犬と暮らす
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原因不明の脱毛症で、ふわふわの毛がゴワゴワに……飼い主さんと4年間治療法を模索し続けた、ごんくんのお話
今回ご紹介するのは、原因不明の脱毛症を患い、飼い主さんとともに4年間治療法を模索し続けた、ごんくんのお話です。
ある日突然、被毛がゴワゴワに変化した
ポメラニアンが大好きというKさんは、2017年にブリーダーから生後2カ月のごんくんを迎えました。同じ時期に迎えたシェットランド・シープドッグのぼにぃちゃんとともに元気に育っていったごんくん。それがある日、Kさんは、ごんくんの毛質が急に変化したのに気づきました。
「1才を過ぎたころ、ふわふわだった毛質がゴワゴワと、まるでナイロン製のぬいぐるみのような毛質に変化したんです。その後、少しずつ脱毛が始まったのですが、最初はそんなに深刻には考えていなくて……」
念のため自宅近くの動物病院で診てもらったところ「アロペシアX」という診断を受けました。この病名は、「原因が謎の脱毛症」という意味で、まだ治療法が確立されていない、治癒が難しい脱毛症であること。そして、とくにポメラニアンなど小型犬に多く見られる症状であることがわかったそうです。
Kさん夫妻は、同じ犬種の愛好家が集うインターネットのサイトなどを通して、いぬ友達のつながりを広くもっていたため、ポメラニアンの飼い主さんにリサーチなども行いました。
「すると予想以上に、脱毛症で悩むポメラニアンの飼い主さんが多いことがわかりました。飼い主さんの間では通称『ポメ禿げ』なんて言われるほど、知られていた症状だったんです」
数々の情報をもとに、動物病院探しが始まる
その動物病院からは、被毛を濡らすことがよくないのでシャンプーは控えて、草木にも触れさせないようにと指示をされ、Kさんは散歩も短めにするなど細心の注意をしていました。そして、処方された薬も飲ませ、約1年通ったのですが、なんと逆にごんくんの脱毛はさらに悪化してしまったそう。
「ますます脱毛が進み、背中は黒ずんだ皮膚がむき出しになってきて、足先の毛もなくなり血がにじむほどになってしまいました。アロペシアXは、犬の体質によって治療法もさまざまと聞いたので、きっと治療法がごんの体に合わなかったんだ、と夫婦で落胆しました」
それでもKさんは前向きに次の可能性を探っていきました。「脱毛がひどくなるにつれ、ごんの元気がなくなり、食欲も落ちてしまい、本当に心配になりました。同居犬のぼにぃはなんの問題もなく、ふさふさの被毛なのに……。ごんを絶対に元のモフモフのポメラニアンの姿に戻してあげたいという強い気持ちのもと、あきらめずに次を探しました」
出典/「いぬのきもち」2023年5月号『困難と闘う!……その先のしあわせへ』
取材協力/ひまわり動物病院
撮影/田尻光久
写真提供/Kさん
取材・文/袴 もな
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