シベリアン・ハスキーを飼ううえで、その寿命と健康管理法を知っておくことは大切です。今回は、シベリアン・ハスキーの平均寿命や注意したい病気、長生きの秘訣について解説します。簡単健康チェック法もご紹介するので、ぜひ自宅で実践してみてくださいね。
シベリアン・ハスキーの平均寿命は何才?特徴と性格は?
シベリアン・ハスキーの特徴と性格
北極圏やシベリアで、遊牧民・イヌイットのそり犬として飼われていたシベリアン・ハスキー。独特のまだら模様のある顔面、骨太でたくましい足、長時間走るため厚くクッション性のある肉球が特徴です。平均体重16~27kgの中~大型犬ですが、そり犬の中では軽量の犬種とされています。
性格は活発でエネルギッシュ、好奇心旺盛である一方、慎重で控えめな傾向や、独立心が強く頑固な一面を見せる犬もいるようです。また人と暮らしてきた歴史が長いため、オオカミのように野性的な見た目とは対照的に、人やほかの犬に友好的でしつけもしやすいといわれています。
シベリアン・ハスキーの寿命
シベリアン・ハスキーの寿命は、12年程度とされています。ただし、寿命はさまざまな要素によって個体差が生じるものなので、あくまで目安として覚えておくとよいでしょう。
ちなみに、一般社団法人ペットフード協会の調査によると、2017年時点の犬全体の平均寿命は14.19才、中・大型犬の平均寿命は13.29才でした。過去5年間でみると、犬全体の寿命は延伸傾向にあるようです。
シベリアン・ハスキーはこんな病気に要注意!
シベリアン・ハスキーの寿命を伸ばすためには、健康を妨げる病気から守ることが重要です。シベリアン・ハスキーのかかりやすい病気を、いくつかご紹介します。
進行性網膜萎縮(しんこうせいもうまくいしゅく)
網膜が徐々に萎縮することで少しずつ視力が低下し、最終的には失明にいたる病気です。初期は症状に気づきにくいですが、夜間の散歩を嫌がったり、歩くときにものにぶつかったりといったしぐさがあらわれることもあります。定期的に目の検査を受けておくと安心です。遺伝性の病気で治療法はないため、家具の位置など生活環境をなるべく変えず、視力が落ちても迷わない工夫をしてあげましょう。
白内障(はくないしょう)
目の水晶体が変化して白く濁り、視力が低下する病気です。主に老化が原因となりますが、遺伝や外傷、糖尿病などのほかの病気から起こることも。歩くときにものにぶつかったり、鼻先で探ったりといったしぐさが見られ、症状が進行すると失明にいたります。治療は、点眼薬などで進行を遅らせる方法や、白濁した水晶体部分を取り除く手術などがあるようです。
脂漏症(しろうしょう)
アレルギーなどにより、体がべとついて油っぽくなったり、乾燥してフケが増えたりする病気です。悪化すると皮膚の赤みやかゆみ、脱毛などが見られることもあります。シベリアン・ハスキーの皮膚はダブルコートの被毛にびっしりと覆われていて蒸れやすいため、シャンプーやブラッシングで通気性のよい清潔な状態を保って予防しましょう。
外耳炎(がいじえん)
細菌や真菌に感染することで、耳の穴に炎症が起きる病気です。耳をかく、頭をふる、耳アカがたまる、耳がくさいといった症状が出ます。炎症がひどい場合、出血や痛みが生じたり、慢性化して厚くなった皮膚が耳道をふさいだりすることも。耳の中が蒸れると悪化しやすいため注意が必要です。
毎日3分でできる!簡単健康チェック法
定期的な健康診断とあわせて毎日の健康チェックを行うと、愛犬の体調変化にすぐ気づくことができ、病気の予防・早期発見に役立ちます。特に重点的に見ておきたい、耳・目・皮膚のチェック項目を表にまとめました。
毎日したい耳・目・皮膚の健康チェック法部位 | チェック項目 |
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耳 | 耳の穴や周辺が、赤くなったり黒ずんだりしていないか親指と人差し指で耳の付け根を押さえ、中指で後ろから押して耳を裏返すようにめくると見やすい |
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耳の後ろの毛が薄くなっていないか |
耳のそばでニオイをかいで、いつもと違うニオイや鼻を突くニオイがしないか |
目 | いつもより目ヤニや涙が多くないか | 少し離れた位置から見て、左右の目の大きさが極端に違っていないか |
上まぶたをあげて白目の色を、下まぶたを下げてまぶたの裏側をチェック白目や下まぶたの裏は充血していないか |
瞳の色が白っぽくなっていないか。 |
皮膚 | 首からお尻、足をまんべんなく触り、発疹や腫れ、しこり、ベタつき、脱毛、毛玉はないか |
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愛犬をあおむけにして、おなかまわりやわきの下、内股の皮膚に赤みや脱毛はないか |
毛を逆立てるようにめくり、皮膚に赤み、フケ、脱毛はないか |
指の間や肉球に赤みや傷、出血、ひび割れ、擦れはないか |
肛門まわりに赤みや腫れ、ウンチ汚れはないか |
上手にチェックするポイントは、愛犬を警戒させないよう、正面ではなく背後や横から見ることです。慣れれば3分程度でできるので、ぜひ全身をなでてあげながらスキンシップも兼ねて毎日の習慣に取り入れてみてくださいね。
シベリアンハスキーの寿命を延ばす秘訣は?
日頃の生活習慣も、愛犬の寿命や健康に大きく関わってくるポイントです。シベリアン・ハスキーの特徴にあったお世話で、健やかな生活をサポートしましょう。
十分な運動量を確保する
シベリアン・ハスキーは、そり犬だった過去から、体力が豊富で走ることが大好きな犬種です。散歩やドッグランなどで十分な運動量を確保し、エネルギーを発散させましょう。散歩は1日2回最低1時間ずつ、速足で歩くタイミングも取り入れながら行うのが理想的。しっかりと運動させることは加齢による筋肉量低下の防止にもつながりますよ。
栄養バランスのとれたフードを与える
主食として与えるドッグフードは、水とフードだけで栄養バランスがとれるようにつくられた、総合栄養食を選びましょう。年齢ごとに必要とする栄養素の量が違うので、「子犬用」「成犬用」「シニア犬用」「大型犬用」など、年齢と目的に応じたフードを与えることも大切です。
快適な生活環境を保つ
寒い地方が原産のシベリアン・ハスキーは、高温多湿な日本の夏が苦手です。夏場の室内の温度は、愛犬がハアハアしない程度の低さに設定し、湿度も快適に保ってください。春や秋でも、冷房が必要な場合があるかもしれません。
また、活発でイタズラ好きな犬もいるため、危険な場所には仕切りを設置する、コード類や家具には噛み防止剤を塗るなどして事故を予防しましょう。シニア犬を飼育する際は滑りにくい床材を用意したり、寝床にクッション性の高い敷物を敷いたりすると、肘や関節の負担を和らげるのに有効です。
被毛ケアも必須
ダブルコートで毛量の多いシベリアン・ハスキーは、大量の抜け毛が出ます。また余分な毛は、放熱を妨げて大きな体に熱がこもる原因にも。ふだんは週に1~2回のブラッシング、換毛期は特に念入りにブラッシングやシャンプーを行い、むだな毛を取り除きましょう。ブラッシングを行っていればトリミングは必要ありませんが、絞ったタオルで体を拭くなどのケアを取り入れるのもおすすめです。
シベリアン・ハスキーの寿命は12才程度ですが、健康状態などにより個体差が生じます。活発でアクティブな犬種なので、十分な運動と栄養のある食事を心がけましょう。また暑さに弱く、皮膚や目の病気にもかかりやすいので、定期的な健康診断と日頃のケアやチェックを習慣にして、健康長寿を目指してくださいね。
参考/「いぬのきもち」2018年4月号『犬種連載シリーズ vol.34 I love シベリアン・ハスキー』(監修:代官山動物病院獣医師 獣医行動診療科認定医 藤井仁美先生)
「いぬのきもち」2017年12月号『毎日かんたん!&しっかり!たまに スキンシップにもなる Wチェックで健康を守ろう!年代別のチェックポイントつき』(監修:ぬのかわ犬猫病院 中田分院院長 獣医師 石田陽子先生、動物看護師 渡邉仁美先生)
「いぬのきもち」WEB MAGAZINE『シベリアン・ハスキーの特徴と性格・価格相場|犬図鑑』(監修:ヤマザキ動物看護大学講師 危機管理学修士 認定動物看護師 ペットグルーミングスペシャリスト 福山貴昭先生)
「いぬのきもち」 WEB MAGAZINE『いぬ図鑑(シベリアン・ハスキー)』(監修:ヤマザキ学園大学 動物看護学部)
監修/いぬのきもち相談室獣医師
文/nekonote
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。