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【獣医師解説】犬がドッグフードを食べない理由と自宅でできる工夫とは
今回は、病気以外で犬がドッグフードを食べない原因と、年代別に考えられる理由について解説します。また、食べないときに実践してほしい自宅でできるちょっとした工夫もご紹介します!
犬がドッグフードを食べなくなる主な理由とは
今まで食べていたフードを食べない場合
痛み、脱水、悪心(吐き気)などがあると食欲不振につながります。そのため、いつもよりおとなしくみえるときは注意が必要です。何も食べないことが2日間、いつもの半分しか食べないことが3日程度続くときは動物病院に行きましょう。
そのうえで、元気はあるのにドッグフードを食べない場合、以下のような理由が考えられます。
・季節・環境
本来、外で暮らす動物は、冬場にエネルギー産生のため食事量が増えます。そのため、相対的に夏場には食事量が減ることになります。これを夏バテ、食欲不振と捉える飼い主さんもいますが、夏が正常で冬場に食事量が増えているとも言えるのです。
・ストレス
犬は環境の変化や運動不足などによってストレスを感じると、食欲が落ちてドッグフードを食べなくなることがあります。この場合、ストレスの直接の原因を取り除いてあげることがいちばんの解決策といえるでしょう。愛犬の食欲が回復するのを少し待ってみるのも手です。
・“わがまま”になっている
嗜好性の高いおやつや人の食べ物などを頻繁に与えていると、主食となるドッグフードを食べなくなることがあります。「おやつは食べるのに、ドッグフードだけ食べない」という場合は、愛犬が“わがまま”になっている可能性もあります。
この場合、ドッグフードを与えてから15~20分程度経過したら下げてしまいましょう。そして次のゴハンの時間まで何も与えないのがポイントです。
ちなみに、これまで食べていたドッグフードを与え続けることで元の食生活に戻ることもあるので、まずは同じドッグフードを根気よく与えてみましょう。
ドッグフードを与えるときの飼い主さん自身の態度や表情にも注意して下さい。愛犬におやつを与えるときにニコニコしていたり、おやつを食べたときには撫でたりしていませんか?その一方でドッグフードを与えるときには厳しい顔で「待て」をさせてみたり、無愛想になっていたりしませんか?愛犬の気持ちなって考えてみると、どちらを食べる方が正解でしょうか。ドッグフードを与えるときにもニコニコして、ドッグフードを食べたらしっかりとほめてあげるようにしてみて下さい。これは後ほど説明する「療法食」を与えるときにも使える方法です。
また、与えているおやつの量によっては、単純におやつだけでお腹がいっぱいになっていることもあります。「おやつはたくさん食べるのに、ドッグフードは食べない」と言う飼い主さんがいますが、実際は「おやつをたくさん食べたから、ドッグフードが食べられない」こともあるのです。おやつを与えるのをやめたり、おやつの量を減らしたりして様子を見てみましょう。
・成長期
成長とともに体重あたりの食事量は減りますが、これは生理的なことなので心配しなくてよいでしょう。
年代別に考えられる 犬がドッグフードを食べなくなる理由とは
個体差はありますが、子犬は生後4~5カ月頃が食欲のピークといわれていて、この時期を過ぎると体の成長がある程度落ち着くため、体重あたりの食事量は徐々に低下します。そのため、多少食欲が落ちたように見えることがあります。
⾷欲が落ちたのではなく、⾷事の勢いがなくなったためですので、この時期に⾷欲不振や「飽きたのかも?」と勘違いして頻繁にドッグフードを変更すると食べ飽きやすい性格になることがあります。また、過剰にトッピングをしたりすると、肥満になりやすくなるので注意してください。
・成犬がドッグフードを食べない理由
子犬用から成犬用のドッグフードの切り替え時に、ニオイなどの違いを警戒して食べなくなることがあります。この場合は、いきなり新しいドッグフードにするのではなく、徐々に新しいフードの量を増やすのがおすすめ。1週間くらいかけて切り替えることで、新しいドッグフードに対する警戒心がなくなるでしょう。
・シニア犬がドッグフードを食べない理由
シニア犬になると、運動量が減ったり、消化吸収能力や嗅覚など感覚器も衰えたりするため、食欲が落ちることは珍しいことではありません。ただし、病気にかかりやすくなる年代でもあるので、ドッグフードをほとんど食べないなどの大きな変化や、その他気になる症状がある場合は必ず動物病院を受診してください。
ドッグフード食べなくなったら、試したい「工夫」!
主食のドッグフードを食べないからと犬用おやつや副食にあたるようなドッグフードを中心に与えてしまうと栄養が偏り、病気にかかりやすくなるので注意してください。そこでまずは、以下のような工夫をしてみましょう。
・今のドッグフードに「トッピング」をしてみる
今与えている「総合栄養食」のドッグフードにトッピングしてみるのも手です。この時注意したいのは、トッピングの量と食材です。
トッピングの量は、愛犬の1日に必要なエネルギー要求量の2割以下にとどめるように、その分ドッグフードを減らすようにしっかりと計算してください。また、その日におやつも与える場合も、おやつとトッピングの合計カロリーが、エネルギー要求量の2割以下になるようにして与えましょう。
トッピングする⾷材は、市販の⽝⽤ふりかけはもちろん、⽝が⾷べられる茹でた野菜やお⾁など、味付けがないものを与えてみてもOKです。
このとき、前述した通り、おやつやトッピングで与えたカロリーの分だけドッグフードの量を減らす必要があります。2割追加して良いわけではありません。
ただし、「療法⾷」は病気に合わせて栄養バランスが調整されているので、「療法食」にトッピングはNGです。注意して下さい。
「療法食」を食べないときの裏ワザとして、においだけを変えるという⼿もあります。まず、だしパックやお茶パック、茶葉をのぞいたティーバックにかつおぶし等を⼊れてフードの袋にいれて振ってみます。すると、においだけがついて⾷欲が増すことがあります。この⽅法だとフードの成分は変わらないので参考にしてみてください。
・ウエットフードなどに変えるのも手
ドライフードを食べない場合は、ウエットフードなどに変えてみるのもおすすめです。ただし、市販されているウエットフードの中には「総合栄養食」ではないものも含まれているので、購入する際はパッケージに「総合栄養食」と記載されたものを選んでください。
また、最近では食いつきがよくなるように工夫されたドッグフードも増えているため、「ドッグフードを変えたら食べた」というケースも珍しくありません。今与えているメーカーと違ったドッグフードを検討するのも一つの手といえるでしょう。
新しく与えたドッグフードを食べない場合は・・・
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