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【獣医師監修】犬に豆腐を与えるときは注意が必要。与えるメリットとデメリットを解説

ヘルシーな食べ物というイメージの強い豆腐。じつは、犬にとってはメリットもある一方で、デメリットも見逃せない食品です。豆腐に含まれる栄養素を紹介するとともに、与える際の注意点や適量、アレルギーの可能性について、豆腐を使ったレシピも紹介します。

佐野 忠士 先生

犬に豆腐を与えるときは高脂肪や大豆アレルギーに要注意

茶碗に盛られた豆腐
bhofack2/gettyimages
健康食品として海外でも人気の高い豆腐。「畑の肉」ともいわれる大豆から作られる豆腐は、タンパク質以外にも、カルシウムやマグネシウム、カリウム、オリゴ糖、リノール酸、鉄など、犬の体によいさまざまな栄養素を含んでいます。
そのため、「愛犬にも与えて大丈夫だろう」と思っていたり、犬の体のために積極的に与えたいと考える人もいるかもしれません。

しかしながら、愛犬に豆腐を与えるときにはいくつかの注意が必要です。

意外と脂肪分が多く、与え過ぎるとカロリーオーバーになり、肥満や糖尿病の原因になる心配があります。

豆腐を愛犬の健康に役立てるには、まず豆腐に含まれる栄養を知って、与える場合は適量を守ることが大事です。
さらに、大豆が主原料の食品なので、大豆アレルギーのある犬に与えてはいけません。
そのほかにも、豆腐に含まれる栄養素のなかには、犬の体質や体調によっては気をつけなければいけないものがあります。
食卓から気軽に豆腐を与える前に、まずは豆腐の栄養と犬にとってのメリット、デメリットを正しく理解しましょう。

豆腐のおもな栄養素|タンパク質が豊富、脂質も高め

下からカメラを仰ぎ見る茶色いチワワ
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
豆腐(木綿)に含まれるおもな栄養素 ※数値は可食部100gに含まれる成分
エネルギー73kal
水分85.9g
タンパク質7.0g
脂質4.9g
炭水化物1.5g
灰分(無機質)0.7g

文部科学省「食品データベース」https://fooddb.mext.go.jp/index.plより参照

犬が豆腐を食べるメリット|健康な筋肉や骨をキープ、整腸作用や免疫力アップにも期待

ピンクの毛布を被って健気な表情でカメラをじっと見つめる茶色いカニーンヘン・ダックスフンド
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
豆腐に含まれる栄養素のうち、犬の健康をキープするのに役立つことが期待されるおもなものを以下に紹介します。

カルシウム|筋肉のスムーズな動きをサポート、丈夫な歯や骨をつくる

カルシウムは、筋肉の収縮や弛緩、つまり筋肉をスムーズに動かすのに必要な栄養素です。「リン」とバランスをとって骨や歯の健康を保つのにも役立ちます。
犬は体内でカルシウムを合成することができないため、食べ物から摂取する必要があります。ふだんから適量のドッグフード(総合栄養食)を主食として与えていれば、カルシウムが不足することはありませんが、豆腐でカルシウム不足を補うのもよいでしょう。

オリゴ糖|腸内環境の改善、免疫力アップ

豆腐は、大豆の甘味のもとになっているオリゴ糖を多く含んでいます。
オリゴ糖は、腸のなかで乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌のエサとなって、それらを増やして腸内環境を改善する働きがあります。腸内環境がよくなると、便通がよくなるだけでなく、免疫力のアップにつながるといわれているので、整腸作用に加え、病気の予防効果も期待できるでしょう。

リノール酸|コレステロールの低下、アレルギー抑制

意外に思うかもしれませんが、豆腐には脂質が多く含まれています。
脂質のなかでもとくに注目したいのが、不飽和脂肪酸のリノール酸。コレステロール値を下げ、アレルギーを抑制するなど様々な効果に注目が集まっております。

大豆イソフラボン|骨粗鬆症や循環器系の疾患の予防効果

イソフラボンは、マメ科の植物に多く含まれているポリフェノールの一種で、大豆に含まれているものはとくに「大豆イソフラボン」と呼ばれています。
大豆イソフラボンは、人の骨粗鬆症や循環器系の疾患の予防効果が期待されるもので、細胞にダメージを与える活性酸素を除去する抗酸化作用や末梢の血管を拡張させ、臓器の隅々まで血流を促進する作用もあるといわれています。

高タンパク低カロリー|皮膚や筋肉の健康維持、フードのカサ増しにも

豆腐は良質な植物性タンパク質が豊富な食べ物です。肉や魚に含まれる動物性タンパク質に比べると、高タンパク質な割にカロリーが低いので、肥満が心配される犬にも比較的与えやすい食品です。肥満は高血圧や糖尿病など病気の原因になる可能性があるので、食欲旺盛な犬のフードのカサ増しに利用してもよいかもしれません。

犬が豆腐を食べるデメリット|体によい栄養素も摂り過ぎは体調不良や病気の原因に

絨毯の上に座り、首を傾げて黒い目で斜め左上を見つめている白い小型犬(Mix)
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
豆腐には犬に与える際に、注意しなければならない点もあります。豆腐に含まれる栄養素のなかで、飼い主さんが知っておきたいものを紹介します。

カリウム|腎臓病、心臓病の犬は要注意!

豆腐の原料である大豆には、カリウムが多く含まれています。
カリウムは、筋肉や神経の働きを円滑にする作用や血圧をコントロールする働きがあるほか、体内の塩分や水分量を調節し、老廃物を体外に出す利尿作用があります。そうした作用自体は犬の体にプラスに働くものですが、カリウムの過剰摂取は、血液中のカリウム濃度が上がる「高カリウム血症」を引き起こす恐れがあります。高カリウム血症になると、四肢のしびれや筋力の低下、嘔吐、不整脈、頻脈などが起こり、重篤な場合は命を落とすことも。

カリウムなどの体への影響については、それぞれの個体で大きく異なってきます。定期的な血液検査、健康診断でかかりつけの獣医師に相談するようにしてください。
腎臓病を患っている犬やシニア犬で腎機能が衰えている場合にはカリウムの排出がうまくできない可能性があるので注意が必要です。また、心機能が低下している、心臓の治療などを行っているなど、心臓について獣医師の指導を受けている場合は、豆腐を与える前にかかりつけの獣医師の先生と相談してみてください。

サポニン|体質によっては嘔吐や下痢の原因になることも

大豆からできている豆腐には、大豆に含まれる「サポニン」という成分が多く含まれています。
サポニンには、体にとって有害な作用を示す活性酸素を除去する抗酸化作用や免疫力の向上、血流の改善などの作用が期待されます。そうしたメリットがある一方で、犬の体質によっては、一時的な嘔吐や下痢を起こす場合もあるといわれています。重篤な中毒症状を示すことはそれほど一般的ではありませんが、注意が必要な成分といえるでしょう。

カルシウム|尿路結石のリスク

カルシウムは、筋肉の収縮や弛緩、つまり筋肉をスムーズに動かすのに必要な栄養素で、骨や歯の健康を保つのにも役立つものです。ただし、カルシウムはシュウ酸と結びつくと、シュウ酸カルシウム結石を作る可能性があります。尿路結石症の既往がある犬には、カルシウムの多い豆腐は与えないほうがよいでしょう。

マグネシウム|過剰摂取は尿石症の原因にも

マグネシウムは、心臓の健康維持や骨や歯を作るのに必要な栄養素ですが、多量に摂取するとストルバイト結石を形成しやすくなるといわれています。豆腐に含まれるマグネシウムはそれほど多い量ではありませんが、尿石症の既往がある犬や現在治療中の犬、腎臓や肝臓などに問題がある場合には、豆腐を与えないほうが安心でしょう。

大豆アレルギー|痒み、嘔吐、下痢などアレルギー症状の原因に

犬の食物アレルギーは、牛肉や乳製品など動物性タンパク質に対して生じることが多いのですが、稀に大豆がアレルギー源になることがあります。
豆腐は大豆が原料なので、大豆アレルギーがある犬には食べさせてはいけません。食べ物によるアレルギーは子犬期に発症することが多いのですが、成犬になってから発症する場合もあります。大豆アレルギーがあるかどうかわからない場合は、まず少し与えてみて、下痢や嘔吐、皮膚を痒がるなどのアレルギー症状が出ないかどうか確認してから、その後も与えてよいかを判断しましょう。

脂肪|意外と多い脂肪分

消化がよくヘルシーなイメージの強い豆腐ですが、じつは栄養成分を見ると意外と多くの脂質を含んでいます。
その量は、鶏のささ身と同量比で比べても約5倍。高タンパク食品としては、肉や魚などの動物性食品に比べれば低カロリーですが、脂質が多い分、食べ過ぎはカロリーオーバーになりかねません。

犬に豆腐を与えるときの注意ポイント|加熱してから与える。加工品は与えない

前足でおやつのガムを持って一生懸命齧っているベージュ色のチワワ
いぬのきもち投稿写真ギャラリー

与えてよい部位

健康な犬に与えてもよい豆腐の種類は、豆乳を凝固剤(にがり)で固めて作られる木綿豆腐か絹ごし豆腐です。

木綿豆腐と絹ごし豆腐は、含まれる栄養素に違いはありませんが、含まれる栄養は木綿豆腐の豊富です。水分が多い絹ごし豆腐は、水分過多になる心配も。豆腐の栄養価を効率よく摂取するなら、木綿豆腐がおすすめです。なお、胡麻豆腐、卵豆腐、ピーナッツ豆腐などは、名前に豆腐とついていても原料は異なります。

与えるときの適量

犬に豆腐を与える場合は、体重に合わせて以下の量を目安にしてください。ただし、あくまでもカロリー上の算出値なので、主食(総合栄養食)の摂取を阻害しない量にとどめることが大切です。
また、犬の年齢や健康状態によっては、特定栄養素の過剰摂取につながることもあるので注意しましょう。

犬の体重目安1日あたりの摂取可能目安
小型(2~5kg)26g~51g(1/12丁~1/6丁)
中型(6~15kg)59g~117g(1/6丁~1/3丁)
大型(20~50kg)145g~288g(2/5丁~9/10丁)

※木綿豆腐1丁315g(約10cm×7cm×3.7cm)として算出
※数値は、避妊・去勢済みの犬で体重相応のおやつ(1日の総摂取カロリー目安の1割)として算出

調理方法

犬に豆腐を与えるときは、加熱してから与えましょう。
豆腐の原料である大豆には、膵臓のタンパク質分解酵素を阻害する「トリプトシンインヒビター」という物質が含まれています。この物質は、加熱することによって働かなくなりますが、豆腐の製造工程で行われる加熱は完全に活性を阻止するほどの温度と時間ではないため、少量ですが残ってしまいます。

人はトリプトシンインヒビターが少量含まれる豆腐を食べても何ら問題ないのですが、犬にとっては少量のトリプトシンインヒビターでも、消化不良や下痢の原因になります。犬の体を守るために、豆腐を与えるときは茹でるか電子レンジで加熱してから与えましょう。

なお、人間が食べるときは調味料や薬味を使いますが、犬に与えるときはNGです。とくに薬味のネギは犬にとっては深刻な中毒の原因になる危険な食べ物なので、絶対に加えないでください。

手作りフード「豆腐」レシピ

エプロンをし、椅子に座ってテーブルの上にある3歳の誕生日ケーキをじっと見つめているチワワ
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
誕生日のパーティや記念日などのハレの日におすすめの、豆腐を使った犬用のデザートを紹介します。

豆腐のミニショートケーキ

【材料(6cm角 1個分)】
  • 木綿豆腐・・・6×6cm

  • イチゴ・・・1個

  • キウイ・・・20g

  • オートミール・・・5g

【作り方】
  1. フライパンにオートミールを入れ、火にかけます。キツネ色になるまで煎ります。
  2. キウイは種を除き、5mm角に刻みます。
  3. 木綿豆腐の側面に1のオートミールをまぶしつけ、中央にイチゴを配置します。
  4. 周囲に2で用意したキウイを散らしたら完成!

キャロブの生チョコ風

【材料(2cm四方 9個分)】
  • キャロブパウダー・・・小さじ2

  • カボチャ・・・50g

  • 絹ごし豆腐・・・15g

  • 水・・・小さじ1/2

【作り方】
  1. 皮と種、ワタを取り除いたカボチャを1cm角に切り、耐熱皿に入れます。水を加えてラップをかけたら、電子レンジ(500W)で2分30秒加熱します。
  2. 加熱したカボチャ、絹ごし豆腐、キャロブパウダー小さじ1をよく混ぜ合わせます。
  3. 形を6cm四方の正方形に整え、9等分に切り揃えます。残りのキャロブパウダーを全体に振りかけたら完成!

豆腐の栄養を活かすなら、与え過ぎないよう注意して

どんなに体によい食べ物でも、過剰に摂取すれば逆効果になることも。豆腐の栄養価を愛犬の健康維持に役立てるなら、適量を守ることが大切です。
愛犬の体調を観察しながら、たまにフードのトッピングに加えてみてはいかがでしょうか。
犬には与えてはいけない食べ物や、注意したい食べ物があります。確認しておきましょう。
監修/佐野忠士先生(酪農学園大学獣医学群獣医学類准教授)
文/村田典子
※一部写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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