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ドッグフードの栄養のポイントは、最初に記載されている原材料だという話を聞いたのですが?

ドッグフードの原材料名は、重量の割合の大きいものから記載するルールになっています。このため、最初にどんな原材料が記載されているかを気にされる飼い主さんも多いようです。しかし、原材料名の表示順が、栄養素の割合や質と直接関係するとは限りません。

栄養素は、さまざまな原材料に含まれている

 ドッグフードの原材料を、まず栄養素の面で見ていきましょう。
 1つの原材料が、1つの栄養素を代表して担ってはいません。たとえば鶏肉には、たんぱく質も脂肪も、ビタミンも、それから水分も含まれます(生の肉であれば、その半分以上が水分です)。また、たんぱく質は、鶏肉にも、魚を粉にしたフィッシュミールにも、小麦や大豆などの穀類にも含まれます。ドッグフードの栄養素の割合とは、さまざまな原材料の栄養素をたした合計の割合です。そのバランスと消化・吸収性がいいことが、質がいいドッグフードといえます。ですから、原材料の最初に何が書かれているかだけでは、栄養素の割合や質を判断するものさしになりません。

良質のたんぱく質は、動物性の正肉由来とは限らない

 原材料の記載順と栄養素との関連については、『原材料の最初に「○○肉」と個別の動物性の原材料が書かれているかどうか』という関心とともに語られることも多いようです。たんぱく質は動物性の原材料にしか含まれていないわけではありません。動物性のたんぱく質から得られたアミノ酸も、植物性のたんぱく質から得られたアミノ酸も、まったく同じものです。ですから、グルテンなどの穀物由来のたんぱく質も、良質なたんぱく質です。消化性に疑問をもつ意見も見受けられますが、加工技術の進化で、動物性のたんぱく質とほとんど差がありません。
 また、グルテン(麦類のたんぱく質)やグレイン(穀物全般)が健康によくないという意見もあるようです。グルテンに対する免疫反応が起きて腸粘膜も攻撃してしまう「グルテン反応性腸症」の場合、グルテンを避けた食事をする必要がありますが、主にアイリッシュセッターなどのごく一部の犬にみられる遺伝性と考えられる病気なので、健康な犬には関係がありません。
 また、とくに犬の場合、食物アレルギーのアレルゲンとなるものに小麦グルテンがありますが、動物性たんぱく質である鶏や乳製品もアレルゲンとなります。アレルゲンは、免疫機能の整っていない幼犬期に多く口にした原材料に対して起きやすいといわれていて、「この原材料だから絶対にアレルゲンにならない」というものではありません。もちろん、獣医師の診察を受けて、実際に小麦や鶏のたんぱく質にアレルギー反応が出るとつきとめている場合には、それら特定の原材料の有無を原材料表記で確認することは、犬の健康のためにとても有効です。また、それらを目的に、アレルゲンとして多く報告されている原材料を避けてつくられた機能性フードも、さまざまに販売されています。

記載の順序は、記載の仕方で前後する!?

 じつは、原材料の記載順は、原材料の記載の仕方によって前後してしまうことがあります。小さな商品など、パッケージに情報が載せられるスペースが限られている場合があるので、原材料の記載は「穀類、いも類、豆類、魚介類、肉類」など、まとめた分類名で記載してもいいことになっています。「肉類」とまとめているから記載の先頭にくる場合もあれば、「チキン、ポーク」などと別々に書けばほかの原材料より後ろになることもあります。また、別々に表記している場合に限っても、動物性たんぱく質を1種類の原材料で調達した場合と、複数の家畜・家禽やその加工物から調達した場合で、他の原材料との記載順の位置は変わってしまいます。

生の肉なら、その重さの半分以上は水分

 さらに、原材料の記載順を大きく左右するものとして、原材料にふくまれる水分の重さがあります。
 さきに述べましたが、栄養満点なイメージのある生の肉は、その重さの半分以上が水分です。鶏肉であれば、約70%が水分です。ドライフードであれば加工の途中で失われてしまうこの70%もの水分が、原材料の重量にみなされます。これに対して、鶏を原材料としたチキンミールは、水分をほとんど含んでいません。原材料名として2番目、3番目に書かれているチキンミールが、最初に書かれている「鶏肉」よりも、より多くの栄養分を含んでいることもあります。

栄養バランスは、保証成分の表示を見て

 このように、原材料表示の順番は、消費者にわかりやすいよう重量順で記載する自主基準がある一方で、栄養素に関して言えば、製品全体に含まれる量やバランスで語られるべきで、各原材料の表示順にあまり振り回される必要はないということです。
 では、栄養素の量やバランスは、どこから知ればよいのでしょう。
 「ペットフードの表示に関する公正競争規約」では、保証成分として、主な栄養素や水分の重量比を表示することを定めています。このうち、たんぱく質と脂質(脂肪)は、健康の維持のために一定量が必要なため、「○%以上」と最低値が、粗繊維と灰分(ミネラル)、水分は、過剰に含まれていると栄養効率が悪くなったり健康に悪影響が出たりするので、「○%以下」と最大値が記載されています。また、多くの場合、代謝エネルギーも記載されています。
 「ペットフード公正取引協議会」の会員外の企業のフードの中には、原材料の表示順や添加物の明記のルール、成分表記のしかたが違うものもありますが、多くは、製造元や本部のある国や地域のルールにのっとったものです。

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監修/徳本一義(獣医師)
取材協力/ペットフード公正取引協議会
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