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【獣医師監修】犬にマンゴーを与えるときは注意が必要。与えるメリットとデメリットを解説

マンゴーは犬が食べてもよい果物ですが、与え方には注意が必要です。ビタミンや食物繊維など犬の体によい栄養素が豊富な一方で、 過剰な摂取はかえって健康を損ねる原因に。また、ウルシ科の植物なのでかぶれたりする犬もいるようです。犬がマンゴーを食べるメリットと与える際の注意点を紹介します。

佐野 忠士 先生

犬にマンゴーを与えるときは、与え過ぎとアレルギーに要注意

犬にマンゴーを与えてよいか
Tsukamoto Kazuhiro/gettyimages
マンゴーは、水分やビタミンなど犬の健康に役立つ栄養素が含まれていますが、果物のなかではカロリーが高いここと、食物繊維を豊富に含むことから、与え過ぎると逆に健康を損なう原因にも。また、アレルギーのある犬に与えるのは、注意が必要です。

マンゴーのおもな栄養素|生は8割が水分、ドライは炭水化物が8割以上

贈り物のマンゴーの箱の前で、うれしそうな顔をしているチワワ
いぬのきもち投稿写真ギャラリー

マンゴーのおもな栄養素

マンゴーに含まれる主な栄養素は以下のとおりです。
マンゴー(生)※可食部100gに含まれる成分
エネルギー68kal
水分82g
タンパク質0.6g
脂質0.1g
炭水化物16.9g
灰分(無機質)0.4g


マンゴー(ドライ)※可食部100gに含まれる成分
エネルギー339kal
水分9.3g
タンパク質3.1g
脂質0.7g
炭水化物84.9g
灰分(無機質)25g

文部科学省「食品データベース」より参照

犬がマンゴーを食べるメリット|ビタミンと水分の補給に役立つ

マンゴーの木の下で舌を出して実が落ちるのを待っているジャーマン・シェパード・ドッグ
いぬのきもち投稿写真ギャラリー

βカロテン|健康な皮膚や被毛、粘膜、歯をつくる

βカロテンはカロテノイドという色素の一種で、マンゴーに豊富に含まれています。
このβカロテンは、犬の体内で必要な分だけのビタミンAに変換され、愛犬の健康維持に役立ってくれます。

ビタミンAのおもな働きは、皮膚や被毛を健康な状態に保ち、丈夫な粘膜や歯をつくること。人の場合は、さらに夜間の視力の維持を助けるといわれていますが、犬の場合も同じかどうかはわかりません。
βカロテンはビタミンAとして働くだけではなく、それ自体が持つ抗酸化作用で、有害な活性酸素を除去し、老化を防いでくれます。

ビタミンC|抗酸化作用、関節炎などの予防

病気や老化の要因になると考えられている活性酸素。それを強力な抗酸化作用で取り除く働きをするのが、ビタミンC(アスコルビン酸)です。ビタミンCは、ほかにも鉄分の吸収を助ける、解毒やホルモン代謝を担う酵素の働きをサポートする、コラーゲンの合成に深く関与するなど、さまざまな働きをしてくれます。病気の予防、若さの維持、関節炎の予防に役立つ重要な栄養素といえるでしょう。

ビタミンCは人間にとって食べ物で体内に取り込まなければならない必須栄養素ですが、健康な犬は自分の体内でブドウ糖から合成することができます。そのため、「犬にビタミン Cの摂取は必要ない」と考えられてきましたが、最近の研究では、犬にもビタミンC欠乏症があることがわかってきました。犬の体内で合成されるビタミンCだけでは不十分との研究報告も。健康な犬でも5歳を過ぎるとビタミンC合成能力が低下するといわれているので、ビタミンCが豊富なマンゴーで補うのもよいかもしれません。

なお、ビタミンCは水に溶けやすい水溶性なので、たくさん摂取しても余分なものは尿として体外に排出されます。健康な犬であれば過剰摂取によるリスクは少ないのですが、腎臓の機能が低下していると、うまく排出できない場合があります。腎臓病がある場合やシニア犬の場合は、与える前にかかりつけの獣医師に相談してください。

ビタミンE|抗酸化作用で細胞膜のダメージを防ぐ

細胞を覆っている細胞膜が酸化してダメージを受けると、皮膚病や腎臓病、消化器疾患などの病気になりやすくなります。ビタミンEは、そうした細胞膜を酸化から守る強力な抗酸化成分として働いてくれるもの。愛犬の健康と若々しさを維持するのに大事な栄養素の一つといえます。

ただし、ビタミンEは体内で細胞膜を守るために働いた後、逆に犬にダメージを与える「ビタミンEラジカル」という成分に変わることもわかっています。そこで大事なのが、一緒にビタミンCを摂取することです。ビタミンCは「ビタミンEラジカル」に変化したビタミンEをまた元のビタミンEへと戻してくれるからです。
マンゴーには、これら2つの栄養素が同時に含まれているので、犬の体によい食べ物だといえるでしょう。

カリウム|余分な塩分の排出と血圧調整

カリウムは栄養成分表で「灰分」と表されるミネラルの一つです。体内でナトリウムとバランスをとりながら、細胞を正常な状態に保ったり、血圧を調整したりする役割を果たします。また、摂取しすぎた塩分を体外に排出する作用もあります。
ただし、腎臓病がある場合は注意が必要です。腎臓の機能が低下すると尿へのカリウムの排出が減って、血液中のカリウム濃度が高まる「高カリウム血症」となり、不整脈など心臓病の原因になるからです。腎臓病や心臓病がある場合は、マンゴーを与える前に獣医師に相談してください。

食物繊維|腸内環境を整え、便秘や下痢を予防

食物繊維には、水に溶ける「水溶性」と、水に溶けない「不溶性」とがあります。水溶性食物繊維は糖質の吸収をおだやかにすることで、食後の血糖値の上昇を緩やかにし、コレステロールの排出をサポート。不溶性繊維質は、腸内で水分を吸って膨らむことで便のカサを増し、便通を改善。さらに腸内にある善玉菌のエサとなって、腸内環境を整える役割も果たします。

マンゴーには、これら2つの食物繊維がバランスよく含まれているので、下痢気味の犬にも便秘気味の犬にもよい作用を及ぼしてくれるでしょう。

水分|水を飲まないときの水分補給に

マンゴーの約80%が水分でできています。暑い季節など脱水が心配されるときは、マンゴーのような果物で興味を引いて水分摂取を促すのもおすすめです。

犬がマンゴーを食べるデメリット|高カロリー、豊富な繊維質、アレルギーに注意

テーブルの下から飼い主の椅子に手をかけて、おやつをねだる柴犬
いぬのきもち投稿写真ギャラリー

カロリー|糖分が高く与え過ぎると肥満に

マンゴーはりんごやイチゴなどの果物に比べても、糖分が多く高カロリーな果物です。マンゴーのおいしさを知った愛犬が飼い主さんに「もっともっと」とねだっても、与え過ぎは肥満や糖尿病発生のもとです。与える量に気をつけましょう。なお、ドライマンゴーは水分がなくなって養分が濃縮された分、糖分は5倍、カロリーも5倍強となっています。肥満気味の犬や糖尿病の犬には与えないようにしてください。

食物繊維|過剰摂取は下痢や便秘になることも

水溶性、不溶性、どちらの食物繊維もバランスよく含むマンゴー。とはいえ、食べ過ぎるとお腹がちょうどよい具合を通り越し、下痢や便秘になってしまうかもしれません。与える量には気をつけましょう。

カリウム|腎臓・心臓疾患の犬は要注意

健康な犬でも過剰摂取すると、腎臓に負担がかかります。とくに腎臓病の犬の場合は、十分にカリウムを排出できずに「高カリウム血症」になることも。カリウム値が高くなると、四肢のしびれや筋力低下、脈拍の異常、嘔吐などいろいろな不調をきたし、最悪の場合は死に至ることも。また心機能が低下している犬の場合も悪影響をもたらすことがあります。腎臓や心臓に疾患を持つ犬には与えないようにしましょう。

ウルシ科|アレルギー反応で皮膚のかぶれを起こす場合も

ウルシといえば、皮膚のかぶれを引き起こすアレルゲンとして知られていますね。同じウルシ科に属するマンゴーには、漆のかぶれ成分である「ウルシオール」とよく似た構造の「マンゴール」「カルドール」という成分が含まれているので、接触皮膚炎を起こす可能性があります。とくに皮の部分に「カルドール」が多く含まれていて、アレルギーの犬は触れただけでも皮膚炎を起こす場合があるので、愛犬の手が届くところにマンゴーを置かないことが大事です。

犬にマンゴーを与えるときの注意ポイント|皮と種は取り除き、小さく切って

顔より大きな布製の丸いおもちゃを口いっぱいにかじっているシー・ズー
いぬのきもち投稿写真ギャラリー

与えてよい部位

マンゴーには大きな種がありますが、犬は人間のように食べ物を口の中で噛み砕いてから飲み込む習性はありません。大きな種も噛まず飲み込んでしまう可能性があるので、必ず皮をむき、種を取り除いてください。実の部分だけを小さく切って与えましょう。
また、ドライマンゴーは水分が抜けた分、かなり固くなっていいます。切っても喉に詰まらせたりする危険があるので、与えないほうがよいでしょう。

与えるときの適量

犬にマンゴー(生)を与える場合は、体重に合わせて以下の量を目安にしてください。ただし、あくまでもカロリー上の算出値なので、主食(総合栄養食)の摂取を阻害しない量にとどめることが大切です。


犬の体重目安1日あたりの摂取可能目安
小型(2~5kg)28g~55g(小1/6~小1/3個)
中型(6~15kg)63g~126g(大1/4~大1/2個)
大型(20~50kg)156g~310g(小1~小2個)

※マンゴー小230g(可食部150g)、大414g(可食部269g)として算出
※数値は、避妊・去勢済みの犬で体重相応のおやつ(1日の総摂取カロリー目安の1割)として算出

調理方法

暑い日の散歩の後、クールダウンのためにマンゴーを与えるのもよいでしょう。ただし、冷たいものはお腹を壊しやすいので、冷凍マンゴーを与えるときは常温に戻してからにしましょう。

また、マンゴージュースは果汁100%であっても、糖分や香料、着色料が入っている場合があるようです。犬にとっては刺激の強いものなので、与えないようにしてください。

そのほかの注意事項

先述したとおり、「マンゴール」「カルドール」成分でかぶれを起こす可能性があります。また、マンゴーに含まれているタンパク質に体内の免疫機能が強く反応して、稀に食物性アレルギーを起こす可能性も。初めてマンゴーを与える場合は、少量を与えて様子を見てください。

与え方に気をつければ、犬にマンゴーを与えてもOK!

マンゴーは犬の健康をサポートする豊富な栄養素が含まれているので、適量を守って与えるのであれば問題ありません。ただし、なんらかのアレルギーがある犬の場合は、与える前にまずかかりつけの獣医師に相談することをおすすめします。
犬には与えてはいけない食べ物や、注意したい食べ物をがあります。確認しておきましょう。
監修/佐野忠士先生(酪農学園大学獣医学群獣医学類准教授)
文/村田典子
※一部写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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