この特集では、難病や障がいをもった愛犬とその飼い主さんの、闘病や暮らしの様子をレポートします。今回は3回にわたって、愛犬の病気に向き合っているシニア世代のKさんと、12才のときに命にも関わる腸の病気を患ったリョウくんをご紹介。第2回目は、リョウくんが病気を発症した後に、どのようにお世話を行っていたか、振り返ってもらいました。
苦難続きだった食事療法
検査と治療で入院した結果、病院で「たんぱく漏出性腸症」と診断されたリョウくん。症状を抑えるには食事療法が必須でしたが、リョウくんは幼いころから食物アレルギーがあるため、食べられる食事の選択肢は限られていました。体に合わないと下痢や嘔吐が始まり、病気を患ってからはじめのうちの食事選びは試行錯誤の連続でした。
「療法食でひとつだけリョウに合うものがあっても、それもやがて食べなくなって……市販のフードもいろいろと試してみました。おやつも与えたいけど、腸も悪いし、食物アレルギーもあるので、あまり与えられないのがかわいそうでしたね」とKさんは言います。
試行錯誤の末、現在はラム肉を主原料とするドライフードに、鹿肉を使ったサプリメントをトッピングした食事を与えています。
子犬期からのしつけが、病気になってからも活きた
食事制限のほか腸症で悩ましいのは、頻繁に起こる下痢ですが、こちらは幼いころからのしつけが功を奏したようです。リョウくんは屋外でしか排泄しませんが、「ワンツー」などの指示を与えると、差し出したペットシーツや新聞紙の上にお尻を差し出すようトレーニングされていました。そのため、排泄物はペットシーツや新聞紙の上に直接落ちるので、まわりを汚さずに処理できるというわけです。
病気がわかってからは、2週間に1回は動物病院に通い、血液検査を受けています。ここでもリョウくんは、落ち着いて、おとなしく検査や治療を受け入れているそうです。
「症状が一進一退する病気ですが、比較的に穏やかに過ごせているのは、トレーナーさんと二人三脚でしつけやお世話をしてきたからだと思います」。そばで静かに体を伏せているリョウくんを見ながらKさんはそう言います。
散歩は欠かさず続ける
腸症を発症してからも、朝7時と夕方5時の2回の散歩を続けました。朝はKさんが、夕方はトレーナーさんが、それぞれ30分程度、リョウくんを外へ連れていきます。これは今も続けているそうです。
腸症から1年、食事療法などの効果も出てリョウくんの症状は安定してきましたが、しかしある日リョウくんの呼吸が荒くなり、立ち上がれなくなりました。次回は、その後リョウくんが腹膜炎になったときのことをご紹介します。
出典/「いぬのきもち」2020年1月号『困難と闘う!……その先のしあわせへ』
写真/尾﨑たまき
文/ichi