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【獣医師監修】犬にオクラを与えるときは注意が必要。与えるメリットとデメリットを解説

オクラは犬が食べても大丈夫な野菜です。食物繊維など犬の体によい栄養素が含まれていて、生でも加熱しても大丈夫。ただし、与える量や与え方には少し注意が必要です。また、稀に食物アレルギーの症状を示す場合も。犬がオクラを食べるメリットと与える際の注意点を紹介します。

佐野 忠士 先生

犬 オクラ
chengyuzheng/gettyimages

犬にオクラを与えるときは与え過ぎとアレルギーに要注意

お皿を前に眠たそうな目でカメラを見るフレンチ・ブルドッグ
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
オクラは水分と食物繊維が豊富な野菜です。ほかにも犬の体によい影響を及ぼす栄養素が含まれ、カロリーも低いので、愛犬のご飯にトッピングしたり、おやつに与えたりしてもよいでしょう。ただし、カロリーが低いからといって過剰に与えるのはよくありません。過剰摂取によって便通を悪くすることがあるからです。また、食物アレルギーのある犬に与える際にも注意が必要です。

オクラのおもな栄養素|9割が水分、食物繊維が豊富

稲刈りまぢかの田んぼの前で笑っている黒い柴犬
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
オクラ(生)に含まれるおもな栄養素 ※数値は可食部100gに含まれる成分
エネルギー26kal
水分90.2g
タンパク質2.1g
脂質0.2g
炭水化物6.6g
灰分(無機質)0.9g

文部科学省「食品データベース」https://fooddb.mext.go.jp/index.plより参照

なお、茹でた場合もほぼ同じ栄養素の成分です。

犬がオクラを食べるメリット|豊富な食物繊維で腸内環境を整えて快便に

赤い花が満開のお花畑をバックに記念撮影しているトイ•プードル
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
オクラには、愛犬の健康を維持し、病気を予防する作用が期待されるいろいろな成分が含まれています。

食物繊維|便通を改善し、腸内環境を整える

食物繊維には、水に溶ける性質の「水溶性食物繊維」と溶けない「不溶性食物繊維」の2つがあります。オクラにはどちらも含まれていますが、不溶性食物繊維は水溶性食物繊維の2.5倍。不溶性食物繊維は、腸の中で水分を吸って膨らみ、便のカサを増して腸の運動を促し、排便を促す役割を果たします。さらに、腸内の善玉菌を増やして腸内環境を整える働きも。普段から便秘気味の犬には、オクラの豊富な不溶性食物繊維で便通の改善が期待できるでしょう。

ネバネバ成分|整腸、粘膜の保護

オクラを刻むとネバネバしますが、その粘りをもたらすのが「ペクチン」と、ムコ多糖たんぱく質と糖たんぱく質の混合物です。
ペクチンは、不溶性食物繊維のひとつで、腸内の環境を整えて下痢や便秘を防ぐのに加え、コレステロールの吸収を防いだり、血糖値を調節したりする作用があります。
ムコ多糖タンパク質と糖タンパク質の混合物で、胃腸の粘膜を保護する作用が期待されます。さらに、タンパク質の分解を促進する酵素を含んでいて、タンパク質の消化・吸収もサポートしてくれます。

βカロテン|活性酸素を除去し、皮膚や粘膜を強化

激しい運動やストレスによって体内に活性酸素が溜まると、細胞がダメージを受けて疾病の原因になるといわれています。βカロテンには、そんな体に悪影響を及ぼす活性酸素を除去する抗酸化作用があります。

また、βカロテンは犬の体内でビタミンAに変換されます。ビタミンAは、正常な視覚や健康な被毛・皮膚、粘膜、歯を作る役割を果たすもので、犬は自分の体に必要な分だけビタミンAを作り出し、健康の維持に活用できるのです。

カリウム|不要な塩分の排出と高血圧の予防。腎臓病の犬は要注意!

カリウムはミネラルの一種で、ナトリウムとバランスを取りながら、細胞を正常な状態に保ち、体液の浸透圧を調整しています。また、体内の余分なナトリウム、つまり塩分を尿と一緒に体外に排出することで、血圧を下げる作用もあります。

ただし、高齢で腎臓機能が低くなっている犬や腎臓病を患っている場合は、カリウム摂取には注意が必要です。健康な犬であれば、余分なカリウムは尿で体外に排出されますが、過剰に摂取していると健康な犬でも腎臓に負担がかかります。さらに腎臓の機能が低下すると、十分な排出ができず血液中のカリウム濃度が高まる「高カリウム血症」となり、不整脈など心臓病を引き起こすこともあります。シニア犬や腎臓病、心臓病がある場合は、オクラを与える前に獣医師に相談してください。

水分|水を飲まない場合の水分補給に

オクラは90%が水分。気温が高いのに水を飲みたがらないなど、愛犬の水分不足が心配されるときは、ご飯のトッピングやおやつにオクラを与えて水分補給を図ってもよいでしょう。

犬がオクラを食べるデメリット|過剰摂取で便通異常、稀にアレルギーを起こす場合も

チューリップ畑をバックにカメラ目線で笑っているゴールデン・レトリーバー
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
どんなに体によい成分でも、過剰摂取は禁物です。食物アレルギーにも、注意しましょう。

食物繊維|不溶性食物線の摂り過ぎで便秘になることも

不溶性食物繊維は便秘の解消に役立つことが期待されますが、過剰摂取すると便が大きくなり過ぎたり、固くなり過ぎたりして、かえって排便が困難になってしまいます。適量を守って与えましょう。

タンパク質にアレルギー反応を起こす場合も

食物アレルギーは、食物に含まれているタンパク質に対して免疫機能が過剰反応を起こすことによって生じるものです。オクラには、少量ですがタンパク質が含まれているので、アレルギーの原因になる可能性もゼロではありません。もともと食物アレルギーがある犬の場合、最初に与えるときは少量から様子を見ながらにしましょう。

犬にオクラを与えるときの注意ポイント|生でも加熱でも、細かく刻んで

歯を剥き出して雑草にかぶりつく甲斐犬(カメラ目線)
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
オクラは生でも加熱しても食べられる野菜のひとつです。犬に与えてよい部位と適量、調理方法について紹介します。

与えてよい部位

オクラのヘタの部分は固いので、切り取って実の部分だけを与えます。中の種は取り除かなくて大丈夫です。

与えるときの適量

犬にオクラを与える場合は、体重に合わせて以下の量を目安にしてください。ただし、あくまでもカロリー上の算出値なので、主食(総合栄養食)の摂取を阻害しない量にとどめることが大切です。

犬の体重目安1日あたりの摂取可能目安
小型(2~5kg)72g~144g(大5~10本)
中型(6~15kg)165g~328g(大11~23本)
大型(20~50kg)407g~810g(大29~57本)

※オクラ(生)大1本=14gとして算出
※数値は、避妊・去勢済みの犬で体重相応のおやつ(1日の総摂取カロリー目安の1割)として算出

調理方法

オクラは生でも茹でるなど加熱してもOK。繊維質が多いので、細かく刻んであげるとよいでしょう。

オクラは適量なら犬に与えてもOK! 便通の改善に期待

オクラは、便通改善や腸内環境の整備に役立つ食物繊維を多く含む野菜です。便秘や下痢など、排便にまつわる心配がある場合は、オクラを食事のトッピングやおやつに加えてもよいでしょう。ただし、与え過ぎにはくれぐれも注意を。腎臓病を患っている場合は、与える前に必ず獣医師に相談しましょう。
犬には与えてはいけない食べ物や、注意したい食べ物があります。確認しておきましょう。
監修/佐野忠士先生(酪農学園大学獣医学群獣医学類准教授)
文/村田典子
※一部写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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