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【獣医師監修】犬にメロンを与えるときは注意が必要。与えるメリットとデメリットを解説

水分が多く、体に速く吸収される糖分を含むメロンは、基本的には犬に与えてもよいフルーツですが、与える際には少し注意が必要です。メロンに含まれる栄養素と、犬にメロンを与える際の注意点について紹介します。

佐野 忠士 先生

犬にメロンを与えるときは与え過ぎとアレルギーに要注意

スプーンでカットグリーンメロンを食べる
kuppa_rock/gettyimages
メロンは水分が多く、体内でスピーディに吸収される糖分を含んでいるので、犬の食欲がないときにおすすめの果物です。

メロンには、水分や糖分のほかにも、カリウムやビタミンC、βカロテンなどの栄養素も豊富です。それらの栄養素の働きを理解したうえで、犬の体重や年齢、体調に合わせた適量を守って与えましょう。

なお、メロンはスイカやきゅうりなどと同じウリ科の植物です。ウリ科の果物や野菜にアレルギーがある犬には、メロンは与えないほうが安心です。

メロンのおもな栄養素|約88%が水分、食物繊維、ビタミン、ミネラルも豊富

ピンク色のソファの上でメロンのおもちゃに口を寄せてカメラを見つめる、暖かそうなグレーの洋服を着たヨークシャー・テリア
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
メロンに含まれるおもな栄養素 ※数値は可食部100gに含まれる成分

エネルギー40kal
水分87.8g
タンパク質1.1g
脂質0.1g
炭水化物10.3g
灰分(無機質)0.7g

文部科学省「食品データベース」https://fooddb.mext.go.jp/index.plより参照

犬がメロンを食べるメリット|熱中症予防、腸活、老化防止と病気予防

大きなメロンパンのクッションをまくらに毛布にくるまって横になっている薄茶色の小型犬(mix)
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
メロンにはさまざまな栄養素が含まれています。おもな栄養素とその働きについて紹介します。

水分|90%近い水分で熱中症予防

メロンは約88%が水分でできています。
夏の暑さが厳しくなると、犬も人間同様に夏バテして、水分補給すらまともにできなくなることがあるので、メロンから水分を補給し、熱中症を予防するのもよいでしょう。あまり水を飲みたがらない犬も、甘い香りのあるメロンなら興味を示して食べてくれるかもしれません。

食物繊維|腸内環境を整え、便秘や下痢を予防

メロンには、水に溶ける「水溶性食物繊維」と、水に溶けない「不溶性食物繊維」の2つがバランスよく含まれています。
水溶性食物繊維は糖質の吸収をおだやかにすることで、食後の血糖値の上昇を緩やかにし、コレステロールの排出をサポート。不溶性繊維質は、腸内で水分を吸って膨らむことで便のカサを増し、便通を改善。さらに腸内にある善玉菌のエサとなって、腸内環境を整える役割も果たします。

ビタミンC|アンチエイジング、関節炎などの予防

メロンは「ビタミンC」が豊富なフルーツのひとつです。

ビタミンCは、病気や老化の要因になると考えられる活性酸素を強力な抗酸化作用で取り除く働きをする栄養素です。
ほかにも「鉄分の吸収促進」「解毒やホルモン代謝を担う酵素のサポート」「コラーゲン合成への関与」など、ビタミンCにはさまざまな働きがあります。

なお、犬は体内でビタミンCを合成することができるため、長く「犬にビタミンCの食事からの摂取は不要」と考えられてきました。しかし、最近の研究結果から犬にも「ビタミンC欠乏症」があることがわかってきました。5歳を過ぎる頃からビタミンCの合成能力が衰え始めるとも言われております。

総合栄養食を主食としている場合は心配する必要はありませんが、食べ物やサプリメントからビタミンCの補給を図るのもよいかもしれません。

カリウム|不要な塩分の排出と高血圧の予防

メロンは、バナナに次いで「カリウム」の含有量が多いフルーツです。カリウムには、体液の浸透圧(体の水分の濃さとイメージするとわかりやすかも知れません)を調整する作用があり、体内に溜まった塩分を尿と一緒に体外に排出することで、高血圧を防ぎます。また、神経の伝達や筋肉の収縮にも深く関わっているので、健康な体の維持にはなくてはならない大事なミネラルのひとつです。

βカロテン|皮膚や眼、粘膜、被毛、歯の健康。免疫力アップも

βカロテンは緑黄色野菜に多く含まれるビタミンです。メロンには緑肉と赤肉のものがありますが、βカロテンはとくに赤肉のメロンに多く含まれています。

βカロテンは犬の体内に入るとビタミンAに変換されて活用され、皮膚や眼、粘膜の保護や健康な歯をつくるのに役立ちます。
さらに、βカロテン自体にも抗酸化作用があり、老化や病気の原因になる活性酸素を除去し、免疫力をアップさせる効果が期待できます。

なお、βカロテンのビタミンAへの変換は、体の中(とくに肝臓)での合成能力によるので、βカロテンを多く含む食べ物を多く与えた分だけ多くのビタミンAが合成され、体によい影響を与えてくれるというわけではありません。

犬がメロンを食べるデメリット|腎臓や肝臓への負荷、中毒やアレルギーに注意

メロンパンのクッションをお腹に抱えて横になって眠っている茶色のミニチュア・ダックスフンド
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
水分や栄養が豊富なメロンも、過剰に摂取するのはかえって愛犬の体に負担をかけることになります。
愛犬にメロンを与える際に気をつけたいデメリットの部分を紹介します。

カリウム|過剰摂取は高カリウム血症の原因に。腎臓病の犬はとくに注意!

健康であれば、カリウムは体内で使われたあと、腎臓で濾過され尿として体外に排出されます。しかし、腎臓の働きが弱まって、余分なカリウムを体外にうまく排出できないと、血液中のカリウム濃度が上がる「高カリウム血症」になる危険があります。

「高カリウム血症」は、四肢のしびれや筋力の低下、嘔吐、不整脈など体の不調をきたす原因に。重篤な場合は命を落とす場合もあります。健康な犬でもカリウムの過剰摂取は腎臓への負担となり、腎機能の低下を招く原因になりかねません。

とくに、腎臓病や心機能が低下している犬にメロンを与える際は気をつけましょう。
カリウムなど、体内の水分に含まれる電解質のバランス影響は、臨床症状などでははっきりとわからないことも多いです。「メロンを与える」「与えない」とは関係なく、定期的な健康診断と血液検査の実施をおすすめします。

βカロテン|過剰摂取による中毒で肝臓に負担

βカロテンは、犬の体内で必要な分だけビタミンAに変換されるので、たくさん摂取しても健康に害を及ぼすことはないと考えられてきました。
しかし最近の研究で、犬はビタミンAへの変換能力が高く、少量のβカロテンでも多くのビタミンAを生成できることがわかってきました。βカロテンは、小腸で吸収されて肝臓に蓄積されやすいため、大量に摂取すると「ビタミンA中毒」になり肝臓に負担がかかります。βカロテンを多く含むメロンを与える場合は、過剰摂取にならないよう注意しましょう。

まれにアレルギーや中毒を引き起こす成分も

◆ククミシン
ククミシンは、「マスクメロン」「夕張メロン・「アンデスメロン」などの皮の表面に網目が入っているメロンに多く含まれているタンパク質分解酵素です。

人間がメロンを食べたときに、口の中や喉にピリピリとした喉の痛みや舌のしびれを感じる人がいます。その原因になるのが、「ククミシン」。口の中の粘膜を刺激することで、それらの症状が生じると考えられています。
ククミシンはアレルギーを引き起こす原因になる「アレルゲン」という報告がありますが、メロンを食べてすぐ起こる喉や口中の不快な症状はアレルギー反応ではなく、ククミシンによって口の中の粘膜などが攻撃を受けたためのものです。

◆ククルビタシン
メロンには「ククルビタシン」という苦味成分が含まれています。この成分は、メロンの皮やヘタの近くに多く含まれ、メロンが熟すにつれて量が多くなっていきます。

「犬がメロンを食べて嘔吐した」という飼い主さんの声を聞くことがありますが、これは、熟れたメロンに含まれるククルビタシンが嘔吐や下痢などの中毒症状を引き起こしたと考えられますが、詳細なことはわかっておりません。

しかし、メロンを食べた愛犬が吐いたり、下痢をしたりした場合には、かかりつけの動物病院もしくは救急病院で獣医師の診察を受けましょう。

タンパク質にアレルギー反応を示す場合も

メロンには少量ですが、タンパク質が含まれています。食物アレルギーは、タンパク質に免疫機能が過剰に反応して起こるものなので、メロンがアレルギー源となる可能性はゼロではありません。以前にも何らかの食べ物アレルギーを起こしている場合は、最初に与える際にごく少量ずつ、食べたあとの様子を見ながら与えましょう。

犬にメロンを与えるときの注意ポイント|皮と種は取り除いて。熟れたメロンは与えない

オレンジ色の網で顔をぐるりと覆われ、まんまるの頭になっているチワワの顔アップ
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
愛犬にメロンを与える際の注意点、与え方は以下の通りです。

与えてよい部位

皮や種は固く消化されにくいので、皮は厚めに剥き、種とワタをのぞいた果肉部分を与えます。

与えるときの適量

犬にメロンを与える場合は、体重に合わせて以下の量を目安にしてください。ただし、あくまでもカロリー上の算出値なので、主食(総合栄養食)の摂取を阻害しない量にとどめることが大切です。
また、犬の年齢や健康状態によっては、特定栄養素の過剰摂取につながることもあるので注意しましょう。

犬の体重目安1日あたりの摂取可能目安
小型(2~5kg)47g~94g(中1/7個~中3/10個)
中型(6~15kg)107g~214g(中1/3個~2/3個)
大型(20~50kg)265g~527g(中1個~中1・3/5個)

※メロン中641g(可食部325g)として算出
※数値は、避妊・去勢済みの犬で体重相応のおやつ(1日の総摂取カロリー目安の1割)として算出

調理方法

皮を剥き、種とワタを取り除き、小さく切って与えます。もちろん、生のままで大丈夫です。

そのほかの注意事項

メロンは糖分が多いので、与え過ぎないよう注意しましょう。また、人間用に加工されたゼリーなどは、さらに糖分が加えられているので避けてください。とくに「メロンパン」はさらにハイカロリーなので、愛犬へのお裾分けはしないでください。

メロンを愛犬に与えるときは、与え過ぎないように気をつけよう

メロンは、犬に与えてもよいフルーツです。ただし、過剰摂取とアレルギー、熟したメロンによる中毒には気をつけて。甘い香りに誘われて愛犬がメロンを欲しがっても、少し分けてあげる程度の少量にとどめましょう。
犬には与えてはいけない食べ物や、注意したい食べ物があります。確認しておきましょう。
監修/佐野忠士先生(酪農学園大学獣医学群獣医学類准教授)
文/村田典子
※一部写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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