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獣医師監修|犬の皮膚病 種類と症状、原因は 治療や予防も解説

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犬の発症率が高い病気のひとつに「皮膚病」があります。ひとくちに皮膚病といってもその種類は多く、発症の原因がひとつに限らないことも。そこで今回は、動物病院の受診比率が高いといわれる皮膚病の症状や原因、治療法や予防法について解説します。

この記事の監修

犬の皮膚病ってどんな病気? おもな症状とは?

2頭の犬
Daisuke Morita/gettyimages

犬は人と違って皮膚の最外層の表皮が薄いため、その薄い皮膚を保護するために被毛が生えています。被毛のおかげで寒さには強いものの、温度差や湿度には敏感で、暑さや多湿、乾燥に弱い傾向があり、人よりも皮膚に関する疾患が多いといわれています。

また、犬の皮膚病にはさまざまな種類があり、その症状も多岐にわたります。ひとつの疾患が複数の症状を示すこともあるため、原因となる疾患を突き止めるのが難しいケースも。では、犬が皮膚病を発症すると、どのような症状が起きるのでしょうか?

症状(1)脱毛

皮膚病の症状でよく見られるのが脱毛です。頻繁に毛が抜け落ちるので、見た目で愛犬の皮膚病に気づくことができます。

ただし、犬が自分の体を傷つけたり、毛がもろくなる病気を発症したりして毛が切れたり、ホルモンの病気が原因で脱毛したりすることも。いつから脱毛が起きているのか、脱毛は体の一部なのか全身なのか、また毛は切れていないか、かゆみを伴っていないかなど、注意深く観察し、すみやかに動物病院を受診しましょう。

症状(2)かゆみ

皮膚病では多くの場合、皮膚のかゆみを伴います。目や口のまわり、足の付け根や先端部などの蒸れやすい場所、皮膚の延長にある外耳などはとくにかゆみが起きやすく、そこをしきりにかいたり、なめたりするなどの行動が見られます。

かゆみは犬にとって大きなストレスとなるため、皮膚をかきむしって症状を悪化させるおそれがあります。さらに、かゆみで患部を「なめる」「かく」「噛む」を繰り返すことで二次感染を引き起こし、なかなか治らないことも。

症状(3)皮膚の炎症やかさぶた、フケ

皮膚病を発症すると、皮膚が炎症を起こして赤くなったり、かさぶたやフケが増えたりすることがあります。これらの皮膚コンディションの乱れは、ホルモン異常や栄養不足などでも見られますが、かゆみを伴うようであれば皮膚病を疑ってみましょう。
また、皮膚コンディションもの乱れから皮膚病に発展していくこともあります。

なお、犬の皮膚病では体臭が強くなる、体がベタついて脂っぽくなる、水や膿がたまった発疹が出るなどの症状も見られます。また、ストレスや基礎疾患、アレルギーが起こる影響で免疫機能や皮膚のバリア機能が低下し、皮膚病があらわれることもあるでしょう。

犬の皮膚病の原因と治療法は?

犬
Christina Reichl Photography/gettyimages

皮膚病の原因は大きく分けて、「皮膚感染症」「アレルギー性」「その他の要因」の3つがあります。それぞれで発症する病気の種類や症状、治療法や治療期間も異なるので、詳しく見ていきましょう。

皮膚感染症

膿皮症(のうひしょう)

感染性の皮膚疾患のひとつで、免疫力や皮膚のバリア機能の低下などによって皮膚表面の常在菌であるブドウ球菌が異常繁殖し、全身(下腹部を中心)に赤い発疹があらわれるなどの症状があらわれます。

薬浴や抗生物質の投与を行い治療するのが一般的ですが、アレルギー性皮膚炎などの基礎疾患がある場合は、その基礎疾患が治癒しないと再発するケースもあるので注意しましょう。以下の記事もあわせて参考にしてみてください。

皮膚糸状菌症

皮膚や被毛に真菌(カビ)が侵入し増殖することで発症する皮膚疾患で、大量のフケや円形脱毛症などを引き起こすします。治療には抗真菌薬の投与や、皮膚を清潔に保つための抗真菌シャンプーが用いられるでしょう。

なお、皮膚糸状菌症は、動物から人に感染する「人獣共通感染症」のひとつとしても知られています。愛犬が皮膚糸状菌症を発症している場合は、こまめに掃除機をかける、愛犬を触ったら手を洗うなどして清潔を保ち、感染を広げないように心がけましょう。

マラセチア皮膚炎

「マラセチア」という表皮に常在する酵母真菌が過剰増殖し、病原性を発揮することで発症する皮膚疾患で、皮膚の炎症やベタつきや、独特な悪臭、フケ、強いかゆみ、かき壊しによる脱毛などの症状があらわれます。

また、ほかの皮膚疾患から二次的に生じることもあるため、異常増殖したマラセチアが検出されるかどうかの検査が必要になってくる場合も。治療は抗真菌薬や外用薬の投与のほか、薬用シャンプーなどが用いられるでしょう。

毛包虫症(アカラス)

皮膚に「ニキビダニ」が寄生することで発症する皮膚疾患で、皮膚の発赤、腫れ、脱毛などを引き起こします。

免疫力が低下した犬や、子犬、老犬、ホルモン疾患などの基礎疾患のある犬が発症しやすく、治療には駆虫薬の投与や薬浴などが行われます。また、同時に免疫力が低下する原因となっている病気を突き止め、治療する必要もあるでしょう。

疥癬症(かいせんしょう)

皮膚に「ヒゼンダニ」が寄生することで発症する皮膚疾患で、強いかゆみを起こすほか、皮膚のやわらかい部分に分厚いフケが発生したり、かさぶたができたりすることもあります。

治療には駆虫薬を使用するのが一般的ですが、薬の種類によってはコリー系の犬種やシェットランド・シープドッグに副作用があらわるものもあるので、注意が必要です。投薬は必ず獣医師の指導のもと行いましょう。

アレルギー性

ノミアレルギー性皮膚炎

ノミに寄生・吸血されることで発症する皮膚炎で、お尻まわりを中心に全身にかゆみを引き起こします。発症した際は、ノミ駆虫薬の投与による治療を行うのが一般的でしょう。

アトピー性皮膚炎

ハウスダストや食べ物など、アレルゲンに対する過剰反応が原因で引き起こされるといわれる皮膚疾患です。発症すると、目や口、耳などの顔まわり、脇や腹部、お尻などの体幹部、足先や背中などにかゆみが生じます。

アトピー性皮膚炎の治療では、炎症やかゆみを抑えるためのステロイドや抗ヒスタミン薬を投与するほか、皮膚の乾燥を防ぎバリア機能を守るために、塗り薬や保湿剤を併用することも。また、アレルギー性皮膚炎を悪化させる基礎疾患がある場合は、その病気を治療することで症状が軽減することもあるでしょう。

なお、最近では「減感作(げんかんさ)」という、薄めたアレルゲンを体内に入れて、そのアレルゲンに慣れさせようとする治療も行われています。ただし、実施している動物病院はあまり多くないため、減感作治療を受けたい場合はかかりつけの動物病院に相談してみましょう。

接触性皮膚炎

薬品や草花、シャンプーや化粧品といった刺激のある物質が皮膚に接触することで発症する皮膚疾患で、その物質が触れた箇所にかゆみなどの症状があらわれるのが特徴です。

接触性皮膚炎が疑われる場合は、まず犬がアレルギー反応を引き起こしたと考えられる物質の除去をするなどし、アレルゲンの特定を行います。もとの環境に戻して再び症状があらわれる場合は、その物質がアレルゲンである可能性が高いので、今後その物質と接触しないよう、獣医師との相談のもと取り除いていく必要があるでしょう。

なお、アレルゲンが特定できたあとも症状が落ち着くまでは、炎症を軽減するステロイドや抗ヒスタミン薬などを投与して、治療を行うケースもあります。

食物アレルギー

アレルゲン物質が含まれた食物を食べることで引き起こされる疾患で、口まわりから顔全体、耳などにかゆみが生じるほか、下痢などの症状も引き起こすことがあります。

接触性皮膚炎と同様、アレルギーを引き起こしていると思われる物質(食品)の特定と除去を行い治療しますが、自己流でやってしまうと栄養バランスが崩れるおそれがあるので、必ず獣医師と相談のうえ調整するようにしましょう。

なお、膿皮症や外耳炎を併発しているときは、薬浴や抗生物質、抗真菌薬などを投与して症状の改善に努めます。

犬のアレルギーについては、以下の記事も参考にしてみてください。

その他の要因

脂漏症(しろうしょう)

皮脂の分泌異常が原因で発症する皮膚疾患で、皮膚の炎症やベタつき、かゆみやフケなどの症状があらわれます。

治療にはコールタールを含むシャンプーや、二硫化セレンを含むシャンプー、サルファサリチル酸シャンプーを用いた週1~3回の薬浴が有効とされています。また、膿皮症やマラセチア感染症の併発や強いかゆみが見られる場合には、内服薬の投与なども行われるでしょう。

そのほか、必須脂肪酸などの皮膚のサプリメントを飲むことで、皮膚状態の改善効果が期待できるケースも見られるようです。

乾性脂漏症

脂漏症からさらに細分化された皮膚疾患のひとつで、こちらは皮脂の分泌異常と肌の乾燥が原因とされています。症状としてはかゆみのほか、乾燥した細かなフケが多量に出ることがあるでしょう。

おもに保湿性のあるシャンプーを使って治療しますが、通常よりフケが多い場合は、サリチル酸とイオウを含むシャンプーを用いることもあります。シャンプーのしすぎは皮膚や被毛の乾燥を悪化させるおそれがあるので、頻度などについてはよく獣医師と相談してください。

心因性によるもの

精神的なストレスからしっぽを噛んだり、体や足先を過剰になめたりすることで、皮膚のただれや炎症を引き起こすことがあります。心因性による皮膚炎は再発することも考えられるため、対症療法によるストレス原因の特定と排除を行うことが重要です。

愛犬がどのようなタイミングで体をなめているか、また症状が見られるようになる前に何かストレスになるようなことはなかったかなど、日ごろからよく観察しておくとよいでしょう。行動診療科がある動物病院に相談することもおすすめです。

犬の皮膚病の予防方法とは?

このように、犬の皮膚病にはさまざまな種類があるので、治療法と同じく予防法も原因に応じて異なります。

おもな予防法とは?

皮膚病のおもな予防法としては、以下の4つが挙げられます。

  • 外部寄生虫用の予防薬を定期的に投与する
  • 細菌や真菌が過剰に繁殖しないためにも、日頃から免疫力の低下やストレスに注意する
  • アレルギー症状がある場合には、アレルゲンを探ってその物質をできるだけ除去する
  • シャンプーをして皮膚を清潔に保ち、バランスの取れた食事を与えて皮膚バリアを正常な状態に保つ など

なお、予防薬の種類や投与方法、またシャンプーの種類や頻度などについては、犬の健康状態に合わせる必要があるため、必ず獣医師に相談しましょう。

治療費はどれくらいになる?

皮膚病は通院治療がメインですが、初診では原因特定のため皮膚検査や血液検査、アレルゲン検査、細菌培養検査といった複数の検査を受けることも多く、費用が高くなることが予想されます。

また先述のとおり、治療には皮膚病外用薬(消毒薬、塗り薬など)や薬用シャンプーによる薬浴、療法食、内服薬などを用いますが、症状の進行具合やほかの病気の併発有無によって、治療が長引くこともあり、費用も高額となるでしょう。愛犬が皮膚病になる前に、ペット保険の加入を検討するのもひとつです。

細やかなケアで愛犬の皮膚病を予防しよう

雌ビーグル子犬に白いレザー製ソファー、ユニオンスクエア
srugina/gettyimages

皮膚病は再発することも多い病気です。愛犬につらい思いをさせないためにも、定期的なスキンケアや菌が繁殖しづらい環境づくりを工夫してあげましょう。

また、梅雨の季節や換毛期は皮膚病になりやすいので、その時期はとくに愛犬の様子に気を配り、何か異常があればすぐに動物病院を受診するようにしてください。

監修/石田陽子先生(石田ようこ犬と猫の歯科クリニック院長)
文/pigeon
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。

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