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獣医師監修|犬の生理(ヒート)の症状や期間、周期、注意点などを解説

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犬の生理(ヒート・発情期)について、正しく理解できていますか? 今回は、メスの飼い主さんに知ってもらいたい、犬の生理のしくみや始まる時期、周期、症状、注意点を解説します。犬の避妊手術や生理がこないときの対処法も解説するので参考にしてください。


監修/石田陽子先生(石田ようこ犬と猫の歯科クリニック院長)

犬の生理(ヒート)のしくみとは?

メスの子犬が成長し、成犬に近いくらいまで大きくなると、子犬を授かれる期間(発情期)と、そうでない期間(無発情期)を約半年ごとに繰り返すようになります。この繰り返し起こる一連の周期のことを、「発情周期」といいます。発情周期の一時期には、人の生理(月経)と同じように陰部からの血のようなおりものが分泌されるため、犬の発情を「犬の生理」と表現することもあるようです。

発情はオスと交配して子犬を授かるために、ホルモンの作用によってメスの体の準備が整えられる現象です。犬の場合は、数カ月ごとに1回、発情とその後の体の変化を繰り返します。人の生理のように出血が見られる時期を経過した後に、妊娠してもしなくてもホルモンは変化し続けます。それに応じた様々な体調不良も定期的に見られることがあります。

犬の生理(ヒート)はいつから始まるの?

画像/iStock、Getty Images Plus

一般的には、生後7~10カ月以降で最初の発情期を迎えることが多いですが、犬種や季節、飼育環境などの影響を受けるため、1歳を過ぎてから最初の発情期を迎える場合もあります。

この発情周期は、犬が高齢になっても完全になくなることはないと考えられていますが、実際には加齢に伴い発情の際の体の変化は徐々に小さくなり、無発情期も長くなる傾向に。そのため高齢犬は、はっきりとした発情の兆候は確認しにくくなります。

犬の生理(ヒート)の周期と症状は?

※写真はアプリ「まいにちのいぬのきもち」に投稿いただいたものです。

犬の生理にも人と同じように周期があります。発情の周期は4つの時期にわかれ、それぞれの時期で症状が変わってきます。おもな時期や症状は以下の通り。

時期期間症状
発情前期約7~10日・陰部の腫れ・陰部、子宮内膜からの出血・食欲不振
発情期約10~14日・前期の症状に加えてふだんよりも興奮気味になる・オスに積極的に近づく、許容姿勢をとるなど行動が変化する
発情休止期(発情後期)約2カ月・偽妊娠(妊娠していないのに体が妊娠しているのとほぼ同じ状態になること)・乳腺の腫れ・乳汁の分泌
無発情期4~8カ月・とくになし

犬の生理中(ヒート中)に気をつけたいこと

発情出血や外陰部の腫れなど、愛犬に発情の兆候が見られた際に、飼い主が気をつけたい対応は、主に以下の3つです。

散歩やお出かけ

発情は病気などの体調不良とは異なりますが、食欲のムラや軽い吐き気、便の状態の変化、頻尿など体調の変化を招きやすかったり、神経質になったりする時期です。そのため、その時期は長時間や遠距離のお出かけをすることは避けたほうがいいでしょう。
散歩については無理のない範囲であれば構いませんが、おむつやペットシーツなどを使用して、排泄物は外に残さず持ち帰るようにしてください。望まない妊娠などの事故を避けるためにも散歩中は犬から目を離さないようにし、ほかの犬の集まる場所に行くのは避けましょう。

被毛や皮膚のケア

発情出血などで毛が汚れやすい時期なので、犬が嫌がらない範囲であれば、自宅で軽く洗ってもいいでしょう。犬のストレスにならないように、洗う部分は必要最低限で、極力短時間で終わらせるようにしてください。また、腫れた外陰部付近は皮膚が敏感になっているため、あまり強く洗ったり、勢いの強いシャワーを当てたりすることは避けましょう。

なお、近頃では、発情出血の際に着用するおむつやパンツなどがありますが、着用したままにしていると、外陰部の周辺が蒸れて皮膚トラブルを起こすこともあります。自宅など、ほかの犬の迷惑にならない場所では外すか、こまめに皮膚のチェックをしましょう。

ほかの犬に対するマナー

発情期の犬は、ほかの犬にとって非常に興味をそそる匂い(フェロモン)を分泌します。とくに未去勢のオスにとっては刺激が強く、過剰に興奮させてしまったり、その結果として犬同士の激しいケンカが起こったりすることも。ほかの犬のストレスにならないよう、犬の集まる場所に行くのは避けましょう。

また、その匂い(フェロモン)は尿にも含まれますので、散歩中の排泄物もおむつやペットシーツなどを利用して、きちんと持ち帰るようにしましょう。また、発情出血が多い時期には、周囲への配慮として、屋外ではおむつやマナーパンツなどの製品を利用するのもひとつの手です。

この時期には、トリミングに連れていったりペットホテルに預けたりするのは、ほかの犬への配慮として避けたほうがいいでしょう。ただし、発情中の犬への対応については各施設でのルールなどを設けている場合もあるので、利用するならば施設への確認を行いましょう。

いぬのきもち WEB MAGAZINE「【獣医師監修】犬の発情期|オスとメスの違いや対処法~手術まで」

犬に望まない妊娠をさせないための避妊方法とは

※写真はアプリ「まいにちのいぬのきもち」に投稿いただいたものです。

犬に望まない妊娠をさせない2つの方法

犬の避妊方法は、大きく分けて以下の2つ。

(1)避妊手術をして、妊娠に関わる部分である子宮や卵巣を外科手術で取り除く方法。
(2)妊娠する可能性のある時期に、望まない交配をしないよう飼い主が犬の行動をコントロールする方法。

(1)では、一時的な体の負担などはあるものの、術後は発情による体調や情緒の変化がなくなり、子宮や卵巣(手術時期によっては乳腺)などの病気のリスクを減らせることが大きなメリットになります。
(2)では、犬は一回の発情期の間に妊娠可能な期間が一定期間しかないため、その期間だけ注意すれば望まない妊娠を避けられます。この方法は、外科手術による負担がないことや、後々別のタイミングでの妊娠・出産が可能なことがメリット。ただし、約半年ごとに繰り返す発情周期による体調、情緒への影響や、子宮や卵巣の病気のリスクはそのまま残ります。

これらとは別に、ホルモン剤の投与などで発情をコントロールするケースもありますが、あまり一般的ではありません。

避妊手術をしない場合の注意点

避妊手術を受けずに、犬の行動をコントロールして避妊する場合には、どのタイミングでどのように対応すればいいのかを知っておくことが必要です。「生理中、発情出血の量が多い発情前期には、とりわけ気をつけるようにしている」というご意見を耳にすることがありますが、犬が妊娠する可能性のある期間はその後の発情期のほうなので、そちらに気をつけるようにしましょう。

望まない妊娠を避けるためにより慎重に対応するのであれば、「発情出血が始まってから、発情期が完全に終わる(発情出血がなくなり、外陰部の腫れが徐々になくなり、オスを受け入れるような素振りがなくなる)まで」と、少し長い期間注意する必要があります。

犬の妊娠しやすい時期についても正しく理解する

一般的に、交配して妊娠しやすい時期(交配適期)は、発情期の5~6日目にあたるとされています。ですが、犬は精子の受精可能期間が比較的長いため、この時期より以前に交配をしても妊娠する可能性があると考えられています。そのため、理論上は、犬が妊娠可能な期間は発情期が始まってから約7日間と考えられています。

ではその7日間だけ気をつければいいのかというと、そうともいえません。なぜなら、発情期の始まりのタイミングをきちんと判断できない場合があるためです。

通常、発情出血の状況や外陰部の腫れ、犬の行動の変化、膣粘膜の細胞の変化などから発情期の始まりのタイミングについておおよその判断はできるものの、厳密に判断することが難しい場合も少なくありません。このことから、望まない妊娠を避けるのであれば、気をつけるべき期間をより長めに見積もり、体の変化や行動の変化が比較的わかりやすい発情前期の始まりから発情期の終わりまでを目安にするほうが、より安全であるといえます。

犬に生理(ヒート)がこないときは?

※写真はアプリ「まいにちのいぬのきもち」に投稿いただいたものです。

犬に発情がくるはずの時期になっても目立った発情出血が見られず、「生理がこない」ことも。いわゆる「犬の生理」と表現される発情出血の量は、毎回必ず一定量出るということでもありません。また、外陰部の腫れなど発情の際に特徴的な症状(発情兆候)も、その都度強かったり弱かったりと一定しないこともあります。そのため、犬の発情周期は、出血だけを見て判断するのではなく、そのほかの症状もあわせて理解することが大切です。

通常、避妊手術などを行わない限りは、発情周期が突然なくなることはまずありません。そのため、発情期がこないように見える場合には、発情期の見逃しや、発情周期が何らかの要因によっていつもより長くなるなど、変化した可能性があります。

発情期の見逃しは、発情出血や外陰部の腫れなど、発情期に特徴的な発情兆候が弱くあらわれた場合にありがちです。発情兆候が弱いという症状そのものは、飼育環境や加齢、長期の体調不良などの影響で起こることがあります。また、発情周期の変化についても、同様の要因で起こることがあります。

本来、発情期が来るはずの時期にそれが来ないように見えるなら、まずはそれが病的なものなのか、治療など何らかの対応が必要なものなのかの判断が必要です。かかりつけ医で受診し相談するなどの対応から始めるとよいでしょう。
また近年、犬の小型化が流行し、成長期の過度な栄養制限により、生理がくるべき月齢になっても生理が来ないケースも見受けられるようです。

犬の健康管理は飼い主さんの大切な役割

愛犬の健康管理は飼い主さんの大切な役割のひとつです。発情周期の期間を覚える、妊娠を望まないのであれば処置の方法を調べておくなど、いざというときに慌てないように今回紹介したようなことを学んでおくようにしましょう。



監修/石田陽子先生
獣医師。川崎市の石田ようこ犬と猫の歯科クリニック院長。
主に歯科・歯周外科診療と行動カウンセリングを行う。
愛犬は和音くん(オス・12才/4.7kg/ミニチュア・ダックスフンド)

川崎市の石田ようこ犬と猫の歯科クリニック

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