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【獣医師監修】犬の車酔いは克服できる? 車酔い対策やグッズは
犬でも車酔いをする子が多くいます。そこで今回は、犬が車酔いをする原因やおもな症状について解説します。飼い主さんができる車酔い対策や、犬を車に乗せる際の注意点などについてもご紹介するので、ぜひ参考にしてみてくださいね!
この記事の監修

芝崎 考次郎 先生
犬の車酔いのおもな原因と症状とは?

犬が車酔いをする原因
犬が車酔いをするメカニズムは人と同じです。車の揺れやエンジンの振動などが内耳にある三半規管や前庭を刺激し、自律神経や平衡感覚を乱すことによって起こります。
また、一度車酔いを経験したことのある犬は、車に乗ることが“嫌なこと”になってしまい、その記憶から、次に車に乗った途端にストレスから車酔いの症状が出てしまうことがあるようです。
そのほか、車内のニオイも車酔いを引き起こす一因とされています。芳香剤などのニオイは、嗅覚の優れた犬にとっては刺激が強すぎるので、なるべく使用を控えましょう。
犬が車酔いをすると以下のような症状が現れます。
犬の車酔いのおもな症状
- 大量のよだれが出る
- 嘔吐する
- 震える
- そわそわする(落ち着きがない)
- 頻繁にあくびをする
- キュンキュンと鳴く/吠える
もっともわかりやすい症状は嘔吐ですが、犬が車酔いで嘔吐するまでには、よだれなどの症状が現れているケースが多いようです。愛犬を車に乗せる際は、様子に異変はないかなど、こまめに観察してあげましょう。
犬の車酔い対策① 事前にできること

車酔いをしやすい犬はもちろん、初めて愛犬を車に乗せる場合は、車酔いを経験させないためにも、以下のような対策を取ってみましょう。
車に慣れるトレーニングをする
まずは、愛犬を車自体に慣れさせることが大切です。なお、このトレーニングは事前にクレートなどのハウスに慣れさせる必要があります。まだうまくハウスができない場合は、ハウスのトレーニングから始めてみてください。
【車に慣れるトレーニング法】
- 車内に動かないよう設置したクレート(ハウス)の中に愛犬を入れます。
- 5分程度静かにしていてくれれば、第一段階はクリア。このとき、車酔いのようなしぐさが見られた場合は、吐く前にすぐ降車させてください。
- 車内で静かにしていられるようになったら、車は動かさずにエンジンをかけてください。1分、2分と少しずつ時間を延ばし、エンジンをかけた状態で5分程度酔わずにいられたらクリアです。
- もし途中で具合が悪くなったようなら、外の空気を吸わせてリフレッシュさせましょう。
このようにしてまずは停まっている車に乗ることに慣れてきたら、次は少しドライブしてみましょう。ドライブといっても、愛犬の様子をうかがいながら、近所を5分ほど走る程度でOK。飼い主さん一人の場合は安全面も考慮し、助手席にクレートを置くようにしてください。問題なくドライブできたら安全な場所に停車し、水を飲ませたり排泄させたりして休憩させましょう。
その後、慣れてきたら徐々にドライブの時間を延ばしていきます。もし長時間ドライブするようなら、1時間おきを目安に休憩するようにしてくださいね。
車にいいイメージを持たせよう
ある程度車やドライブに慣れたら、近場のドッグランや公園などへ連れて行き、“車に乗るとよいことがある”と覚えさせることも、車酔い対策としては有効です。また、車に乗っただけでどうしても酔ってしまうなら、車内で遊んであげるなどして苦手意識を少しずつ解消させましょう。
犬の車酔い対策② 直前・乗車中にできること

事前にいろいろ対策しても、車酔いをなかなか克服できない犬もいます。しかし、どうしても愛犬を車に乗せなければならない事情もあるでしょう。そんなときは、以下のようなポイントに注意してみてください。
車に乗せる直前にご飯や水は与えない
車に乗る直前の食事は、車酔いを誘発するといわれているので、車に乗せる2時間前までには、食事をいつもより少な目に済ませるようにしておきましょう。ただし、空腹過ぎても犬は車酔いしやすくなるので、注意してください。
空気の入れ替えやニオイ対策をする
お話した通り、車内の芳香剤のニオイは犬の車酔いの原因となるので使用を控え、タバコを吸う場合は、車内で吸わないようにしてあげてください。また、窓を開けてこまめに空気の入れ替えをするのもポイント。窓が開いていることで、外のさまざまなニオイを嗅げるため、気分転換になることもあります。
ただし、窓を全開にして犬に顔を出させる行為は、道路交通法違反になるので注意が必要です。ちなみに、運転中の車内で運転手の膝の上に乗せるのも違反行為。法律はしっかりと守るようにてください。
安全運転をこころがけ、揺れを最小限に
犬の車酔いを予防するには、飼い主さんの運転テクニックも必要になってきます。急ブレーキや急ハンドルは人でも酔いますし、車嫌いの原因にもなってしまうこともあります。安全運転を心がけ、揺れを最小限に抑えましょう。また、車内ではしっかりと固定したクレートなどのケースの中で、静かに過ごさせることも大切です。
犬の車酔い対策③ 薬やつぼマッサージなど

このように、さまざまな対策をとってもどうしても車酔いしてしまう場合は、獣医師に相談し、犬用の酔い止め薬を処方してもらう手もあります。インターネットなどでは、「人用の酔い止めは使用できる?」という質問も目にしますが、それは絶対にNGです。必ず犬用の酔い止め薬を飲ませるようにしてください。
また、飼い主さんのなかには、愛犬を車に乗せる前、車酔いに効くとされるツボをマッサージする人も。車酔いに効くとされるツボとマッサージのポイントは以下の通りです。
車酔いに効くツボ&マッサージ法
・車酔いに効くツボ
内関(ないかん)
前足首の内側にある2本の筋の間で、犬の指3本幅分上のところにあるツボ。
・マッサージ法
親指と人差し指で挟むように抑え、足先に向かってさするように指圧します。両足6~10回を目安に、車に乗る20分程前に行いましょう。
慣れて車酔いを克服する犬も……ただし無理は禁物!

一切車酔いをしない犬もいれば、乗ってすぐに吐いてしまう犬もいるなど、車酔いの程度は個体差が大きいようです。ご紹介したような方法を繰り返すことで、克服できる犬もいますが、やはりどうしても車が苦手な犬も少なくありません。困ったときは無理をせず、獣医師へ相談するようにしましょう。
いぬのきもち WEB MAGAZINE「犬が車酔いする理由とその対策|実は人が原因のことも」
いぬのきもち WEB MAGAZINE「愛犬の車酔いを防いであげたい…愛犬とドライブデートしたい飼い主さん注目!」
いぬのきもち WEB MAGAZINE「《苦手レベル別》犬の車嫌い克服方法|春だから愛犬とお出かけしたい!」
参考/「いぬのきもち」2018年1月号『12回で基本をすべてマスターできる!はじめてしつけコンプリートドリルvol.11車の乗せ方・お出かけ』(監修:Can!Do!Pet Dog School 代表 西川文二先生)
「いぬのきもち」2017年2月号別冊『犬だって、お疲れです… 愛犬にしてあげたいツボ・マッサージ』(監修:かまくらげんき動物病院院長 日本ペットマッサージ協会理事長 日本メディカルアロマテラピー動物臨床獣医部会理事長 石野孝先生、かまくらげんき動物病院副院長 日本ペットマッサージ協会理事 日本ペット中医学研究会学術委員 相澤まな先生)
監修/芝崎考次郎先生(相模大野プリモ動物病院副院長)
文/hasebe
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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