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【獣医師監修】犬に里芋を与えるときは注意が必要。与えるメリットとデメリットを解説

里芋は犬の体によい栄養素が含まれていて、イモ類の中では比較的カロリーが低く水分も多めです。里芋は犬が食べても大丈夫ですが、生の里芋を食べて中毒を起こした報告もあり、必ず火を通して与えることが大切です。犬が里芋を食べるメリットとデメリット、与え方の注意点を紹介します。

佐野 忠士 先生

犬に里芋を与えるときは、必ず加熱。生は与えないで

白い背景に里芋
Tsukamoto Kazuhiro/gettyimages
里芋は日本で縄文時代から食べられていたといわれるほど、なじみの深いものです。
里芋独特のぬめりは水溶性食物繊維の一種で、犬の健康を維持するのに役立つ成分です。ほかにも、体によい作用を及ぼすビタミンやミネラルが豊富で、イモ類の中では比較的低カロリーで水分が多いため、ドッグフードのトッピングやおやつに取り入れやすい食材といえるでしょう。

ただし、里芋には生で食べると犬に中毒を引き起こす成分が含まれています。与えるときは必ず加熱し、愛犬が生の里芋をかじったりしないよう注意が必要です。

里芋のおもな栄養素|じつは8割以上が水分

フローリングの床に伏せをして、上目遣いでこちらを見ている黒(足先のみ茶色)のバーニーズ・マウンテン・ドッグ
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
里芋に含まれるおもな栄養素 ※数値は可食部100gに含まれる成分
エネルギー53kal
水分84.1g
タンパク質1.5g
脂質0.1g
炭水化物13.1g
灰分(無機質)1.2g

文部科学省「食品データベース」https://fooddb.mext.go.jp/index.plより参照

犬が里芋を食べるメリット|病気の予防と免疫力アップ

ソファの座面に顔をつけて何か言いたげな顔でこちらを見つめる薄茶色の小型犬(mix)
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
里芋には、独特のぬめり成分である「ガラクタン」をはじめ、犬の体を元気に保つために役立つ栄養素が豊富に含まれています。代表的なものは以下の通りです。

ガラクタン|胃腸の保護、免疫力アップも

里芋の皮を剥くとヌメヌメした独特の「ぬめり」が出てきますね。それが「ガラクタン」で、炭水化物とタンパク質が複合した物質で、水溶性食物繊維のひとつに分類されているものです。

ガラクタンには、胃壁や腸壁の粘膜を保護し、消化を促す作用があるほか、免疫力のアップも期待されています。食物繊維の摂取は、便秘の解消や便通の正常化にも効果があるといわれています。

カリウム|余分な塩分を排出して高血圧を予防

里芋はカリウムを多く含む野菜の代表格です。
カリウムには、体液の浸透圧を調整する作用があり、ナトリムとバランスをとりながら体内に溜まった塩分を尿と一緒に体外に排出。血圧が高くなるのを防ぐ役割を担っています。また、神経の伝達や筋肉の収縮にも深く関わっていて、健康な体の維持にはなくてはならない大事なミネラルのひとつです。

ビタミンB1|エネルギー生産をサポート、疲労回復も

ビタミンB1は、水溶性ビタミンの一種で「チアミン」とも呼ばれています。
エネルギーを生産するのに欠かせないビタミンで、とくに糖の代謝に関わっています。エネルギーが発生する際に生じた乳酸をエネルギー源に再転換してくれる働きがあることから、疲労回復に役立つといわれています。年齢が若く活発に活動する犬にもおすすめの食材です。

水分|ほかの栄養を摂りながら水分補給

里芋は、じつは84%が水分でできています。里芋を食べることで、カリウムやビタミンB1など、体に役立つビタミンやミネラルを摂取しながら、水分も補給できるメリットがあります。

犬が里芋を食べるデメリット|結石、腎臓病の犬は要注意

前足の肉球を舐めている茶色のトイ・プードル(水色と紺のボーダー柄の洋服)
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
体によい成分でも必要以上に多く摂取すると、かえって健康を損ねることになりかねません。里芋に含まれる成分で、過剰摂取に気をつけたいものと、既往症のある犬が注意すべきものを紹介します。

シュウ酸|里芋中毒と尿路結石症の原因に

里芋には、シュウ酸が多く含まれています。シュウ酸は、0.1mm程度の長さの結晶が針状になっているもので、過剰摂取すると口の中や喉、胃の粘膜などにダメージを与えて、「里芋中毒」といわれる重い消化器障害を引き起こします。症状は、口や喉の痛み、嘔吐、下痢、元気がなくなるなど。実際に生の里芋を食べた犬が中毒になった例も報告されているので、注意が必要です。

さらに、シュウ酸はカルシウムと結びついて結石をつくることがあります。固い石が膀胱、尿道など傷をつけると、血尿が出たり、激しい痛みを生じたりすることがあるので里芋の過剰摂取には気をつけなければいけません。
とくに腎臓病や尿路結石症がある犬には、シュウ酸の多い里芋は与えないほうがよいでしょう。

カリウム|シニア犬や腎臓病の犬は要注意

加齢や腎臓病で腎臓の機能が低下していると、余分なカリウムを上手に体外に排出できなくなり、血液中のカリウム濃度が上がってしまいます。その状態を「高カリウム血症」といい、四肢のしびれや筋力の低下、嘔吐、不整脈などを引き起こし、重篤な場合は命を落とす場合もあります。
シニア犬に里芋を与えるときは、事前に獣医師に相談してください。また、腎臓病を患っている犬や心機能が低下している犬には、里芋は与えないほうがよいでしょう。


シュウ酸やカリウムなどの体への影響については、それぞれの個体で大きく異なってきます。定期的な血液検査、健康診断でかかりつけの獣医師に相談するようにしてください。

タンパク質がアレルギー症状を引き起こすことも

食物アレルギーは、タンパク質に免疫機能が過剰反応する現象です。里芋には、少しですがタンパク質が含まれていて、稀にアレルギーを起こす犬もあるようです。里芋を食べてから皮膚の痒みや湿疹、下痢、嘔吐などが起こった場合は、食物アレルギーかもしれません。

犬に里芋を与えるときの注意ポイント|生はNG。茹でてシュウ酸を減らそう

オレンジと赤のフリース素材のマフラー(?)を顎から頭頂部までぐるりと巻いて、愛らしい目でこちらを見つめる黒い柴犬(眉頭と口の周りは薄茶色)
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
愛犬に里芋を与えるときの注意点は以下の通りです。

与えてよい部位

人間が皮を剥いて食べるように、犬に里芋を与えるときは、皮を剥いてあげましょう。里芋の皮は消化が悪く、嘔吐や下痢の原因になります。また、シュウ酸は里芋の表面の近いところに多く含まれているといわれているので、少し厚めに皮を剥いたほうが安心でしょう。

与えるときの適量

犬に里芋を与える場合は、体重に合わせて以下の量を目安にしてください。ただし、あくまでもカロリー上の算出値なので、主食(総合栄養食)の摂取を阻害しない量にとどめることが大切です。

犬の体重目安1日あたりの摂取可能目安
小型(2~5kg)35g~71g(小2個~中2個)
中型(6~15kg)81g~161g(中2.4個~大2.4個)
大型(20~50kg)200g~397g(大3個~大5個)

※里芋(生)小1個20g(可食部17g)、中1個40g(可食部34g)、大79g(可食部67g)として算出
※数値は、避妊・去勢済みの犬で体重相応のおやつ(1日の総摂取カロリー目安の1割)として算出

調理方法

生の里芋は中毒を引き起こす原因になります。皮を剥き、必ず加熱してから細かく刻んで与えましょう。
加熱方法は、茹でるのがベスト。蒸す、または電子レンジで加熱する方法もありますが、シュウ酸は水溶性のため、茹でることで減らせます。蒸す、または電子レンジで加熱したのでは、シュウ酸の量は減らすことができません。

葉や柄を犬がかじらないよう気をつけて

農家や家庭菜園で里芋を作っている場合、愛犬が里芋の葉や柄に触れる機会があるかもしれません。じつは、里芋の葉や柄にもシュウ酸は含まれているので、犬がかじったりしないように注意が必要です。

里芋を愛犬の健康に役立てるなら、適量と加熱を守って

犬の体によい栄養素を多く含む里芋。そのメリットを最大限に活かすには、犬の体型、年齢、体調に合った適量を守ることが大切です。人間も生で里芋を食べないように、必ず加熱してからあげましょう。
犬には与えてはいけない食べ物や、注意したい食べ物があります。確認しておきましょう。
監修/佐野忠士先生(酪農学園大学獣医学群獣医学類准教授)
文/村田典子
※一部写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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