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【獣医師監修】食事と運動を見直して正しくダイエット(体型チェックイラストつき)

愛犬の体型、気になりませんか?今回は、犬の肥満度チェック方法や肥満の原因、ダイエットに有効とされる食事管理について解説します。ヘルシーおやつレシピや運動法、成功のポイントについてもご紹介するので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

加藤 憲一 先生

 獣医師
 相模原プリモ動物医療センター院長

 日本大学生物資源科学部獣医学科卒業
 麻布大学附属動物病院腫瘍科専科研修医
●資格:獣医師/日本獣医がん学会獣医腫瘍科認定医II種

●所属:日本獣医がん学会

●主な診療科目:一般診療(外科・内科)/腫瘍科/画像診断科

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もしかして肥満?愛犬の体型をチェックしてみよう! 

「ボディコンディションスコア(BCS)」とは?

体重が重くても、体が大きい、あるいは筋肉質ならば肥満とはいえず、体重だけで肥満と判断するのは危険といえます。そこでおすすめなのが、見たり触ったりして肥満度をチェックする「ボディコンディションスコア(BCS)」という方法です。上記の表を見て、愛犬が肥満かどうか確認してみましょう。

BCS4・BCS5なら肥満のおそれが

愛犬を横から見て、お腹の肉が垂れ下がっていないか、また上から見たときのくびれ具合も見て判断しましょう。愛犬がBCS4・BCS5に当てはまる場合は、ダイエットをする必要があります。

そもそも肥満になるとなぜダイエットが必要なの?

人と同じように、犬も太り過ぎることによって、さまざまな病気にかかるリスクが高まります。肥満が原因で引き起こされる主な病気としては、心臓病や関節炎、呼吸器疾患などが挙げられます。また、糖尿病のリスクが高まることもわかっているようです。

このように、肥満は見た目の問題のみならず、愛犬の健康を大きく害するおそれがあります。愛犬が肥満と疑われる場合は、ダイエットに取り組む必要があるでしょう。

愛犬が肥満になる原因とは?

ではなぜ、犬は肥満になってしまうのでしょうか。以下のような原因が考えられます。

フードを計量せず、ずっと同じものを与えている

犬の主食となるフードは、ライフステージ(成長段階)にあったものを選び、適切な量を与える必要があります。子犬から成犬、成犬からシニア犬と、それぞれの成長段階でフードを見直していない場合は、カロリーオーバーになっているおそれがあります。
ほかにも、去勢や避妊手術をするとホルモンバランスの変化で基礎代謝が低下するので、それまでと同じフードを同じだけ与えていると、肥満に繋がることがあります。

原因:体重を把握していない

愛犬の適正体重を知り、適正体重をオーバーしていないかこまめにチェックしていないと、ちょっとした体重の変化に気づくことができず、肥満の原因になります。自宅で体重を量る場合は、愛犬を抱いて体重計に乗り、その数値から飼い主さんの体重を引くだけなので簡単です。犬が嫌がらなければ、体重計の上にオスワリさせて量ってもOKですよ。

原因:欲しがるだけフードやおやつを与えている

食べ物を欲しがるだけ与えていれば、1日に必要なカロリーをオーバーし、肥満のリスクが高まります。家族で犬を飼っている場合は、こっそりとおやつをあげている家族がいないかも注意しましょう。また、多頭飼いなら、同居犬のフードを盗み食いしている可能性もあるので、別の部屋であげる、ゲージで仕切るなどの工夫が必要です。

原因:散歩に連れて行かない

運動不足も肥満の原因のひとつです。しかし、すでに太ってしまっている犬は無理に運動すると関節に負担がかかってしまうので、愛犬が嫌がらない程度に毎日のお散歩や少しの運動から取り入れていきましょう。

食事量や運動量も適正なのに体重が増加したり、お腹がふくらんだりしている場合は、心臓疾患や肝臓疾患、甲状腺機能低下症など、何らかの病気が原因のことも考えられます。気になる場合は、早めに獣医師に相談しましょう。

犬のダイエットは食事管理が重要 

犬のダイエットは、食事管理が重要です。ここでは、犬の食事管理のポイントをご紹介します。

正しいフードの量を計算して与える

◆パッケージで量を計算


犬の主食となる「総合栄養食」のフードのパッケージには、1日に与える量や回数などが、年齢(月齢)、体重に応じて記載されているので必ず確認しましょう。ここで注意したいのが「体重」です。パッケージに記載されている体重は、現在の体重ではなく“理想の体重” なので、現在の体重に該当する量を与えてしまうと与えすぎになってしまうことがあります。必ず、“理想の体重”から導き出すようにしてください。
また、フードによって重量あたりの代謝エネルギーは異なるので、フードを替えたときには、必ず給与方法の記載を確認しましょう。

◆1から飼い主さんが計算する


より正確な量を知りたいという場合は、計算してみましょう。犬の1日の「必要エネルギー量(DER)」を計算する方法はいくつかありますが、一般的には「安静時エネルギー必要量(RER)」によって計算する方法が用いられるようです。

< h4>【DER早見表】
※縦軸…理想体重、横軸…活動係数

例えば、愛犬の理想体重が4kgで、現在は肥満傾向にある場合、DERは「277(kcal/日)」ということになります。このようにしてDERがわかったら、以下の方法で、1日に必要なフードの量を計算しましょう。

【1日に必要なフードの量(g)の計算方法】
DER ÷ 与えているフードの100gあたりのkcal ×100


※フードによって給与目安の算出方法がことなるため、算出した数字とパッケージ記載の目安量が異なる場合があります。

おやつとの割合を見直す

おやつは、1日に与えるエネルギー量の10~20%が目安です。ダイエット中はあげないにこしたことはないですが、どうしても欲しがる場合は、この範囲に収め、与えた分だけその日のフードを減らしましょう。

必要に応じて療法食を取り入れる

単純にフードの量を減らしてカロリーの制限をすると、必要な栄養素まで不足してしまうおそれがあるので注意が必要です。そこで役立つのが、獣医師の処方によってのみ与えることができるダイエット用の「療法食」です。
ただし、ダイエット用の「療法食」は、減量を目的に栄養バランスが調整されているため、長期的な健康維持には不向きな場合も。与え始めはもちろん、やめるタイミングも自己判断はせず、獣医師の指示を仰ぎましょう。

なお、市販のダイエット用フードを活用する方法もありますが、「療法食」の代わりにはならず、まったくの別物ですので、ご注意ください。また、突然フードを変えると食べないこともあるので、元々食べていたフードに混ぜながら、徐々に慣れさせるのもポイントです。

食事の回数を変える

食事の回数が1日1回の場合は、体が“飢餓状態”になって太りやすくなることがあります。時間はバラバラでもよいので、1日2回を目安にフードを与えるようにしましょう。

ダイエットは手作りのご飯じゃなきゃだめ?

犬の栄養に関する専門的な知識がない限り、犬の主食は栄養バランスに優れた「総合栄養食」のドッグフードがベストです。そしてこれは、ダイエット中でも同じ(「療法食」が処方されている場合は除く)。手作りするのは、“たまのお楽しみ”として与えるおやつにとどめておきましょう。

ではここで、ダイエット中でも楽しめる野菜を使った低カロリーのおやつレシピをご紹介します。

「だいこんとにんじんの生春巻き風」のレシピ

◆材料(長さ7cm×3本分)


だいこん … 10cm分
にんじん … 7cm分
レタス … 15g

◆作り方



  1. だいこんは縦4分の1に切り、広い面をピーラーでスライスして薄いリボン状にしたものを3枚作って残りは7cmの長さに整える。レタスは適当な大きさになるよう手でちぎっておく。

  2. だいこんとにんじんを細切りにする。

  3. 2とレタスを、スライスしただいこんにのせて巻いたら完成。



全量で約17キロカロリーと、ヘルシーなおやつですが、当日中に食べきるよう、量は愛犬の体重に合わせて調整してください。

運動も取り入れながら、目標を設定し無理のないダイエットをするのが成功のポイント

ダイエットはしっかりと目標設定して、運動を取り入れながら無理なく行うことが成功のポイントです。

ダイエットの目標設定とは?

犬のダイエットでは、1週間につき体重の1%程度を上限とするのが理想とされているので、目標を設定するときの参考にしてみてください。これ以上の過度なダイエットは犬の体への負担が大きくなり、命に関わることもあるので注意が必要です。

では最後に、自宅で簡単にできる運動方法をご紹介します。

ハードル運動

掃除機の柄など棒状のものをハードルに見立てて、渡らせましょう。体重の重い犬だと、飛び越えるときに関節に負担がかかってしまうので、またぐだけでもOKです。それだけでも関節の可動域を広げる効果があるので、充分な運動になりますよ。
また、ハードルの下をくぐるだけでも、肩甲骨回りや背筋を使った運動になるため効果的です。おやつを見せながら誘導して行いましょう。

ペットボトルを使った運動

数本のペットボトルを間隔を開けて並べて、くねくねと避けて歩かせるスラローム運動は、歩く動きだけでなく体のストレッチにもなります。間隔を狭くすることで、体の受容感覚を強化する効果も期待できるでしょう。

ダイエットは正しく健康に!

運動は、適度に休憩を挟みながら無理のない程度で行うことが大切です。愛犬の健康のためにも正しい食事や運動を心がけ、正しく健康にダイエットしましょう。
参考/「いぬのきもち」2016年8月号別冊『いぬのきもち+1 あれっ太ってる?かも!?愛犬肥満解消プロジェクト!』(監修:日本獣医生命科学大学獣医学部 獣医学教育推進室助教 岡田ゆう紀先生、日本獣医生命科学大学 大学院獣医応用生命科学研究科 獣医生化学研究室教授 新井敏郎先生、酒井獣医科病院 石神井病院 酒井道子先生、酒井獣医科病院 保谷病院 酒井譲先生、わんわんフィットネス インストラクター 深澤優希さん)
 いぬのきもちWEB MAGAZINE『犬の食事大全 〜基礎知識から市販・手作りフードの留意点まで〜』(監修:パティ動物病院院長 獣医師 見津友啓先生)
 いぬのきもちWEB MAGAZINE『愛犬を肥満にさせないために!飼い主さんが気をつけたいこと』
 いぬのきもちWEB MAGAZINE『ドッグフードの選び方・与え方を知ろう~パッケージ表示の見方・与え方』
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 いぬのきもちWEB MAGAZINE『愛犬の太りすぎのリスク&肥満度チェック方法 あなたの愛犬は大丈夫?』
監修/加藤憲一先生(相模原プリモ動物医療センター院長)
文/hasebe
※記事と一部写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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