犬と暮らす
UP DATE
断脚手術後、夜中に震えてしまう愛犬を抱えて寝た日々…今はおでかけが楽しみな毎日に
先代犬は手術を「しない」ことを選択…今でも正しかったのかどうか考えてしまう
若い頃は消化器系のアレルギーがひどく、毎月のように通院していたそうです。12才で視力を失い、その数年後には心臓病を患いました。小さな頃からさまざまな病気と闘い、薬もがんばって飲んでいたみの蔵ちゃんを思い、15才で口腔内にメラノーマを発症したときには手術ではなく温存治療を選択。しかし、「その判断が果たして良かったのか」と当時も10年以上経った今も、確信が持てないとのこと。
最終的にメラノーマの転移により、みの蔵ちゃんは天国へと旅立ったといいます。こうした経緯から、minokuraさんは「多分もう二度と犬を飼うことはないだろう」と思っていたそうです。
偶然見つけたブログで保護犬との新たな出会い…ビビリ屋がすっかり甘えん坊に
まもなく里親会が開催されるという情報を見て、写真の蔵之助ちゃんがあまりにかわいかったので、直感で「すぐに決まっちゃうコだな」と思ったそうです。ところが後日確認すると、変わらず「里親募集」となっていました。
運命を感じたminokuraさんは、渋るご主人を説得して蔵之助ちゃんとお見合いへ。「会ってしまうともうダメです」と目の前にした蔵之助ちゃんの愛らしさと健気さの虜に。そこからはトントン拍子でトライアル、正式譲渡へと進みました。2012年11月のことです。
みの蔵ちゃんと蔵之助ちゃんは同じ犬種であり、蔵之助ちゃんがおうちにやってきたのはみの蔵ちゃんの誕生月。それに、蔵之助ちゃんの預かりボランティアさんは、みの蔵ちゃんが大好きだった清泉寮(宿泊施設)のある清里にゆかりのある方で、「ものすごい縁を感じた」といいます。その方とは、蔵之助ちゃんを迎えて10年経った今も交流があるとのこと。蔵之助ちゃんは人との良縁も結んでくれたのですね。
家族に迎えた当時の蔵之助ちゃんは、推定3才。イタズラをするようなこともなく、minokuraさんが「我が家へ来てから怒った記憶がありません」と言うくらいとてもいいコ。「やせっぽっちでビビリ」だったといいますが、minokuraさんの愛情を受け、どんどん甘えん坊になり、自己主張もできるようになりました。
コロナ禍になり、minokuraさんが自身の体調の不安もあり退職をすると、ますます蔵之助ちゃんと一緒に過ごす時間が増え、愛しさも増すばかりでした。
手術中に断脚を決断…術後は愛犬の心身の変化を一緒に受け止める
しかし、細胞を採って検査したところ、脂肪腫ではなく肥満細胞腫でした。そのため、手術が必要とのことでした。当初は腫瘍部分のみの切除を予定していましたが、実際に手術を始めると予想以上に進行していて脚を切断することを選択しました。
思いがけない大手術となった蔵之助ちゃん。術後は麻酔から目覚めた時の午前3時頃になると目を覚まし、ブルブル震えてしまうということが一週間ほど続いたといいます。
そんな時、minokuraさんは蔵之助ちゃんの気持ちが落ち着くまで抱きしめていました。抱えたまま一緒に寝てしまったこともあるそうです。今は同じことをすると「『しつこい』という顔をされる」とのことですから、蔵之助ちゃんはすっかりマイペースを取り戻しているのかもしれませんね。
もともと食欲旺盛の蔵之助ちゃん。術後3か月ほどは軟便が続きましたが、食欲が落ちなかったのは幸いでした。それと、術後にminokuraさんが「助かった」と思ったのは、お散歩がまだ難しい時期でも家のトイレで排泄・排便ができたこと。おうちに迎えたときに、トイレトレーニングをしていたことが、蔵之助ちゃんの助けにもなりました。
愛犬が言葉では伝えられない体調に気を配ってケア&身体への負担を極力減らす
「腹巻を着用させて腰回りを冷やさないようにしています。また、できるだけ足、腰に負担をかけないように気を付け、お散歩時の段差は抱っこ、帰宅後にはマッサージをするなどして注意しています」とのこと。蔵之助ちゃんが自分ではコントロールできない運動量や体重もしっかりと管理しています。
最後に、minokuraさんに蔵之助ちゃんへのメッセージをいただきました。
「ものすごく痛い、つらい思いをしましたね。病院へお迎えに行った時の君の笑顔が忘れられません。満面、ひまわりのような笑顔でした。これからは今まで以上にお出かけしようね。たくさんいい空気を吸って、日光浴して、元気に過ごしましょう。まずはこの春からGO!」
取材・文/賀来 比呂美
※記事は個人の感想に基づいています。
UP DATE