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【獣医師監修】犬にマンゴーを与えるときは注意が必要。与えるメリットとデメリットを解説
マンゴーは犬が食べてもよい果物ですが、与え方には注意が必要です。ビタミンや食物繊維など犬の体によい栄養素が豊富な一方で、 過剰な摂取はかえって健康を損ねる原因に。また、ウルシ科の植物なのでかぶれたりする犬もいるようです。犬がマンゴーを食べるメリットと与える際の注意点を紹介します。
佐野 忠士 先生
酪農学園大学獣医学群獣医学類准教授
酪農学園大学附属動物医療センター 集中治療科診療科長
日本獣医畜産大学(現 日本獣医生命科学大学)卒業
東京大学大学院農学生命科学研究科獣医学専攻博士課程修了
北里大学獣医畜産学部および同大学獣医学部勤務
日本大学生物資源科学部獣医学科勤務
●資格:獣医師/博士(獣医学)/世界的獣医心肺蘇生ガイドラインインストラクター(RECOVER インストラクター)/CCRP
●所属:日本獣医麻酔外科学会/日本獣医学会/日本獣医師会/日本動物リハビリテーション学会/動物臨床医学研究所/日本麻酔科学会/日本臨床モニター学会
●主な診療科目:麻酔科/集中治療科
●書籍:『asBOOKS チームで取り組む獣医師動物看護師のためのICU管理超入門』/『as BOOKS チームで取り組む獣医師・動物看護師のための輸液超入門』/『動物看護師のための麻酔超入門・改訂版』 など多数
犬にマンゴーを与えるときは、与え過ぎとアレルギーに要注意
マンゴーのおもな栄養素|生は8割が水分、ドライは炭水化物が8割以上
マンゴーのおもな栄養素
エネルギー | 68kal |
---|---|
水分 | 82g |
タンパク質 | 0.6g |
脂質 | 0.1g |
炭水化物 | 16.9g |
灰分(無機質) | 0.4g |
マンゴー(ドライ)※可食部100gに含まれる成分
エネルギー | 339kal |
---|---|
水分 | 9.3g |
タンパク質 | 3.1g |
脂質 | 0.7g |
炭水化物 | 84.9g |
灰分(無機質) | 25g |
犬がマンゴーを食べるメリット|ビタミンと水分の補給に役立つ
βカロテン|健康な皮膚や被毛、粘膜、歯をつくる
このβカロテンは、犬の体内で必要な分だけのビタミンAに変換され、愛犬の健康維持に役立ってくれます。
ビタミンAのおもな働きは、皮膚や被毛を健康な状態に保ち、丈夫な粘膜や歯をつくること。人の場合は、さらに夜間の視力の維持を助けるといわれていますが、犬の場合も同じかどうかはわかりません。
βカロテンはビタミンAとして働くだけではなく、それ自体が持つ抗酸化作用で、有害な活性酸素を除去し、老化を防いでくれます。
ビタミンC|抗酸化作用、関節炎などの予防
ビタミンCは人間にとって食べ物で体内に取り込まなければならない必須栄養素ですが、健康な犬は自分の体内でブドウ糖から合成することができます。そのため、「犬にビタミン Cの摂取は必要ない」と考えられてきましたが、最近の研究では、犬にもビタミンC欠乏症があることがわかってきました。犬の体内で合成されるビタミンCだけでは不十分との研究報告も。健康な犬でも5歳を過ぎるとビタミンC合成能力が低下するといわれているので、ビタミンCが豊富なマンゴーで補うのもよいかもしれません。
なお、ビタミンCは水に溶けやすい水溶性なので、たくさん摂取しても余分なものは尿として体外に排出されます。健康な犬であれば過剰摂取によるリスクは少ないのですが、腎臓の機能が低下していると、うまく排出できない場合があります。腎臓病がある場合やシニア犬の場合は、与える前にかかりつけの獣医師に相談してください。
ビタミンE|抗酸化作用で細胞膜のダメージを防ぐ
ただし、ビタミンEは体内で細胞膜を守るために働いた後、逆に犬にダメージを与える「ビタミンEラジカル」という成分に変わることもわかっています。そこで大事なのが、一緒にビタミンCを摂取することです。ビタミンCは「ビタミンEラジカル」に変化したビタミンEをまた元のビタミンEへと戻してくれるからです。
マンゴーには、これら2つの栄養素が同時に含まれているので、犬の体によい食べ物だといえるでしょう。
カリウム|余分な塩分の排出と血圧調整
ただし、腎臓病がある場合は注意が必要です。腎臓の機能が低下すると尿へのカリウムの排出が減って、血液中のカリウム濃度が高まる「高カリウム血症」となり、不整脈など心臓病の原因になるからです。腎臓病や心臓病がある場合は、マンゴーを与える前に獣医師に相談してください。
食物繊維|腸内環境を整え、便秘や下痢を予防
マンゴーには、これら2つの食物繊維がバランスよく含まれているので、下痢気味の犬にも便秘気味の犬にもよい作用を及ぼしてくれるでしょう。
水分|水を飲まないときの水分補給に
犬がマンゴーを食べるデメリット|高カロリー、豊富な繊維質、アレルギーに注意
カロリー|糖分が高く与え過ぎると肥満に
食物繊維|過剰摂取は下痢や便秘になることも
カリウム|腎臓・心臓疾患の犬は要注意
ウルシ科|アレルギー反応で皮膚のかぶれを起こす場合も
犬にマンゴーを与えるときの注意ポイント|皮と種は取り除き、小さく切って
与えてよい部位
また、ドライマンゴーは水分が抜けた分、かなり固くなっていいます。切っても喉に詰まらせたりする危険があるので、与えないほうがよいでしょう。
与えるときの適量
犬の体重目安 | 1日あたりの摂取可能目安 |
---|---|
小型(2~5kg) | 28g~55g(小1/6~小1/3個) |
中型(6~15kg) | 63g~126g(大1/4~大1/2個) |
大型(20~50kg) | 156g~310g(小1~小2個) |
※マンゴー小230g(可食部150g)、大414g(可食部269g)として算出
※数値は、避妊・去勢済みの犬で体重相応のおやつ(1日の総摂取カロリー目安の1割)として算出
調理方法
また、マンゴージュースは果汁100%であっても、糖分や香料、着色料が入っている場合があるようです。犬にとっては刺激の強いものなので、与えないようにしてください。
そのほかの注意事項
与え方に気をつければ、犬にマンゴーを与えてもOK!
文/村田典子
※一部写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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