に動き、本来の力強さを発揮します。ふだんはとても穏やかですが、事故につながらないように子犬のころから飼い主の指示に絶対従うトレーニングが必須です。
ピレニアン・マスティフの大きさ
体高はオスで77cm以上、メスで72cm以上の超大型犬で、体高に上限はありません。全体の体のバランスが取れていれば、大きければ大きいほどよいとされています。厳しい寒さにも耐えられる分厚い被毛の下に隠れた体は、骨部太でがっちりとしており、重量感にあふれています。
オス 体高:77cm以上/体重:54~70kg
メス 体高:72cm以上/体重:54~70kg
※体高:地面から首と背中の境目付近までの高さで、人の身長に相当するもの。
ピレニアン・マスティフの毛色の種類
ピレニアン・マスティフの毛色は、ホワイトの地にグレー、ゴールデンイエロー、ブラウン、ブラック、サンディー、マーブルなどの明瞭な斑が入っています。マズル、尻尾の先、脚の下の部分はホワイト一色です。
ピレニアン・マスティフの心配な病気
・皮膚が細菌感染して炎症を起こす「膿皮症」
・体重が増える成長期に起こりやすい「股関節形成不全」
・胃がねじれて起こる「胃捻転」
ピレニアン・マスティフの価格相場(2024年)
ピレニアン・マスティフは一般的に入手が難しく、輸入や専門ブリーダーからや、保護犬譲渡がおもな入手方法です。
ピレニアン・マスティフの飼い方
ポイント(1)毎日数時間の散歩が必須
ピレニアン・マスティフは体重のある超大型犬のため、走ることより、毎日1時間は歩いて散歩することが必要な犬です。散歩の時間が短く体力が発散できないとストレスとなり、問題行動につながる可能性があります。毎日充分に犬と付き合えるだけの体力と時間あるか?住環境の広さが充分か?など飼う前にしっかりと検討してみましょう。
ポイント(2)引っ張らないしつけをしっかり
超大型犬であるため生涯を通して滑らない床の上で過ごさせることや、過度な負担のかかる運動を避ける注意が必要になります。特に急激なスピードで成長するパピー期には注意が必要です。しつけはお散歩中のトラブル防止のためにも、引っ張りグセがつかないように、人の横について歩くことを犬にマスターさせておきましょう。
ポイント(3)毎日ブラッシングでお手入れを
被毛は中毛で、豊かなアンダーコートがあります。寒さに適した被毛のため、日本の暑さは苦手。皮膚が蒸れて皮膚炎を起こさないよう、毎日のブラッシングでアンダーコートをきれいに取り除いてあげましょう。また、よだれの量が多く、口のまわりや胸の毛がよだれ焼けで赤茶けてしまいがちなので、こまめによだれを拭き取りましょう。
ポイント(4)年齢と目的に応じたフードを
主食には、フードと水のみで栄養のバランスがとれるように作られている、総合栄養食を与えましょう。一般食は、栄養バランスよりも嗜好性を重視する傾向にあるため、主食には不向きです。フードのパッケージに「総合栄養食」と記載されているものの中から、ご自身の犬に合ったフードを選択します。
犬はライフステージごとに必要とされる栄養の質と量が微妙に異なります。「子犬用」「成犬用」「シニア犬用」「体重管理用」など、年齢と目的に応じたフードを与えましょう。
手作りフードは与えているものを飼い主さんが把握できる安心感があり、愛犬のことを思いながら調理する楽しさもあります。しかし栄養バランスを保つのが簡単ではないため必要ならばサプリメント等で補いながら実施することをオススメします。
ピレニアン・マスティフに似た犬の種類
ピレニアン・マスティフの歴史や背景
1900年代にピレネー山脈のクマやオオカミが絶滅寸前まで頭数を減らしたことから、ピレニアン・マスティフの用途がなくなり、この犬種自体も絶滅の危機に瀕しました。しかし、スペインの保存会によって徐々に頭数が回復し、1982年にFCI(国際畜犬連盟)公認犬種として登録されるまでになりました。今でも希少な犬種の一つですが、超大型犬の存在感たっぷりの魅力から、近年注目をあびるようになっているようです。
監修:
ヤマザキ動物看護大学講師
福山貴昭先生(危機管理学修士)
参考:『日本と世界の犬のカタログ』(成美堂出版)