一見同じように見える柴犬のしっぽですが、実は9種類に分類できるのをご存じでしょうか? 今回は、柴犬のしっぽの種類や、しっぽでわかる柴犬の気持ちについてイラスト付きで解説。また、柴犬の歴史や特徴などの豆知識もあわせてご紹介します。
柴犬(しばいぬ)ってどんな犬種?
柴犬の歴史
柴犬の骨は、なんと2500年以上前の遺跡から発掘されており、柴犬と日本人の付き合いは縄文時代にまで遡るとされています。かつては日本の山陰地方に生息していて、小動物や鳥の猟犬として活躍していたのだそうです。
洋犬が輸入されるようになった1868年以降になると、異種交配が流行して純粋な柴犬が激減した時期もありました。しかし、その後「日本犬を守ろう」とする風潮が広まり、1936年には日本の天然記念物に指定され、現在に至ります。
柴犬の見た目の特徴
柴犬の標準体重は、メスが8kg、オスが10.5kg。犬全体で見ると「中型犬」に属されることが多いですが、日本犬のなかでは「小型犬」に分類されています。
毛色(カラー)は、黒、胡麻、赤、白と全部で4種類ありますが、どの毛色でも共通して、顎の下からお腹、尾にかけて「裏白」と表現される白い毛が見られます。なお、よく見かけるカラーといえば赤い毛色の柴犬でしょう。
柴犬の性格の特徴
柴犬は独立心が強い傾向があり、飼い主さんをどんなに信頼していても、比較的ひとりで過ごすこと好む犬が多いようです。その一方で、遊びたいときや甘えたいときはそばに寄ってくるなど、ときに“猫のような性格”を見せることも。
また、柴犬は誰彼問わず甘えることは少なく、飼い主さんだけに心を許す傾向が強いため、「忠犬」という印象を与える犬も少なくないでしょう。それゆえ、柴犬には頑固な一面もあるので、しっかりとしつけをする必要があります。
柴犬がなりやすい病気
原因は明らかになっていませんが、柴犬をはじめとする日本犬は、洋犬に比べると「認知症」になりやすい傾向があります。そのほか「アレルギー性皮膚炎」や「外耳炎」も、柴犬に比較的多く見られます。また、「緑内障」や「てんかん」などの病気も起こすことがありますので、心配な症状があれば早めに動物病院に相談をしましょう。
柴犬のしっぽには種類があるって知ってる?
柴犬に関する基本事項がわかったら、本題です! 柴犬の魅力のひとつでもあるしっぽ。柴犬のしっぽは、基本的に体の上にくるりと巻き上がった「巻き尾」ですが、これからご紹介するイラストを見るとわかるように、柴犬のしっぽの巻き方はどれも同じではありません。犬によって微妙な違いがあるので、見比べてみると興味深いですよ。
「右巻」と「左巻」
参考・写真/「いぬのきもち」特別編集『柴犬との暮らしがもっと楽しくなる本』
参考・写真/「いぬのきもち」特別編集『柴犬との暮らしがもっと楽しくなる本』
多くの柴犬がこのタイプの巻き尾だといわれています。しっぽが背骨より右左どちらに巻いているかで、「左巻」か「右巻」に決まります。
「右二重巻」と「左二重巻」
参考・写真/「いぬのきもち」特別編集『柴犬との暮らしがもっと楽しくなる本』
参考・写真/「いぬのきもち」特別編集『柴犬との暮らしがもっと楽しくなる本』
右巻、左巻の巻き具合がより強く、しっぽの先がほぼ一周しているしっぽを「右二重巻」「左二重巻」といいます。
「車巻」
参考・写真/「いぬのきもち」特別編集『柴犬との暮らしがもっと楽しくなる本』
「車巻」は、柴犬を上から見たときに、左右どちらにもよらず、背骨に沿っている巻き尾です。
「半巻」
参考・写真/「いぬのきもち」特別編集『柴犬との暮らしがもっと楽しくなる本』
「半巻」は、しっぽの先端部分が体から離れて、ゆるく巻いているのが特徴です。左右のより具合で「左半巻」や「右半巻」ということもあります。
「差尾」と「半差巻」
参考・写真/「いぬのきもち」特別編集『柴犬との暮らしがもっと楽しくなる本』
参考・写真/「いぬのきもち」特別編集『柴犬との暮らしがもっと楽しくなる本』
柴犬を横から見たときに、しっぽの先が背中に届かず、半円を描ききれていない形をしているのが「差尾」です。ちなみに、半巻きと差尾の中間くらいの巻き具合のしっぽを「半差尾」いいます。
「太刀尾(たちお)」
参考・写真/「いぬのきもち」特別編集『柴犬との暮らしがもっと楽しくなる本』
「太刀尾」は、柴犬の中ではかなり珍しい種類のしっぽです。巻き尾ではなく、刀を立てたようにピンと立っているのが特徴で、柴犬のなかでも「山陰柴犬」に多く見られるようです。
そもそも、犬のしっぽの役割について知ってる?
このように、柴犬のしっぽには9種類もの形があることがわかりました。では、犬のしっぽの役割についてはご存知でしょうか。犬のしっぽは、単なる「チャームポイント」ではないのです。
役割①走っているときにバランスを取る
犬は、走っているときにしっぽを立てたり、急カーブのときにしっぽを倒したりすることで、転ばないようにバランスを取っているという説があります。
役割②感情表現のツール
犬がしっぽで感情表現をすることは有名な話。柴犬のしっぽは巻き上がっているのでいつも同じように見えますが、他の犬種同様にしっかりと気持ちを表しているのですよ。それでは柴犬は、しっぽでどのように感情表現しているのでしょうか。
柴犬のしっぽでわかる気持ち
楽しい気持ちを表現するときは「大きく左右に振る」
もともと、柴犬は日ごろからしっぽを穏やかに巻き上げていることが多いですが、特に楽しいときやうれしいときにテンションが上がると、しっぽの位置をさらに高くして左右に大きくフリフリします。しっぽを振るペースが早ければ早いほど、興奮が高まっている証拠なのだそう。
ちなみに、柴犬はしっぽ以外でも、楽しい気持ちやうれしい気持ちを表現します。飼い主さんをじっと見ながら、目の前で行ったり来たりしたり、お尻をあげてフセをしたりするときは、テンションが上がっている証拠。このときにしっかりと相手をしてあげることで、ますます絆が深まるでしょう。
しっぽが下がっていたら怖がっているサイン
先述のとおり、個体差はあるものの、柴犬はふだんからしっぽを自然に上げていることが多いです。そのため、柴犬のしっぽがいつもと違って力なくダランと下がっているときは、体調不良や気分の落ち込みがあるなど、何かきっかけがある場合も少なくありません。
ちなみにこのようなしぐさは、初めての場所にいるときや、知らない人になでられたときなど、緊張している際にすることもあるようです。また、しっぽを下げるだけでなく、さらにお腹側にぴったりと巻いているようなら、かなりの恐怖を感じている可能性も。
このようなときには、耳を寝かせたり、鼻の上にしわを寄せたり、唇をめくって牙や前歯を見せたりするなど、ほかのサインを見せることもあります。いずれにしても、愛犬のそういったサインに気がついたら、原因になっている不安感や恐怖心を取り除いてあげることが大切です。
しっぽを振りながら唸ったら警戒しているかも?
しっぽを振るのは、楽しいときやうれしいときだけではありません。興奮している時にも激しく振ることがあります。ですので、柴犬がしっぽをふりながら唸ったり、背中の毛を逆立てたりしていたら、威嚇をしている可能性大。しっかりと見極めて、正しく対処しましょう。
しっぽが可愛い柴犬は魅力的な犬種!しつければ最高の関係に!
くるっと巻いた柴犬のしっぽは、とても魅力的ですね。もしも街中で柴犬を見かけたら、どんなしっぽをしているのか、チェックしてみてはいかがでしょうか? ただし、柴犬は警戒心が強い一面もあるので、近づきすぎないように注意しましょう。
なお、実際に柴犬を迎え入れたら、飼い主さん以外の人やほかの犬とトラブルを起こさないためにも、しつけは“超重要事項”のひとつです。きちんと知識を身につけてしつけやお世話に取り組めば、ほかの犬種では味わえない「最高のパートナー」になってくれるでしょう。
参考・写真/「いぬのきもち」特別編集『柴犬との暮らしがもっと楽しくなる本』
監修/いぬのきもち相談室獣医師
文/hasebe
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。