ユーラシア
- 英語名
- Eurasier
- 原産国
- ドイツ
- サイズ
- 大型犬
- グループ
- 原始的な犬・スピッツ
ユーラシアの性格と特徴・飼いやすさ
チャウ・チャウの愛らしさと、サモエドのスタイル、ジャーマン・ウルフスピッツの野性味をうまく融合させたような、理想的な大型犬です。飼い主さんに忠実で、野性味のある姿からは、太く丈夫な骨と発達した筋肉を感じることができます。ミックスのようにも見える素朴な姿をもつユーラシアは日本ではまださほど知られていないだけに、底知れない魅力がありそうです。
ユーラシアの飼いやすさ 各項目の数値が大きいほど飼いやすい傾向
ユーラシアの性格
野性味あふれる、原種に近い姿をした犬種に多くある特徴として、誰でも構わず信用して甘えるような警戒心の低い行動はしません。番犬として機能できるだけの、警戒心や飼い主さんなど一部の人との関係性を大切にする傾向にあります。子犬のころから、積極的に社会性を身につけるよい機会を犬に与えることで、さまざまな人や環境に順応できる非常にすぐれた家庭犬を育成することができます。
ユーラシアの大きさ
ふわふわの長い被毛におおわれた体は、がっしりとしており、胸部は広く厚く発達しています。立ち耳は被毛におおわれ、しっぽは丸まっており、全体的にもふもふした外見は寒い地域の気候風土に適した形態です。子犬は子熊のようなかわいさがあります。
体高:48~61cm前後/体重:18~32kg
※体高:地面から首と背中の境目付近までの高さで、人の身長に相当するもの。
ユーラシアの毛色の種類
毛色はさまざまですが生まれたときがもっとも濃い毛色をもち、成長とともに色が薄くなっていきます。
ユーラシアの心配な病気
・股関節の形が先天的に異常な形になっている「股関節形成不全」
・被毛との摩擦によってただれたりする「皮膚炎」
ユーラシアの価格相場(2024年)
ユーラシアは一般的に入手が難しく、輸入や専門ブリーダーからや、保護犬譲渡がおもな入手方法です。
ユーラシアの飼い方
ポイント(1)力と技術に自信のある人向け
もと“そり犬”で、筋肉質でがっしりした体型なので運動量も多め。毎日長めの散歩を2回行うなど、ユーラシアの運動時間をきちんと確保できる人が向くでしょう。押し倒されたり、引っ張られて転倒させられたりするおそれもあるので、力のある犬を制御できる体力と技術に自信がある人に向いているでしょう。
ポイント(2)熱中症対策をしっかり
散歩は朝夕2回、それぞれ最低30分程度は必要となります。ゆっくり歩いては立ち止まり地面のニオイをかいでいては運動効果があまり期待できませんので、散歩のなかでは速足で歩くタイミングもとり入れましょう。可能であればドッグラン等で自由に走らせることもオススメです。
大きめの犬ですので加齢に伴う筋肉量の低下が、犬の生活の質に与える影響は大きく、介護となれば飼い主さんの生活にも大きな影響を与えます。無理のない範囲でしっかり運動をさせることは非常に大切です。
冬の寒さには強い犬種ですが、夏の熱さには弱いです。飼育環境の温度管理をしっかりと実施して、熱中症を予防しましょう。とくに暑い季節の前には、ブラッシングを念入りに実施して、被毛の通気性をよくし、効率よく体温を放熱できるようにしましょう。
ポイント(3)滑りにくい床を選択
飼育している環境の中で入ってほしくない場所には、頑丈な仕切りなどを設置して侵入を防ぎ事故を予防しましょう。また電気のコード類や噛み傷をつけられたくない家具などには、噛み防止用の塗布剤を塗っておくことが有効です。
加齢に伴い筋肉量が落ちると、滑りやすい床の上で重心を安定させることが困難になり、足首などの関節等に負担をかけることになります。飼育する際は、必ず滑りにくい床を選択しましょう。
ユーラシアは、寒さに強く夏の暑さは苦手な犬種です。暑い時期の散歩は、早朝や日の落ちた時間帯に行うようにしてください。夏場の室内は犬がハアハアしない程度の低い温度設定をし、湿度にも気をつけて涼しく過ごさせるようにして。場合によっては春や秋でも冷房が必要なときもあるでしょう。
ポイント(4)年齢と目的に応じたフードを与えて
主食には、フードと水のみで栄養のバランスがとれるように作られている、総合栄養食を与えましょう。一般食は、栄養バランスよりも食いつきを重視しているため、主食には不向きです。フードのパッケージの裏に総合栄養食と記載されているものを選んで。
犬は、成長や年齢ごとに必要とされる各栄養素の量が異なります。「子犬用」「成犬用」「シニア犬用」「体重管理用」など、年齢と目的に応じたフードを与えましょう。
手作りフードは与えているものを飼い主さんが把握できる安心感があり、愛犬のことを思いながら調理する楽しさもあります。しかし栄養バランスを保つのが簡単ではないため必要ならばサプリメント等で補いながら実施することをオススメします。
ポイント(5)換毛期には入念なブラッシングを
ユーラシアの被毛は密生した豊かなダブルコートで、換毛期にはとくにたくさんの毛が抜けます。さらに大きな体をしていることもあり、夏場を中心に体温の放熱を妨げる余計な被毛の除去が必須のお手入れとなります。
春から夏にかけての季節性のはっきりとした「換毛期」には入念なブラッシングやシャンプーを健康管理の一環として行いましょう。ふだんは、週に2~3回は被毛をブラッシングして、むだな抜け毛を取り除いて。基本的にトリミングは必要ありませんが、そのぶんブラッシングや絞ったタオルで体を拭くなどのケアを行うといいでしょう。
ユーラシアに似た犬の種類
ユーラシアの歴史や背景
ユーラシアは比較的新しい犬種です。諸説ありますが、1950~1970年代あたりのドイツで、サモエドやチャウ・チャウ、ジャーマン・ウルフスピッツの交配で生まれたといわれます。ヨーロッパやアジアの犬種が混ざっていることから、ユーラシアと名づけられました。当初は、ロシアのそりを引くライカ犬の後を継ぐ、そり犬や番犬、家庭犬として活躍していました。チャウ・チャウの血が入っていることから、「ウルフ・チャウ」と呼ばれることもあります。
監修:
ヤマザキ動物看護大学 動物看護学部 准教授
福山貴昭先生 (博士[学術]・愛玩動物看護師)
参考:『日本と世界の犬のカタログ』(成美堂出版)