犬と暮らす
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【獣医師監修】犬の散歩の基礎知識~開始時期、回数、時間、注意点など
子犬を迎え、ワクチンの接種を終えたら、いよいよお散歩デビューです。散歩には、愛犬を外の世界に慣れさせる、適度な運動で健康維持をする、ストレス発散、リフレッシュなどの目的があり、犬を飼ううえでは欠かせません。ここではより安全に散歩できるよう、「散歩のキホン」をご紹介します。

石田 陽子 先生
石田ようこ犬と猫の歯科クリニック院長
麻布大学獣医学部獣医学科卒業
●経歴:ぬのかわ犬猫病院本院副院長/ぬのかわ犬猫病院中田分院院長 など
●資格:獣医師
●所属:日本小動物歯科研究会/比較歯科学研究会/日本獣医動物行動研究会
【犬の散歩】その目的は?
【犬の散歩】いつから始める? 回数・時間は?
いつから始めればよいか迷うときや、回数、時間などは犬種によって異なるため、ワクチン接種をした動物病院の獣医師に相談するといいでしょう。最初は家のまわりを決まったルートで歩かせ、散歩に慣れたら(飼い主さんの指示に従えて、人通りの多い場所や車の音などを怖がらず、落ち着いていられるようになったら)ルートを変えてもかまいません。
【犬の散歩】必要なものは?
首輪(またはハーネス)とリード
お散歩バッグ
フードやおやつ
犬種によって散歩の量を変える
小型犬
中型犬
大型犬
老犬の場合
【犬の散歩】マナーと注意点
・愛犬のウンチは必ず拾って持ち帰る。
・オシッコをしたときは、持参した水をかける。
・公園では、犬の立ち入りが禁止されていないか確認し、禁止の場合は立ち入らない。
・ベンチには直に乗せずに、ひざの上に乗せるか、シートを敷いてから乗せる。
散歩中に役立つしつけ
アイコンタクト
オスワリ
マッテ
夏・冬の散歩の注意点
日差しの厳しい夏場、日中散歩に出かけるのは犬にとっても飼い主さんにとっても危険です。熱中症のほか、高温になったマンホールやアスファルトの上を歩いて肉球をやけどすることもあるので、気温が低めの明け方や夜に散歩しましょう。ただし、夜は昼より涼しい半面暗いので、反射するタイプや光るタイプの首輪やリードを使用し、車や自転車、ほかの歩行者に存在を気づかせる工夫をしましょう。飼い主さんも懐中電灯を持参すると、暗い中でのウンチの処理や、誤飲したら危険なゴミなどを見つける際に役立ちます。夏は虫も多いので、犬用の防虫スプレーをかけて出かけるのもいいでしょう。
冬は防寒対策をしっかりと
冬場は防寒対策をしっかりして暖かい時間帯に散歩に行きましょう。寒いのが苦手だったり、冷たい地面を嫌がって歩かなくなる犬もいます。基本の誘導でも動かない場合は無理をしないで。ただし、散歩の時間が減ると運動不足になりがちなので、散歩を減らした分は、家の中で引っ張りっこ遊びをしたりして、運動をさせるようにしましょう。
散歩に慣らす手順
1 抱っこや犬用カートで外に慣らそう
2 地面に下ろしてみよう
3 正しいリードの持ち方を覚えよう
リードを右手にかける
リードの先端の輪を右手に通します。手首付近まで通したら、輪の根元とリードをしっかり握りましょう。左手で補助的にリードの中間を握るようにするとしっかりとコントロールできます。
愛犬を左側につかせる
愛犬を飼い主さんの左側につかせ、「オスワリ」をさせます。飼い主さんはひじをわきにつけ、左腕を90°に曲げてください。この状態で、「アイコンタクト」をしたりしてみましょう。左腕を90°に曲げたときに、リードがピンと張る位置に結び目を作っておくと、持つ場所の目安になります。
ひじを伸ばしてリラックス
左腕を伸ばすとリードがたるみ、安全を保ちながらも愛犬がリラックスできます。
フードやおやつで誘導してみよう
いろいろな地面の感触を覚えたら、フードを持った手を愛犬の鼻先につけ、その状態で歩けるかどうかみてみましょう。まわりの刺激を気にせずに、誘導に集中できるのが目標です。数歩歩けたら、ほめてフードを与えましょう。
4 アイコンタクトをとりながら歩いてみよう
再び歩き、視線を外したら止まる→見上げたら褒めて歩く、を繰り返します。愛犬は「飼い主さんの顔を見たらイイコトがある(褒めてもらえる)」と覚え、アイコンタクトを続けながら歩けるようになっていきます。覚えるまでには個体差はありますが、繰り返し、根気よく練習しましょう。
5 リードをゆるめて歩いてみよう
「リードがゆるんだら、イイコトがある(行きたい方向に行ける)」と覚えさせるのが目標。ここまで覚えられたら、少しずつ横について歩ける距離を延ばしていきましょう。
【犬の散歩】困りごとQ&A
Q 地面に下ろしても歩かないときは?
まだ犬が外の環境に慣れず、恐怖心があるのかもしれません。お気に入りのおもちゃに長めのロープをつけて、投げて取りにいかせる要領で歩くように誘導してみましょう。外で遊ぶことで、恐怖心が薄れていくでしょう。
Q 少し歩くと止まってしまうときは?
愛犬がどうにもこうにも動いてくれない...そういうときはフードを上手に使ってみましょう。飼い主さんが愛犬の前に立って、愛犬が一歩でも動いたらフードを与えます。動いたらイイコトがあると覚えさせることが大切ですので、動かないのにフードを与えてしまうわないように注意しながら行いましょう。
動かないのにフードを与えたり抱っこしたりすると、「止まっていればイイコトがある」と覚えてしまい逆効果になりかねません。
Q 外だとアイコンタクトができないときは?
Q ほかの犬とのすれ違いができない……
むやみに近づくと、吠えたり、場合によってはケンカになってしまうことも。アイコンタクトができるなら、飼い主さんに集中している間にすれ違うのが理想ですが、難しい場合は小型犬なら抱っこして背を向け、相手が通過するのを待ちましょう。中~大型犬なら、他の道に行く方法もあります。
愛犬の体調や状態に合わせて散歩を楽しもう
参考/「いぬのきもち」2016年8月号『真夏の夜の散歩術』
監修/石田陽子先生(石田ようこ犬と猫の歯科クリニック院長)
※一部写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と一部写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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