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【獣医師監修】犬にレンコンを与えるときは注意が必要。与えるメリットとデメリットを解説

レンコン(ハス)は、犬の体に役立つ栄養素が豊富に含まれている根菜類のひとつです。生、加熱いずれも与えて大丈夫ですが、過剰に摂取すると嘔吐や下痢などの原因になることも。愛犬の健康にレンコンを役立たせるために、覚えておきたいポイントを紹介します。

佐野 忠士 先生

犬にレンコンを与え過ぎると嘔吐や下痢に。腎臓病・結石症の犬は要注意

白い背景にレンコン
popovaphoto/gettyimages
レンコン(ハス)は、古くから漢方においてさまざまな薬効が認められていて、喉の痛みや咳止めの目的で食用されてきました。そうしたことから、「犬の咳にも効くらしい」といった情報も見受けられますが、犬にとっての薬効はまだ明らかになっていません。

それでも、レンコンには犬の活動エネルギーの源となるデンプンのほか、ビタミンやミネラル、食物繊維が豊富に含まれているため、犬が食べることで得られるメリットは多いと考えられます。

ただし、どんなに体によい食べ物でも、食べ過ぎによる弊害はつきものです。デンプンが多いレンコンは、イモ類に匹敵するほどカロリーが高い食材でもあります。豊富なビタミンやミネラル、食物繊維も過剰摂取しないように注意が必要です。

レンコンのおもな栄養素|主成分はデンプン、カロリーは高め

体重計にのっているヨークシャー・テリアの子犬
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
レンコンに含まれるおもな栄養素 ※数値は可食部100gに含まれる成分
エネルギー66kal
水分81.5g
タンパク質1.9g
脂質0.1g
炭水化物15.5g
灰分(無機質)1.0g

文部科学省「食品データベース」https://fooddb.mext.go.jp/index.plより参照

犬がレンコンを食べるメリット|便秘の解消と病気の予防、老化防止にも期待

眠たそうに目をつむって座っているパグの顔アップ
いぬのきもち投稿写真ギャラリー

食物繊維|豊富な不溶性食物繊維で便秘を解消

食物繊維には、「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」の2種類があります。水溶性食物繊維の役割は、腸の中で糖質の吸収をゆるやかにし、食後の血糖値の上昇を穏やかにすることと、コレステロールを体外に出すこと。一方の不溶性食物繊維は、腸の中で水分を吸って大きく膨らみ、便のカサを増して腸壁を刺激。腸のぜん動運動が促されることで、便秘解消につながるというわけです。レンコンは、とくに不溶性食物繊維が多い食べ物です

ビタミンC|関節炎の予防、強い抗酸化作用で病気予防や老化抑止も

ビタミンCはコラーゲンの合成に深く関与するほか、解毒やホルモン代謝を担う酵素のサポート、抗酸化作用による活性酸素の除去など、免疫機能に大きな役割を果たしています。ビタミンCが多い食べ物の代表格としてイメージされるレモンとほぼ同量のビタミンCを含みます。

なお、健康な犬は自分の体内でブドウ糖からビタミンCを合成できるため、「犬のビタミンC摂取は必要ない」と考えられていました。しかし最近の研究結果から、犬にもビタミンC欠乏症があることが明らかになりました。健康な犬でも5歳を過ぎれば体内のビタミンC合成能力が低下してくるとも考えられているので、シニア犬などは食べ物やサプリメントからビタミンCの補給を図るとよいかもしれません。

ちなみに、他の野菜と比べてそれほど多くないですが、ビタミンはB6も含まれています。アミノ酸の合成や分解をはじめ、脂質の代謝や血液の代謝、炭水化物の代謝などに多様な役割を果たしている栄養素です。皮膚や粘膜を健康に保ったり、貧血を予防したりするのに役立つと考えられます。

ミネラル|体のさまざまな機能を正常に保つ

レンコンにはカリウムやカルシウム、亜鉛、鉄などさまざまなミネラルが含まれています。ミネラルは、お互いが助け合って骨格構造や体液のバランスの制御、神経伝達、筋肉の収縮などに役立つものです。それぞれを過不足なく摂取することが大切で、そうしたことからもレンコンは優れた食べ物といえるでしょう。

タンニン|抗酸化作用と抗菌作用で病気の予防

レンコンを切ってしばらくすると、切り口の断面が黒っぽく変色してきます。これは、タンニンというポリフェノールの一種によるものです。ポリフェノールには5000以上もの種類があるといわれていますが、レンコンに含まれるタンニンは、ポリフェノールの中で「フラボノイド系」に属するもの。体内に活性酸素が増えるのを防ぐ抗酸化力を持っています。

犬がレンコンを食べるデメリット|食べ過ぎは下痢、便秘の原因に。腎臓病や結石にも注意

前足を出して伏せ、顔をあげているペキニーズ、耳にはピンクの花。首には赤いバンダナ
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
レンコンに含まれる栄養素のなかには、過剰摂取するとかえって体調不良の原因となるものもあります。愛犬にレンコンを与える前に、チェックしておきましょう。

食物繊維|過剰な不溶性食物繊維は便秘の原因に

腸内環境を健康に保ち、正常な便通を維持するには、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維のバランスが大事です。レンコンは、不溶性食物繊維が水溶性の約9倍含まれているため、食べ過ぎると便が大きくなり過ぎたり、固くなり過ぎたりして、かえって排便が困難になってしまいます。便秘解消に役立てるには、適量を与えることが大事です。

カリウム|腎臓病の犬は要注意

カリウムの過剰摂取は、血液中のカリウム濃度が上がる「高カリウム血症」を引き起こす恐れがあります。カリウム値が高くなると、四肢のしびれや筋力の低下、嘔吐、不整脈など体の不調をきたし、重篤な場合は命を落とす場合もあるので、注意が必要なのです。
とくに、腎臓病を患っている犬、シニア犬で腎機能が衰えている場合は、カリウムの排出がうまくできないので、レンコンを与える前に獣医師に相談してください。また、心機能が低下している犬の場合も与える前に必ず獣医師に相談しましょう。

カルシウム・マグネシウム|結石のある犬にはNG

カルシウムはシュウ酸と結びつくと、「シュウ酸カルシウム結石」の原因に。また、血液中のマグネシウム濃度が高くなると、「ストルバイト尿石(リン酸アンモニウムマグネシウム)」を作るリスクが高くなります。
結石の既往症がある犬には、レンコンは与えないほうが安心でしょう。

タンパク質に免疫機能が過剰反応すると食物アレルギーに

レンコンには100g中1.9gのタンパク質が含まれています。食物アレルギーは、食べ物に含まれるタンパク質に体内の免疫機能が過剰に反応して起こるため、稀にレンコンでアレルギー症状をきたす場合があります。

とくになんらかの食物アレルギーがある犬は要注意。最初は少量を与え、体の痒みや湿疹、下痢、嘔吐などが起こらないかよく観察してみましょう。

犬にレンコンを与えるときの注意ポイント|生、加熱どちらでもOK。すりおろすか刻んで

ブルーのソファに頭をのせて気持ちよさそうに眠っているmix(中型犬)
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
愛犬にレンコンを与える場合は、生でも加熱してもどちらでも大丈夫です。
ただし、食物繊維は犬にとってそもそも消化しにくいものなので、消化不良にならないように注意しましょう。

与えてよい部位

皮は消化が悪いので、ピーラーなどで剥いてください。レンコンには、皮以外に犬が食べられない部分はありません。

与えるときの適量

犬にレンコンを与える場合は、体重に合わせて以下の量を目安にしてください。ただし、あくまでもカロリー上の算出値なので、主食(総合栄養食)の摂取を阻害しない量にとどめることが大切です。

犬の体重目安
1日あたりの摂取可能目安
小型(2~5kg)28g~57g(7切~8切)
中型(6~15kg)65g~129g(15切~30 切)
大型(20~50kg)160g~319g(40切~75切)

※れんこん(生)1切=4gとして算出
※数値は、避妊・去勢済みの犬で体重相応のおやつ(1日の総摂取カロリー目安の1割)として算出

調理方法

犬にレンコンを与える場合、生、加熱どちらでもOKです。
食物繊維が多いので、犬が消化しやすいようにすりおろすか、細かく刻んでから与えましょう。
薄切りにしたレンコンを油で揚げたレンコンチップスを手作りする場合は、塩などの調味料は加えないでください。
また、レンコンはデンプンが多くカロリーが高めなので、油で揚げるとさらにハイカロリーになるので気をつけましょう。

レンコンは犬にとってメリットが多い。でも、食べ過ぎには注意して

犬のエネルギーになるデンプンが多く、食物繊維やビタミン、ミネラルも豊富なレンコン。与える量とアレルギーに気をつければ、愛犬の健康維持と病気の予防に役立ってくれる食材だといえそうです。
ほかの野菜(果物)についても、与えるときに注意が必要なものがあるので、確認しておきましょう。
監修/佐野忠士先生(酪農学園大学獣医学群獣医学類准教授)
文/村田典子
※一部写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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