犬と暮らす
UP DATE
「認知症を患うシニア犬も、病気の犬も、温かい家庭で最後は幸せになってほしい」
ここでは、犬と、犬を取り巻く社会がもっと幸せで素敵なものになるように活動している方々をレポートします。
今回は関東を中心に、不幸な境遇の犬たちを救って新しい家族を探す活動をしている動物愛護団体、NPO法人アグリドッグレスキューの活動を紹介します。
清永さんのご自宅は保護犬のプチシェルターに
24時間、保護犬を幸せにすることばかりを考えているという、NPO法人アグリドッグレスキュー代表の清永さつきさん。埼玉県にあるご自宅に伺うと、3階建ての住居の多くが保護犬たちを預かるためのスペースになっていました。
「私は幼少のころから動物ならなんでも大好きで、結婚後、犬と暮らすなら保護犬を迎えたいと思っていました。そして、アグリで出会った保護犬と暮らすために、家を新築することに。夫が建設業をしていることから、家には保護犬と暮らすための工夫をしてもらったんです」
たとえば、コンセントは犬がかじることがないよう、床から高い位置に設置。犬たちがひなたぼっこするベランダには木枠の高い柵が設けられていました。
「睡眠時間が削られても、犬たちを笑顔にできれば、それが一番の幸せ」
取材当日、清永さん宅には、愛犬3頭のほか、一時預かりの保護犬10頭がいました。元保護犬の愛犬3頭はアグリから迎えた犬たち。預かり犬のなかには、生後1カ月の4頭の子犬も。
「3頭の保護犬を迎えてから、今度は犬の預かりを始めて、その数が段々と増えていった感じですね(笑)」
清永さんは、13頭の犬たちのお世話を、日替わりで来てくれるボランティアとともに行います。毎朝4時には起床して、まず家事をこなしてから、犬たちの散歩やゴハンの準備に。
「散歩は犬たちの健康状態に合わせて個別に行うので、トータルで5〜6時間はかかります。日々の睡眠時間は2〜3時間くらいですが、まったく苦にならないんです(笑)。犬たちを笑顔にすることが私の一番の生きがいですから」と語る清永さん。
預かりをする保護犬は、認知症のシニア犬や、病気の治療が必要な犬をあえて選ぶことが多いそうです。
「愛護センターや保健所で余命わずかと言われた犬でも、家に連れ帰って手厚いケアをすれば、見違えるような笑顔になるんです。痛みや不快な症状を取ってあげれば、犬たちはたとえ短い間だって幸せに過ごせる。センターの収容室で孤独に死んでほしくないんです」
清永さんは、今までに多くの保護犬の看取りも自宅で行ってきました。そして、大切なのはどんな状態の犬たちとも、明るく楽しく接すること。
「人間が幸せじゃなかったら、犬だって幸せになれないですよね」。
次回は、アグリを卒業していった元保護犬たちの現在をレポートします。
※各情報は2021年12月7日現在の情報です。
出典/「いぬのきもち」2022年2月号『犬のために何ができるのだろうか』
写真/筒井聖子
写真提供/NPO法人アグリドッグレスキュー
取材・文/袴 もな
UP DATE