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獣医師監修|犬の皮膚病 種類と症状、原因は 治療や予防も解説
犬の発症率が高い病気のひとつに「皮膚病」があります。ひとくちに皮膚病といってもその種類は多く、発症の原因がひとつに限らないことも。そこで今回は、動物病院の受診比率が高いといわれる皮膚病の症状や原因、治療法や予防法について解説します。

石田 陽子 先生
石田ようこ犬と猫の歯科クリニック院長
麻布大学獣医学部獣医学科卒業
●経歴:ぬのかわ犬猫病院本院副院長/ぬのかわ犬猫病院中田分院院長 など
●資格:獣医師
●所属:日本小動物歯科研究会/比較歯科学研究会/日本獣医動物行動研究会
犬の皮膚病ってどんな病気? おもな症状とは?
また、犬の皮膚病にはさまざまな種類があり、その症状も多岐にわたります。ひとつの疾患が複数の症状を示すこともあるため、原因となる疾患を突き止めるのが難しいケースも。では、犬が皮膚病を発症すると、どのような症状が起きるのでしょうか?
症状(1)脱毛
ただし、犬が自分の体を傷つけたり、毛がもろくなる病気を発症したりして毛が切れたり、ホルモンの病気が原因で脱毛したりすることも。いつから脱毛が起きているのか、脱毛は体の一部なのか全身なのか、また毛は切れていないか、かゆみを伴っていないかなど、注意深く観察し、すみやかに動物病院を受診しましょう。
症状(2)かゆみ
かゆみは犬にとって大きなストレスとなるため、皮膚をかきむしって症状を悪化させるおそれがあります。さらに、かゆみで患部を「なめる」「かく」「噛む」を繰り返すことで二次感染を引き起こし、なかなか治らないことも。
症状(3)皮膚の炎症やかさぶた、フケ
また、皮膚コンディションもの乱れから皮膚病に発展していくこともあります。
犬の皮膚病の原因と治療法は?
皮膚感染症
膿皮症(のうひしょう)
薬浴や抗生物質の投与を行い治療するのが一般的ですが、アレルギー性皮膚炎などの基礎疾患がある場合は、その基礎疾患が治癒しないと再発するケースもあるので注意しましょう。以下の記事もあわせて参考にしてみてください。
皮膚糸状菌症
なお、皮膚糸状菌症は、動物から人に感染する「人獣共通感染症」のひとつとしても知られています。愛犬が皮膚糸状菌症を発症している場合は、こまめに掃除機をかける、愛犬を触ったら手を洗うなどして清潔を保ち、感染を広げないように心がけましょう。
マラセチア皮膚炎
また、ほかの皮膚疾患から二次的に生じることもあるため、異常増殖したマラセチアが検出されるかどうかの検査が必要になってくる場合も。治療は抗真菌薬や外用薬の投与のほか、薬用シャンプーなどが用いられるでしょう。
毛包虫症(アカラス)
免疫力が低下した犬や、子犬、老犬、ホルモン疾患などの基礎疾患のある犬が発症しやすく、治療には駆虫薬の投与や薬浴などが行われます。また、同時に免疫力が低下する原因となっている病気を突き止め、治療する必要もあるでしょう。
疥癬症(かいせんしょう)
治療には駆虫薬を使用するのが一般的ですが、薬の種類によってはコリー系の犬種やシェットランド・シープドッグに副作用があらわるものもあるので、注意が必要です。投薬は必ず獣医師の指導のもと行いましょう。
アレルギー性
ノミアレルギー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎の治療では、炎症やかゆみを抑えるための分子標的薬や免疫抑制剤、抗体製剤、ときにはステロイドや抗ヒスタミン薬を投与するほか、皮膚の乾燥を防ぎバリア機能を守るために、塗り薬や保湿剤を併用することも。また、アレルギー性皮膚炎を悪化させる基礎疾患がある場合は、その病気を治療することで症状が軽減することもあるでしょう。
なお、「減感作(げんかんさ)」という、薄めたアレルゲンを体内に入れて、そのアレルゲンに慣れさせようとする治療もあります。ただし、実施している動物病院はあまり多くないため、減感作治療を受けたい場合はかかりつけの動物病院に相談してみましょう。
接触性皮膚炎
接触性皮膚炎が疑われる場合は、まず犬がアレルギー反応を引き起こしたと考えられる物質の除去をするなどし、アレルゲンの特定を行います。もとの環境に戻して再び症状があらわれる場合は、その物質がアレルゲンである可能性が高いので、今後その物質と接触しないよう、獣医師との相談のもと取り除いていく必要があるでしょう。
なお、アレルゲンが特定できたあとも症状が落ち着くまでは、炎症を軽減するステロイドや抗ヒスタミン薬などを投与して、治療を行うケースもあります。
食物アレルギー
接触性皮膚炎と同様、アレルギーを引き起こしていると思われる物質(食品)の特定(血液検査など)と除去を行い治療しますが、除去食試験は自己流でやってしまうと栄養バランスが崩れるおそれがあるので、必ず獣医師と相談のうえ調整するようにしましょう。
なお、膿皮症や外耳炎を併発しているときは、薬浴や抗生物質、抗真菌薬などを投与して症状の改善に努めます。
その他の要因
脂漏症(しろうしょう)
治療にはコールタールを含むシャンプーや、二硫化セレンを含むシャンプー、サルファサリチル酸シャンプーを用いた週1~3回の薬浴が有効とされています。また、膿皮症やマラセチア感染症の併発や強いかゆみが見られる場合には、外用薬や内服薬の投与なども行われるでしょう。
そのほか、必須脂肪酸などの皮膚のサプリメントを飲むことで、皮膚状態の改善効果が期待できるケースも見られるようです。
乾性脂漏症
おもに保湿性のあるシャンプーを使って治療しますが、通常よりフケが多い場合は、サリチル酸とイオウを含むシャンプーを用いることもあります。シャンプーのしすぎは皮膚や被毛の乾燥を悪化させるおそれがあるので、頻度などについてはよく獣医師と相談してください。
心因性によるもの
愛犬がどのようなタイミングで体をなめているか、また症状が見られるようになる前に何かストレスになるようなことはなかったかなど、日ごろからよく観察しておくとよいでしょう。行動診療科がある動物病院に相談することもおすすめです。
犬の皮膚病の予防方法とは?
おもな予防法とは?
- 外部寄生虫用の予防薬を定期的に投与する
- 細菌や真菌が過剰に繁殖しないためにも、日頃から免疫力の低下やストレスに注意する
- アレルギー症状がある場合には、アレルゲンを探ってその物質をできるだけ除去する
- シャンプーをして皮膚を清潔に保ち、バランスの取れた食事を与えて皮膚バリアを正常な状態に保つ など
治療費はどれくらいになる?
また先述のとおり、治療には皮膚病外用薬(消毒薬、塗り薬など)や薬用シャンプーによる薬浴、療法食、内服薬などを用いますが、症状の進行具合やほかの病気の併発有無によって、治療が長引くこともあり、費用も高額となるでしょう。愛犬が皮膚病になる前に、ペット保険の加入を検討するのもひとつです。
細やかなケアで愛犬の皮膚病を予防しよう
また、梅雨の季節や換毛期は皮膚病になりやすいので、その時期はとくに愛犬の様子に気を配り、何か異常があればすぐに動物病院を受診するようにしてください。
文/pigeon
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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