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犬の「ドッグフード原材料」表示の読み方や安全性を獣医師が解説!

愛犬に毎日与えるドッグフード。みなさんは、その原材料について、正しく理解していますか? 今回は、ドッグフードの原材料の正しい読み方や安全性について解説します。主な原材料および添加物の定義についてもご紹介するので、参考にしてみてくださいね。

徳本 一義 先生

 獣医師
 有限会社ハーモニー代表取締役
 日本ペット栄養学会理事
 ペットフード協会新資格検定制度実行委員会委員長
 日本獣医生命科学大学非常勤講師
 帝京科学大学非常勤講師
 など

●資格:獣医師 経営学修士(MBA)

●所属:日本ペット栄養学会

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ドッグフードの原材料表示の正しい読み方とは?

ドッグフードのパッケージには、たくさんの原材料名が書かれていますが、その安全性などについてきちんと理解するためには、ドッグフードの原材料表示に関するルールや正しい読み方を知っておくと役立ちます。

ドッグフードの原材料表示欄にはきちんとしたルールがある

加工製品であるドッグフードは、消費者がフードだけを見てもそれだけでは、何から作られたものかわかりません。そのため、パッケージには添加物も含めてすべて記載することが、「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律(ペットフード安全法)」によって決められています。(※)

そして、この原材料表記の内容が、消費者である飼い主さんたちにとって、よりわかりやすくなるために、ペットフード公正取引協議会によって「ペットフードの表示に関する公正競争規約」というルールも設けられています。

※加工助剤のように製造の過程で使用されて最終的に製品に残らないものについて記載義務はありません。

ドッグフードの原材料名は「重量の割合の大きいもの」から記載

この規約では、原材料名の表記について、“添加物以外の原材料は、原材料に占める重量の割合の多い順に記載すること。なお、分類名による表示も可能とする。”と定めています。

つまり、ドッグフードの原材料名は、重量の割合の大きいものから記載するルールになっているのですが、原材料名の表示順が、栄養素の割合や質と直接関係するとは限らないので、注意が必要です。

記載の仕方で順番が前後することがある

たとえば、パッケージが小さい商品などは、情報を載せられるスペースが限られているため、原材料の記載を、「穀類」「魚介類」「肉類」など、まとめた分類名で記載してもよいことになっています。

つまり、「肉類」と記載されているから先頭にくるのであり、チキンやポークなど、別々に記載されれば、ほかの原材料より後ろになる場合もあるのです。また、個別に表記されている場合も、動物性たんぱく質をひとつの原材料から調達した場合と、複数の原材料などから調達した場合では、記載順の位置は変わってくるでしょう。

生の肉を使っている場合も注意

原材料に含まれる水分の量も、原材料の記載順を左右するものとして挙げられます。
たとえば、生の鶏肉は重さの約70%が水分ですが、ドライフードであれば加工の途中で、その水分は失われてしまいます。それにもかかわらず、原材料の重量にみなされ、先頭に記載されることがあるのです。

一方、鶏肉を原料とし、皮などの脂肪分を取り除いて乾燥させた「チキンミール」は、水分がほとんど含まれていないため重量は少ないですが、先頭に記載されている「鶏肉」とタンパク質などの量はほとんど変わりません。
このように、原材料表示は、何が使われているかが飼い主さんにわかりやすいように、重量順で記載するよう基準が定められているのであり、栄養バランスや質などについて知る上ではあまり参考になりません。
愛犬に与えるドッグフードの栄養素バランスについて知りたいときは、「保証分析値」の表示をチェックするとよいでしょう。

栄養バランスなどを知るときに役立つ「保証分析値」とは?

「ペットフードの表示に関する公正競争規約」では、「保証分析値」として、重要な栄養素や水分の重量比を表示することを定めています。

これによれば、健康に欠かせない「たんぱく質」と「脂質」は「○%以上」と最低値を、一方、「粗繊維」や「ミネラル」、「水分」は「○%以下」と最大値を記載するよう規定されています。ただし、これはドッグフードに含まれる栄養素を分析したものであり、消化性などの品質について判断するのは難しいでしょう。

ドッグフードのパッケージの読み方については、下記の記事で詳しく解説しています。原材料以外にも気になる方は、参考にしてみてくださいね。

ドッグフードの原材料に危険なものがあるって本当?

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では、ドッグフードに使用される原材料の安全はどうなのでしょうか? 「○○という原材料を使ったドッグフードは危険!」なんて噂も耳にしますよね。

日本にはペットフードの安全性を守る「法律」がある

冒頭でも少しお話ししましたが、日本には「ペットフード安全法」(正式名称:「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律」)という法律があります。この法律は、ペットフードに特化した世界でも類を⾒ない法律といわれ、その安全性を確保することで犬や猫の健康を守り、動物愛護に寄与することを目的としたものです。

この法律では、国がペットフードの製造方法と表示の基準、成分の規格を定め、犬・猫に有害な物質を含むペットフードなどの製造、輸入または販売を禁止しています。
また万が一、基準・規格にあわない、あるいはかいくぐった製品が販売されたとしても、国は事業者に対して廃棄や回収を命令する権限をもっています。

ペットフードの製造者・輸入者にはさまざまな「義務」がある

「ペットフード安全法」の遵守を徹底するため、ペットフードの製造者や輸入業者は、国への届け出が義務付けられています。また、ペットフードのパッケージにも、必ずその「事業者名」が記載されなければなりません。

ほかにも、原材料の生産から加工、流通、販売などの各段階において、製品とその情報を追跡できるようにするため、製造者・輸入者には商品の帳簿付けが義務付けられるなど、トレーサビリティーも確保されています。

日本で流通しているドッグフードの原材料は安全性が高い

このようなことから、日本国内で流通しているドッグフードの原材料は安全性が高いといえ、危険な原材料がドッグフードに使われることは考えにくいでしょう。

しかし、どんなに安全性の高い原材料であっても、アレルギーなど、犬の体質によっては体調に異変が起こるケースもあります。ドッグフードを選ぶ際は、愛犬の体質をよく理解し、愛犬にあったドッグフードを見つけてあげることが大切です。

なお、「ペットフード安全法」が対象としているのは、主食となる総合栄養食をはじめ、おやつやサプリメント、飲み物など、犬・猫が食べる製品で、治療に使う医薬品以外のものです。医薬品については医薬品医療機器等法の対象となり、ドッグカフェなどで提供されるペット用の食事などは対象外です。

「AAFCO(米国飼料検査官協会)」についても知っておこう

ちなみに、ドッグフードの中には、「AAFCO(米国飼料検査官協会)の基準をクリア」といった表記がされることがあります。

このAAFCOとは、ペットフードの栄養基準やラベル表示などに関するガイドラインを設定しているアメリカの団体のこと。日本の「ペットフードの表示に関する公正競争規約」も、総合栄養食についてはAAFCOの栄養基準を採用しています。

ただし、AAFCOはあくまで基準を定めている機関であり、基準クリアを認定したり承認したりしている団体ではありません。

ドッグフードの主な原材料の種類

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原材料の安全性がわかったところで、今度はドッグフードで使用される主な原材料の表示例と定義について見ていきましょう。原材料表示を読む際に、役立ててみてください。
種類定義表示例(素材)
肉類新鮮あるいは適正な方法により保存されてある哺乳動物・家禽類などの生肉、肉体部分。また、上記動物の体や体の一部から生じるすべての副生物とその加工物。ビーフ、ポーク、マトン、ラム、うさぎ、チキン、ミートミール、ミートボーンミール、チキンミールなど
魚介類新鮮あるいは適正な方法により保存されてある魚類、貝類、甲殻類、軟体動物とその加工物、加工副生物。まぐろ、かつお、あじ、いわし、えび、かに、たこ、いか、ほたて、さざえ、フィッシュミール、フィッシュエキスなど
穀類すべての穀類の穀粒、挽き割り、穀粉およびその加工物。とうもろこし、マイロ、小麦、大麦、玄米、エン麦、小麦粉、パン粉、米粉、コーンフラワー、オートミールなど
でんぷん類全種類のでんぷんと、いも類などのでんぷん原料、多糖類原料。コーンスターチ、ポテトスターチ、タピオカスターチ、さつまいも、馬鈴薯、こんにゃくなど
豆類全種類の豆または、その加工物、加工副生物。大豆、大豆ミール、脱脂大豆、きなこ、大豆粉、おから、そら豆、小豆など
油脂類すべての動物・植物から得られる、油脂および加工油脂、脂肪酸類。動物性油脂(牛脂、豚脂、鶏脂、魚油、バターなど)、植物性油脂(大豆油、胡麻油、胚芽油、パーム油、綿実油、マーガリンなど)、脂肪酸(リノレン酸、リノール酸、高度不飽和脂肪酸など)
卵類新鮮あるいは適正な方法により保存された鳥類の卵および加工物、加工副生物。鶏卵、あひる卵、うずら卵など
乳類新鮮あるいは適正な方法により保存された生乳、その加工物、加工副生物。全脂乳、脱脂乳、全脂粉乳、脱脂粉乳、ホエー、チーズ、バター、クリームなど

ドッグフードに含まれる添加物の種類

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原材料のほかにも、添加物が気になるという飼い主さんも多いはず。続いては、ドッグフードに含まれる主な添加物についてご紹介します。
種類目的
酸化防止剤脂肪の酸化を防ぎ保存性・嗜好性を高めるBHA、BHT、ミックストコフェロール、没食子酸プロピルなど
着色料季節や産地によって原材料の色にばらつきが出ることから、色調を整え、見た目をよくする赤色3号、赤色102号、青色2号、赤色40号など
甘味料犬の食いつきをよくするため、甘みをつけて嗜好性を高めるソルビトール、コーンシロップなど
発色剤主にウエットフードに微生物が繁殖するのを抑え、肉の変色を防ぐ亜硝酸ナトリウム
保存料主にドライフードに微生物が繁殖するのを抑え、腐敗を防ぐソルビン酸カリウム、ソルビン酸など
保湿剤ウエット(セミモイスト)フードの乾燥を防ぎ、しっとりとした質感を保つプロピレングリコールなど
香料香りをつけて嗜好性を高め、犬の食いつきをよくする原材料には「香料」のみ記載

「添加物=健康に悪い」は間違い?

ちなみに、ドッグフードに含まれる添加物の量についても、「ペットフード安全法」で安全基準が定められ、その種類や使用目的は「ペットフードの表示に関する公正競争規約」によって、記載方法の自主基準が設けられています。
“添加物=健康に悪い”という印象をもっている人もいますが、日本で販売・製造・輸入されているドッグフードは、法律などによってその安全性が保障されているため、ドッグフードに含まれる添加物について過剰に心配する必要はないでしょう。
監修/徳本一義先生(有限会社ハーモニー代表取締役)
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