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賛否両論?犬ににんにくを与えてはいけない理由とは

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滋養強壮の代名詞的な食材。人間以上に走り回る犬の疲労回復に…なんて軽い気持ちでにんにくを与えたくなってしまいますが、これって大丈夫なのでしょうか?

答えは「与えないでください」です。ネットで検索してみると、にんにくに関しては賛否両論の意見があります。この記事では、犬になぜにんにくを与えない方がいいのか、にんにくの持つ成分や効果について分かりやすく説明します。

この記事の監修

佐野 忠士 先生

 獣医師
 酪農学園大学獣医学群獣医保健看護学類准教授
 酪農学園大学附属動物医療センター 集中治療科診療科長

 日本獣医畜産大学(現 日本獣医生命科学大学)卒業
 東京大学大学院農学生命科学研究科獣医学専攻博士課程修了
 北里大学獣医畜産学部および同大学獣医学部勤務
 日本大学生物資源科学部獣医学科勤務

●資格:獣医師/博士(獣医学)/世界的獣医心肺蘇生ガイドラインインストラクター(RECOVER インストラクター)/CCRP

●所属:日本獣医麻酔外科学会日本獣医学会日本獣医師会日本動物リハビリテーション学会動物臨床医学研究所日本麻酔科学会日本臨床モニター学会

●主な診療科目:麻酔科/集中治療科

●書籍:『asBOOKS チームで取り組む獣医師動物看護師のためのICU管理超入門』『as BOOKS チームで取り組む獣医師・動物看護師のための輸液超入門』『動物看護師のための麻酔超入門・改訂版』 など多数

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にんにくの栄養素

クローズアップパープルのニンニクの束
Robert Daly/gettyimages

にんにくは、ユリ科に属していましたが現在はヒガンバナ科のネギ属に分類されています。にんにくは、もともと日本人に縁のない食べ物で、大昔から比較的、簡単に手に入ったのにも関わらず、現代のように食べられるようになったのは第二次世界大戦以降のことです。

もともと、積極的に肉を食べる民族ではなかった上、調理の基本が煮炊きということもあり、香りの強いにんにくは、あまり合わなかったのです。江戸時代に入り薬として獣肉が売られるようになると、臭い消しとして使用されるようになります。その後、明治に入り、肉食文化が訪れたことでようやく一般に流通するようになりましたが、食したあとの口臭や体臭が日本人の公衆衛生観に合わず、すぐに廃れてしまったのです。このことから分かるように、犬がにんにくを食べられるような環境になったのもごく最近のことなのです。

にんにくに含まれる栄養素は?

ご存知のようににんにくは非常に栄養価の高い食材として知られています。鎌倉時代の禅宗のお坊さんたちは、にんにくを食べることで精力がみなぎり煩悩を遠ざけることが難しくなることから「葷酒(くんしゅ)山門に入るを許さず」として食べることを禁止していましたし、古代エジプトではピラミッド建設に従事していた労働者たちに、毎日、ビールと玉ねぎ、それににんにくが疲労回復のために振る舞われていたのです。

これらは、みな、にんにくの高い栄養素を知っていた昔の人の知恵によるもので、古くから滋養強壮、精力増強に効果があることが分かっていたのです。獲物を追いかけるために走ることが必要不可欠な犬にとっても、にんにくの持つ疲労回復効果は魅力的に見えますよね。

にんにくを代表する栄養成分には、アリシン、ビタミンB6、セレン、スコルジニンといったものがあります。中でも、アリシンは、疲労回復にすぐれた効果を発揮すると言われる化合物で、ビタミンB1と結合することでアリチアミンへと変換されます。ビタミンB1より、さらにすぐれた吸収性を持つ成分となるのです。

また、神経伝達物質の元となる物質の生成に欠かせないビタミンB6の含有量が突出して多いことでも知られていて、アミノ酸の代謝や合成に大きく関係していると言われているのです。ビタミンB6は、水溶性のビタミンであるため、犬が過剰に摂取しても尿などと一緒に排出されてしまう一方で、ビタミンB6が欠乏すると皮膚疾患などの症状が出るほか、重篤化すると神経障害や脂肪肝、動脈硬化などを起こす恐れも指摘されています。

また、スコルジニンは、糖質をエネルギーに変換するビタミンB1の働きを助けてくれる効果を持つと言われている硫黄化合物です。人間の場合は、動脈硬化や高血圧の予防、食欲不振の改善、心機能の向上といった効果が期待できるとされています。これだけ高い栄養素があると聞けば、ついつい愛犬にも与えたくなってしまいますよね。でも、ちょっと待ってください、にんにくには、もうひとつ犬にとって非常に危険な成分が含まれているのです。

犬がにんにくを食べる危険性

おいしい味だボウルから食べる美しい犬、子犬食べる犬、自宅でペットのクローズアップ。ポメラニアン犬
Aonip/gettyimages

ネットで検索すると、犬にはにんにくを与えてもいいという記事をいくつか見ることができます。しかし、ほとんどの獣医師は犬ににんにくを与えることを推奨していません。その理由はどこにあるのでしょうか。実は、冒頭でもお話しましたが、にんにくはネギ属に分類される植物です。愛犬家の方ならご存知のことと思いますが、ネギ類は犬・猫にとって禁忌食です。犬は、ネギに含まれるチオ硫酸化合物が体内に入ることで中毒を起こしてしまうのですが、にんにくにも同じ成分が含まれているのです。

玉ねぎ中毒ってどんな病気?

チオ硫酸化合物は、ネギ属の植物の中に存在する催溶血物質を持つ成分です。犬がチオ硫酸化合物を摂取することで起こる症状は正確には「チオ硫酸化合物による赤血球酸化障害尿血症」と言いますが、一般的には玉ねぎ中毒などの名前で知られています。

玉ねぎ中毒とは、チオ硫酸化合物が赤血球のヘモグロビンを酸化させることで起こります。ヘモグロビンは赤色の色素で酸化することで赤血球の中にハインツ小体という病変が生成されることになるのです。ハインツ小体が含まれた赤血球はとてももろく、犬の体のあちこちで破裂してしまうのですが、これを溶血といいます。赤血球が血管の中で大量に溶血してしまうことで犬は重度の貧血を起こしてしまうのです。玉ねぎ中毒の犬の症状に血尿が見られることが多いのは、溶血した赤血球から流出したヘモグロビンが尿に混じることが原因と言われています。

玉ねぎ中毒にかかった犬に見られる症状としては、以下のようなものが報告されています。

下痢、嘔吐といった消化器系の異常
貧血や衰弱によるふらふら感
血尿
歩行障害
意識障害
心拍異常
嘔吐や下痢というのは、比較的初期に見られる症状で、これは、体内に入ってきた異物を速やかに排出しようとする働きのためです。さらに、歩行障害や意識障害といった症状が見られ、最悪の場合には命に関わることもあるのです。

加熱すれば大丈夫?

にんにくに含まれるチオ硫酸化合物は熱しても分解されません。にんにくよりもはるかに多くのチオ硫酸化合物を含む玉ねぎや長ネギの場合、煮物やすき焼きの残った汁を犬の餌として与えただけで発症したケースもあるのです。通常の場合、刺激臭の強い玉ねぎやにんにくなどは、犬が好んで口にするものではないのですが、甘辛く味付けされた料理の場合、喜んで食べてしまうこともあるようです。また、にんにくや玉ねぎを取り除いたとしても、チオ硫酸化合物は煮汁の中にも染み出してしまうので、結果として同様の症状が起こることが予想されます。

もし、犬がにんにくを食べてしまったら

もし、万が一、犬がにんにくを食べてしまった場合、できるだけ早めに専門医に診察してもらうことをおすすめします。玉ねぎのケースですが、金曜日の夜に鍋物の残りを餌として与えられた体重30キロのハスキー犬が土曜日に体調を崩し、月曜日には亡くなってしまったという報告もあります。たしかに、にんにくに含まれるチオ硫酸化合物は、玉ねぎに比べると少ないですが、注意するに越したことはありません。体調不良が見られない場合でも、かかりつけの獣医に連絡を入れておくことで、いざという時にすぐに診察してもらうことも可能なのです。

にんにくはドッグフードにも入っている

にんにくの高い栄養素に着目し、ドッグフードに配合してある商品を見かけることがあると思います。効能などを見ると、にんにくのニオイ成分による寄生虫忌避や血液サラサラ効果による動脈硬化の予防、さらには、ガンに対する抑制といったものまであるようです。しかし、犬は人間と違ってにんにくの持つ有効成分をすべて消化できる酵素を持っていないのです。

2007年にアメリカ、ヨーロッパなどで発生した、ペットフードにメラミンが混入した事件により、死亡したペットの数は数千頭にものぼると言われています。誰でも名前を聞いたことのある一流のペットフードメーカーでしたが、使用していた中国産の小麦粉が問題でした。とんでもない数の訴訟が起こされましたが、それでも愛すべきペットが帰ってくるわけではありません。

もちろん、現在のペットフードは安全を第一に作られていることはたしかですが、にんにくが犬にとってどうしても必要な食材であるとは言えません。命の危険といったリスクを払ってまで犬に与えるべき食材ではないのです。

犬がにんにくを口にしてしまったらすぐにかかりつけ医へ

子犬のお食事
TatyanaGl/gettyimages

非常に豊富な栄養素を含むにんにくですが、犬にとっては玉ねぎ中毒を起こす危険性を持つチオ硫酸化合物が含まれています。チオ硫酸化合物は加熱しても無効化できない成分で、多量に摂取した場合、溶血し、犬は重度の貧血を起こしてしまいます。犬ににんにくを与えることに関しては、専門家の間でもさまざまな意見があることは確かですが、少しでもリスクがある以上、愛犬に与えないようにしましょう。

監修/佐野忠士先生(酪農学園大学獣医学群獣医保健看護学類准教授)
文/BE
※一部写真はスマホアプリ「まいにちのいぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。

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