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獣医師監修|犬がご飯を食べない!考えられる5つの原因と対処法を解説
犬がご飯を食べなくなる原因はさまざまです。そこで今回は、犬がご飯を食べなくなる5つの原因(病気・ストレス・わがまま・年齢・フード)別に、対処法などについて解説します。毎日の食事は犬の健康維持に欠かせませんから、参考にしてみてくださいね。
この記事の監修

石田 陽子 先生
石田ようこ犬と猫の歯科クリニック院長
麻布大学獣医学部獣医学科卒業
●経歴:ぬのかわ犬猫病院本院副院長/ぬのかわ犬猫病院中田分院院長 など
●資格:獣医師
●所属:日本小動物歯科研究会/比較歯科学研究会/日本獣医動物行動研究会
犬がご飯を食べない原因①「病気」

病気が原因で犬がご飯を食べないときの特徴
病気が原因で犬がご飯を食べないときは、下痢や嘔吐、元気がないなどの症状が見られることがあります。また、ご飯だけではなく水も飲まない場合も要注意です。
原因として考えられる主な犬の病気
犬の食欲が低下する病気としては、消化管や肝臓、腎臓、すい臓などの内臓疾患が考えられます。この場合は、嘔吐や下痢などの症状が見られることが多いです。
また、食べるのを躊躇する、片方の歯で食べにくそうにしているなどの場合は、歯周病や口腔内腫瘍などの病気が原因となっているケースも。この場合、歯の汚れ(歯石・歯垢)や、歯茎の腫れ・ただれ、口臭などの症状が見られるでしょう。
そのほか、夏場など暑い時期に愛犬の食欲がないのなら、熱中症の疑いもあります。熱中症は放っておくと命に関わることもあるので、疑われる場合は動物病院を受診してください。
病気の場合の対処法
どの病気の場合も、早期発見・治療につなげるため、異常を感じたらすぐに動物病院を受診しましょう。
また、熱中症ではなく夏バテで食欲が落ちているときは、やわらかいフードのほうが食べやすい場合もあります。そこで、いつものドライフードに水や肉のゆで汁(※)などをかけ、ふやかしてから与えてみるのもひとつの手です。
※食事制限のある犬には与えないでください。
犬がご飯を食べない原因②「ストレス」

ストレスが原因で犬がご飯を食べないときの特徴
ストレスが原因で犬がご飯を食べないときは、同時に吠えたり唸ったりするなどの問題行動が見られることがあります。また、ストレスで自律神経のバランスが乱れると、下痢や嘔吐といった体調不良を起こすこともあるため、飼い主さんでは病気と区別がつきにくいケースも少なくありません。
原因として考えられる主な犬のストレス
犬のストレスの原因はさまざまなことが考えられますが、よくある例としては、飼い主さんとのスキンシップ不足や、引っ越しなどによる環境の変化、十分な散歩(運動)ができていないなどが挙げられます。
ストレスの場合の対処法
犬の食欲不振の原因がストレスの場合は、考えられるストレスの原因を取り除いてあげることが根本的な解決策となります。そのため、コミュニケーション不足が原因の場合は、一緒に遊んであげる時間を増やす、運動不足が原因の場合は、散歩の時間や回数を増やすなどして、愛犬と積極的にコミュニケーションを取るように心がけましょう。
なお、状況によっては、いつものフードに食欲が増すようなトッピングをほんの少しだけ追加して、様子を見るのもOKです。
犬がご飯を食べない原因③「わがまま」

わがままが原因で犬がご飯を食べないときの特徴
「ご飯は食べないけれどおやつは食べる」という場合は、犬がわがままになっているのかもしれません。おやつや人の食べ物などを過剰に与えていると、主食となるべきフードをなかなか食べてくれなくなることがあります。一度おいしいものを知ってしまうと、そのご飯が出されるまで頑なに待ち続ける犬も。
わがままの場合の対処法
わがままでご飯を食べなくなっている場合は、与えてから30分程度経過したらフードを下げ、次のご飯の時間まで何も与えないようにしましょう。いずれはお腹が空くので、食べるようになるはずです。
また、フードは新しいものにせずに、これまで食べていたものを与え続けることもポイント。原因がわがままだとなかなか食べてくれないかもしれませんが、根気よく続けることで元の食生活に戻ることが多いです。
犬がご飯を食べない原因④「年齢」

年齢が原因で犬がご飯を食べないときの特徴
子犬や老犬は年齢が原因で食欲が落ちることがあります。
子犬の場合
小型犬の子犬の場合は、生後4~5カ月頃が食欲のピークといわれており、この時期を過ぎると肉体的な成長が一段落するため、食べる量が少なくなる傾向があります。つまり、子犬期の食欲が落ち着いてくるのは、体の仕組み上ごく普通のことなので、心配いらないケースがほとんどです。
老犬の場合
犬は年齢を重ねると運動量が減り、消化吸収能力や味覚、嗅覚なども衰えてくるため、食欲が落ちる傾向にあります。そのため、子犬同様、老犬になって食べる量が多少減っても問題ないことが多いでしょう。ただし、7才を過ぎて老犬になると病気にもかかりやすくなるので、食欲の低下を「ただの老化」と見過ごさず、動物病院で定期的にチェックしてもらうことも大切です。
年齢の場合の対処法
子犬の場合
とくに変わった様子が見られなければ「成長によるもの」と考え、30分ほどフードを出していても食べない場合は、いったん下げてみましょう。食事のリズムをつくってあげることで、「フードは出されているときに食べる」という習慣がつくようになります。また、フードの量が適正なのかどうかも確認しましょう。
老犬の場合
動物病院を受診してとくに病気の徴候などが見られない場合は、食欲が湧くような工夫をしてあげましょう。例えば、香りが立つようにいつものフードを温めたり、少しだけトッピングをしたりするのがおすすめ。やわらかいもののほうが食べやすそうにしているなら、ウエットフードに切り替えるのもいいでしょう。水分補給もできるので、飲水量が減った場合にも役立ちますよ。
犬がご飯を食べない原因⑤「フード」

フードが原因で犬がご飯を食べないときの特徴
犬の食事は、「子犬期」「成犬期」「シニア犬期」と、それぞれのライフステージに合ったものを与えるのが基本です。しかし、いきなり子犬期用のフードから成犬期用のフードに替えると、フードの違いに警戒して食べなくなる犬もいます。
また、これはわがままになっているともいえますが、単に新しいフードの味やニオイ、食感が好みではなく、食べなくなるケースも。
フードが原因の場合の対処法
フードの種類を新しくするときは、いつものフードに新しいフードを混ぜ、1週間ほどかけて徐々に切り替えましょう。そうすることで、新しいフードに対する警戒心が薄れるはずです。
なお、愛犬がご飯を食べないからといって、次から次へと食いつきのいいものに替えたり、過剰にトッピングを追加したりすると、さらに好き嫌いをするようになるので要注意。与えてから30分程度経過したらフードを下げ、次のご飯の時間まで何も与えないようにし、ほかに選択肢がないことを理解させましょう。
どうしても愛犬がご飯を食べない場合は動物病院へ

今回は、犬がご飯を食べないときの対処法をご紹介してきましたが、対策してもまだ食べないようであれば、動物病院で相談してみましょう。一見元気に見えても、何らかの病気やストレスを抱えていたというケースも少なくありません。気がかりなことがある場合は相談し、原因の早期発見につなげましょう。
参考/「いぬのきもち」特別編集『80万人の飼い主さんの体験から作った!子いぬと仲良くなる育て方(健康・お世話編)』
「いぬのきもち」2017年11月号別冊『ドッグフード大事典』
「いぬのきもち」2016年10月号『そのしぐさで早期発見してあげて “なにか変!?”で気づく愛犬の病気』
監修/石田陽子先生(石田ようこ犬と猫の歯科クリニック院長)
文/ハセベサチコ
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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