女子フィギュアスケートのアリーナ・ザギトワ選手が飼い始めたことなどでも話題の「秋田犬」。そんな秋田犬に興味を持った方もいるのではないでしょうか。今回は、秋田犬の平均寿命を中心に、秋田犬の特徴や寿命を延ばすコツ、しつけのポイントを解説します。
秋田犬の平均寿命は?
秋田犬の平均寿命は、11.6才といわれています(※)。犬全体の平均寿命が13.4才なので少し短く思えますが、大型犬になるほど平均寿命が短くなる傾向から見ると、11.6才は平均的ともいえるでしょう。
また、医療や飼育環境の改善などからも、秋田犬や犬全他の平均寿命は今後も延びていく可能性があります。
※一般社団法人「東京都獣医師会霊園協会」による統計
秋田犬ってどんな犬?
テレビやインターネットなどで秋田犬を目にする機会があっても、実物を見たことがまだないという方も多いのではないでしょうか。そこでここでは、秋田犬の特徴についてご紹介します。
秋田犬のルーツ
秋田犬のルーツは秋田県大館(おおだて)市にあり、もともとは猟師とともにクマやイノシシを追う「マタギ犬」として活躍していたと考えられています。
江戸時代に流行した「闘犬」の目的で、より強く大きい犬にするため、洋犬や日本のほかの犬種と交配され現在の姿となりました。その後、闘犬が国内で禁止されると日本犬としての純粋さを存続する目的で「秋田犬保存会」が設立され、1931年には「天然記念物」に指定されています。
秋田犬の見た目の特徴
秋田犬は、日本犬の中では唯一の大型犬です。体高はおよそ61~73cm、体重は35~50kgと、大型犬の中でも大きい部類に入るでしょう。そんな秋田犬は、がっしりとした体格に長い足が特徴的です。首は太くてたくましく、腰は幅広で全体的に体躯のバランスが整っています。また、しっぽは背中側にくるっと巻いているのも特徴的で、付け根の位置は高めです。
顔つきは、小さく三角形に近い瞳や、先っぽが丸みを帯びた耳などから、素朴さも感じられるでしょう。
秋田犬の毛の特徴
秋田犬は寒さに強く、その体は短毛で硬いまっすぐな上毛(オーバーコート)と、柔らかで密集した下毛(アンダーコート)に覆われています。また、毛色は種類が豊富で、赤や虎、白、胡麻などがあります。白以外の毛色でも、顔の前面やおなかと足の内側は白っぽい毛色をしているのも、秋田犬の毛の特徴です。
秋田犬の性格の特徴
秋田犬は知的で、やさしく温和な面があるとされています。また、飼い主に従順で、忠誠心があるといわれ、その忠誠心の強さは、秋田犬がモデルとなったといわれている「忠犬ハチ公」の物語からも知ることができるでしょう。
ここに注意して!秋田犬の寿命を延ばすためにできること
では、秋田犬の寿命を延ばし、健康に暮らしてもらうためにできることとは、どのようなことでしょうか。
ストレスを溜めない
猟犬をルーツとする秋田犬。それだけに、運動不足はストレスを溜める原因となってしまいます。ストレスはあらゆる病気の引き金となる恐れがあるので、ストレスを溜めないように運動させることが寿命をのばすことにもつながるでしょう。
秋田犬のように大きい体のエネルギーを充分に発散させるためには、毎日の散歩は欠かせません。秋田犬の場合は、1回につき1時間程度の散歩を1日に2回ほど行うことが理想です。
病気の早期発見
かかりやすい病気を知って病気の早期発見に努めることも大切です。秋田犬がかかりやすい病気には次のようなものがあります。
・皮膚病
秋田犬はもともと皮膚が弱く、皮膚病にかかりやすい傾向があります。皮膚病になると、フケや脱毛といった症状が見られるほか、皮膚のべたつきも生じることも。皮膚病予防のためには、清潔を保ちましょう。
・臍(さい)ヘルニア
臍ヘルニアとは、おへその下の筋肉のすき間からお腹の中の脂肪や腸の一部がとび出してしまう病気です。ヘルニアの部分が小さければ、成長とともに自然と治ることもありますが、ヘルニアが大きい場合や脂肪や腸がお腹の中に戻らない場合は、悪化して嘔吐や腹痛、食欲減退などの症状が現れます。
・眼瞼内反症(がんけんないはんしょう)
眼瞼内反症とは、いわゆる“逆さまつげ”の一種で、まつげが目を刺激することで充血したり、結膜炎になったりする病気です。秋田犬は目が小さいため、とくに子犬の頃に起きやすいとされていて、成長とともにまぶたが押し出されることで自然に治ることもあります。ただし、症状が重い場合は手術が必要になるケースも。
飼育環境を整える
秋田犬は寒さに強く、暑さと湿気に弱いため、適切な温度・湿度管理は必須です。前述したとおり、もともと皮膚が弱い秋田犬は、高温の状況下では皮膚病を起こしやすくなる恐れがあります。また、高齢になるほど体温調節が難しくなるので、熱中症対策には充分注意しましょう。
秋田犬に特に重要なしつけ
最後に、秋田犬のしつけの重要ポイントをご紹介します。
「マテ」は絶対
秋田犬は、ときに飼い主さんの命令が耳に入らなくなってしまうほど、何かに夢中になってしまうことがあります。これは本能的なものですが、体の大きな秋田犬を力ずくで止めることは難しく、「マテ」で制することができないと、人にケガをさせてしまうことも。
こういったトラブルを予防するためにも、「マテ」は徹底的に覚えさせる必要があります。
「噛みグセ」は事故につながる
秋田犬は噛む力が強く、人やほかの犬に噛みつくなどの問題行動をおこすと、最悪の場合、命にかかわる事故につながります。そのため「マテ」同様、「噛みグセ」をなくすことは、秋田犬のしつけの重要事項といえるでしょう。
「吠えグセ」は、ご近所トラブルのもとに
秋田犬は体だけでなく声も大きいため、ご近所とのトラブルになることがあります。吠えグセには何かしらの原因があるので、吠える理由を探り、解決してあげることが大切です。
「トイレ」のしつけは子犬の頃から
どんな犬種でも同様ですが、「トイレ」のしつけは人と共に暮らすうえでは欠かせません。体の大きな秋田犬は排泄物も多く、ニオイも強くなりがちなので、子犬の頃からトレーニングしましょう。
「強い忠誠心を持つ」とされる秋田犬ですから、確かな絆を築くことができれば、かけがえのないパートナーとなるでしょう。しかし、しつけの難易度が高くなる大型犬だけに、飼うには充分に検討する必要があります。秋田犬が暮らしやすい環境を提供できるか、しつけをきちんとできる体力やテクニックがあるかなど、もう一度考えてみましょう。
そしていざ飼い始めたら、長生きしてもらえるように日々努力することが大切ですよ。
参考/「いぬのきもち」WEB MAGAZINE『いぬ図鑑(秋田)』 (監修:ヤマザキ学園大学 動物看護学部)
監修/いぬのきもち相談室獣医師
文/kate
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。