愛犬の口臭が気になりだしたら、口腔内や体内に病気が潜んでいる可能性があります。そこで今回は、口臭の種類別に考えられる病気と、口臭予防につながる口腔内のチェック法、歯磨き法について解説。まずは、飼い主さんたちが愛用している、デンタルケアグッズをみていきましょう。
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飼い主さん調査でわかった!人気のデンタルケアグッズ
いぬのきもち公式アプリ内でアンケートを実施し、飼い主さんが実際に愛用しているデンタルケアグッズの種類をうかがったところ、以下のような結果が明らかになりました。
どんなデンタルケアグッズを使っている?
また、同アンケートでは、飼い主さんに「気に入っている商品」や「一番よく使う商品」についても教えていただきました。回答数の多かった一部の商品と、使った感想についてご紹介します。(あくまで個人の感想です)
歯の汚れを除去するタイプの歯磨きガムを与える
【Amazon】ライオン (LION) ペットキッス (PETKISS) 食後の歯みがきガム 小型犬用 エコノミーパック 150g 1,170円 (税込) ※2021年1月の記事制作時
細かい繊維で汚れを除去するタイプの歯磨きガムです。
愛用中の飼い主さんの口コミ
- 「しつけ教室のトレーナーさんにすすめめられて」
- 「うちの犬が大好きだから」
- 「ネットでも近くの量販店でも安価で手に入りやすい」
- 「ニオイが消える。歯が汚れない」
歯垢や歯石が付着するのを予防するタイプの歯磨きガムを与える
【Amazon】ビルバック (Virbac) C.E.T.ベジデントフレッシュ XS 15本 1,511円 (税込) ※2021年1月の記事制作時
噛むことで、歯垢と歯石が付着するのを防いでくれる歯磨きガムです。
愛用中の飼い主さんの口コミ
- 「歯磨き目的で使い始めたけど、口臭も変わってきたように感じるため」
- 「ネットなどで好評で、そのうえ愛犬も喜んで食べるので」
- 「歯磨き効果があると思うから」
デンタルシートで汚れを拭き取る
【Amazon】ライオン (LION) ライオン ベッツドクタースペック デンタルシート 犬猫用 30枚 1,099円 (税込) ※2021年1月の記事制作時
指に巻き付けて、歯と歯ぐきの汚れを拭き取るシートです。
愛用中の飼い主さんの口コミ
- 「簡単にデンタルケアができるし、愛犬も喜んでペロペロするので使っています」
- 「だいたいのペットショプにおいてある」
歯磨きペーストを塗布する
【Amazon】【re:beaute リボーテ】愛犬の歯周病予防 愛犬用デンタルケアジェル Dr.wandel ドクターワンデル 30g(1ヶ月分) 8,700円 (税込) ※2021年1月の記事制作時
歯や歯ぐき、噛むタイプのおもちゃに塗って使う、歯磨きペーストです。
愛用中の飼い主さんの口コミ
- 「歯磨きが苦手なので、少しでもデンタルケアができればと思い、購入もしやすいので使っています」
- 「このペーストだと歯磨きさせてくれる」
マウスクリーナーを水に入れて飲ませる
【Amazon】KPS (ケーピーエス) マウスクリーナー 237ml 2,580円 (税込) ※2021年1月の記事制作時
愛用中の飼い主さんの口コミ
- 「水に混ぜるだけで予防できるから」
- 「簡単だから」
- 「歯石や口臭に効果があるということだから。犬の歯石が気になっていたから」
フードに混ぜて食べるタイプの粉末サプリメント
【Amazon】プロバイオデンタル(口腔善玉菌サプリメント)14g 粉末タイプ 2,214円 (税込) ※2021年1月の記事制作時
口専用の善玉菌が配合された、粉末の口腔ケアサプリメントで、フードに混ぜて与えます。
愛用中の飼い主さんの口コミ
「歯石除去の手術をしてもらったときに、獣医師の先生から『このままだと数年後また処置が必要になるから』とすすめられたのがデンタルバイオだったので、ずっと続けています」
消臭スプレーをふきかける
【Amazon】(Pet-Cool)ペットクールブレスケア60g 2,750円 (税込) ※2021年1月の記事制作時
ニオイの原因となる雑菌を不活性化し、消臭するタイプの口腔ケアスプレーです。
愛用中の飼い主さんの口コミ
- 「ペットショップの人にすすめられて」
- 「効果が得られた。市販されているのでネットでも店舗でも手に入る。定期購入などの縛りがなく気軽に買える」
以下の記事では、歯磨きが苦手な犬におすすめのデンタルケアグッズをご紹介していますので、あわせて参考にしてみてください。
犬の口臭の種類別に疾患のある部位や原因を探ってみよう
犬の口から、さっき食べたフードと違うニオイがしたら、口腔内や体内に問題を抱えている可能性が考えられます。なかには重篤な病気になっているケースもあるので、ニオイの特徴別に、原因として疑われる病気をみていきましょう。
犬の口から生ゴミのようなニオイがする原因
歯周病
歯周病は口内の細菌が原因で、歯肉に炎症が起きる病気です。犬が歯周病になると、生ゴミのような口臭のほか、歯ぐきに腫れや出血がみられることもあります。
口内炎
口内炎とは栄養不足や細菌感染、歯周病などが原因で、口の中の粘膜に炎症が起こる病気で、この炎症が原因となって、生ゴミのようなニオイを放つことがあります。口内炎ができると、口臭のほかに、大量のよだれや微熱が出ることも。
舌炎(ぜつえん)
舌炎は口の中にできた傷や歯周病などが原因で、舌に炎症が起こる病気です。生ゴミのような口臭のほかには、大量のよだれや舌の表面が白くただれるなどの症状があらわれることがあります。
犬の口から甘ったるいニオイがする原因
糖尿病
糖尿病は体内のインスリンが減り、必要な糖が吸収できず尿と一緒に出てしまう病気です。唾液中の糖分が多くなるので、それが甘い口臭のもとになります。この病気を患っていると、口臭のほかに、多飲多尿や体重減少といった症状もみられるでしょう。
門脈シャント
門脈シャントは、一部の血管が肝臓を通らず直接心臓につながっているため、本来肝臓で解毒されるはずの毒素が体内に循環する病気です。この病気にかかると、甘い口臭のほかに、発育不全やけいれんなどの障害も起こります。
犬の口から生臭い・血生臭いニオイがする原因
胃がん
犬も人と同じように、がん(悪性腫瘍)二なることがあります。とくにスキルス胃がんの場合はよく吐くので、胃酸混じりの酸っぱいニオイがし、さらに進行すると吐血し、血生臭いニオイがすることがあるでしょう。なお、胃がんで口臭の症状が出たときには、かなり進行していている状態といえるので、十分注意が必要です。
扁平上皮( へんぺいじょうひ)がん
扁平上皮がんは口の中のほか、皮膚や鼻の先端、爪の根元などに発生する悪性腫瘍です。病状が進行すると潰瘍部が出血しはじめ、それとともに細菌感染も起きるので、血と膿が混じったニオイになることもあります。
犬の口から強烈な腐敗臭がする原因
メラノーマ(悪性黒色腫)
メラノーマは犬の口の粘膜や皮膚などに発生し、早期にリンパ節や肺に転移することがある悪性腫瘍です。皮膚にできた場合、ニオイはありませんが、口の中にできたときは家中が臭くなるような強烈な腐敗臭を放つ口臭と、血混じりのよだれが出るなどの症状がみられます。
尿毒症(にょうどくしょう)
何らかの病気が原因で腎臓が正常に機能せず、尿から老廃物を排出できなくなると、毒素が体内にたまり、尿毒症を引き起こします。口からオシッコのニオイがするのは深刻な状態なので、救急で受診したほうがいいでしょう。
犬の口腔内のトラブルによる口臭を防ぐためのチェックポイント
もし、愛犬から病気を疑う口臭がする場合は、早めに動物病院を受診したほうがいいでしょう。予備軍も含め3才以上の犬の約80%が歯周病にかかっているともいわれますので、スキンシップを兼ねたチェック方法を紹介します。
①口臭はないか
愛犬の口元に鼻を近づけて、口臭を確認しましょう。愛犬の口のニオイが、少し前に食べたもののニオイでなく、不快なニオイがしていたら、歯周病や口腔内腫瘍などが疑われます。
②歯石、歯肉の腫れはないか
犬の歯垢と歯石は犬歯と奥歯につきやすく、歯ぐきの赤みや腫れもそこから始まることが多いとされています。愛犬の唇を押し上げ、左右の歯(とくに上の歯)の歯ぐきの腫れ、汚れを確認しましょう。
前歯のチェックも忘れずに!
鼻の両脇から指をで唇を押し上げて、前側から歯ぐきの腫れをチェックすることも忘れずに行いましょう。
③唇の裏側が腫れていないか
愛犬の唇を押し上げて、裏側全体もチェックします。ここに口内炎や口腔内腫瘍ができることがあるので、腫れていたら動物病院を受診しましょう。
④歯の裏側に歯垢や歯石がないか、舌に腫れがないか
愛犬が嫌がらなければ、歯の裏側や舌の表面など、口の中の奥のほうまで見ると、病気の早期発見につながります。
下記の記事では犬の虫歯チェック法が紹介されているので、気になるかたは参考にしてみてください。
犬の口臭をケアする歯磨き法
単に口臭を防ぐためだけでなく、愛犬が歯のトラブルでつらい思いをしないためにも、できれば歯磨きを習慣にしたいものです。歯磨きペーストと歯ブラシを使った歯の磨き方を習得して、デンタルケアを習慣にしましょう。
①歯磨きペーストを指にとり、愛犬の歯ぐきに塗る
まずは、歯ブラシに歯磨きペーストをとります。次にペーストを指にたっぷりととり、唇を押し上げ、歯ぐきをなでるように奥までつけましょう。ペーストは犬好みの味が多数あるので、愛犬が好きな味をたっぷり塗ると、夢中でなめてくれるはずです。
②愛犬が歯磨きペーストをなめている間に歯ブラシで磨く
愛犬が歯磨きペーストをなめ始めたら歯磨きを開始しましょう。汚れがたまりやすい歯と歯ぐきの境目を重点的に磨きます。歯磨きペーストは磨き終わるまで何度つけ直しても大丈夫です。
犬の口臭の原因は日常のケアで取り除こう
愛犬の口からいつもと違ったニオイがする場合、口の中に木の枝、割り箸や菜箸などの異物が挟まっているというケースもみられます。ふだんから愛犬の口臭を気にしていれば、ケガや誤食、病気にいち早く気づけるので、毎日のチェックを怠らないようにしましょう。
参考・写真/「いぬのきもち」2017年12月号『毎日かんたん!&たまにしっかり!スキンシップにもなるWチェックで健康を守ろう 年代別のチェックポイントつき』
参考/「いぬのきもち」2015年6月号『ニオイが変!でわかる犬の病気』
監修/いぬのきもち相談室獣医師
文/こさきはな
※記事と一部写真に関連性はありませんので予めご了承ください。