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【獣医師監修】犬のフードに含まれる「ミール」の安全性とは?
ドッグフードに含まれている「ミートミール」や「チキンミール」、「ミートボーンミール」の栄養価や安全性について解説します。また、「家禽副産物」「肉副産物」の安全性についてもご紹介するので、参考にしてください。
ドッグフードに使用される「ミール」とは?
ドッグフードに使用されている「ミール」とは、“粉にした状態”という意味を持ちます。例えばチキンミールは、“チキンを粉末状にしたもの”ということです。
◆なぜ粉末状にするの?
原材料を粉末状にする理由としては、以下のような点が挙げられます。そもそも、ドライフードは水分を含む肉では製造することができません。粉末にすることで、ほかの原材料と均一に混ぜたりすることが可能になります。
・粉状にすることで水分を含まなくなるため、傷みにくく、輸送性に優れる
・半分以上が水分の生肉と比べて、ミールは重量あたりの栄養価が高くなる
・粉状にすることで、ほかの原材料と均一に混ぜたり加工したりしやすくなる など
◆チキンミールやミートボーンミールとは?
・チキンミール
チキンから皮(おもに脂肪分)を取り除いて乾燥させ、粉末状にしたもので、一般的には、ニワトリの⾁が原材料となります。つまり、チキンから脂肪と水分がなくなったものだと考えればよいでしょう。決して、食べられない部分を含んだものではありません。ちなみに、家禽⾁(かきんにく)という場合は、ニワトリのほかに七⾯⿃などの場合もあります。
・ミートボーンミール(肉骨粉)
前述したミートミールの使用部位に加えて、骨も含まれるミールのこと。たんぱく質のほかにカルシウムなども豊富に含む、ナチュラルな原材料です。ちなみに、牛などの反芻(はんすう)動物の肉骨粉については、BSEに感染しない家畜の飼料や、犬・猫用のペットフードも含めて、BSE(牛海綿状脳症)対策のため、原材料として使用することが国から禁止されています。
「ミートミール」には何が使用されているかわからないから危険って本当?
◆「ペットフード安全法」とは
正式名は、「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律」といい、ペットフードの安全性を確保することで、犬や猫の健康を守り、動物愛護に寄与するために制定された世界でも珍しい法律です。主旨としては、国がペットフードの製造方法や表示基準、成分の規格を定め、犬や猫に有害な物質を含むペットフードなどの製造や輸入、販売を禁止するというものです。
◆動物由来の原材料の安全性を確保する法律はほかにも
ほかにも日本では、ペットフードや家畜用飼料に使われる動物由来の原材料の安全性を確保するために、原料の収集先や、製造、輸送について国が厳しく規制しています。とくにBSEの感染経路を断つために、規定外の動物が混じらないように施設や輸送方法を厳重に管理することが、「飼料安全法(飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律)」などによって定められています。
また、国内で販売されるペットフードに使用する動物由来の肉粉は、国の定める製造基準に適合することを確認された製造事業者でなければ製造および出荷はできません。
◆ミートミールに含まれる部位は「AAFCO(米国飼料検査官協会)」を参考に
ちなみに、ペットフードに用いられるミートミールにどのような部位が含まれているかについては、国によって厳密な規定は設けられていません。しかし、日本のペットフードの栄養基準でも参考にしているアメリカの「AAFCO(米国飼料検査官協会)」のガイドラインでは、“家禽肉、またそのミールであれば、頭部、足、内臓や、羽毛、皮、内臓の内容物は含まず、牛や豚の肉、またそのミール(ミートミール)であれば、毛や蹄、角、内臓の内容物や糞便を含まない”としています。
このように、さまざまな厳しい規制がある以上、粗悪なドッグフードは、そもそも「国内で製造や輸入、販売することはできないのです。つまり、「ミートミールが危険」だという一部の人の認識は、誤った噂が生んだ“誤解”といえるでしょう。
ちょっと気になる!「家禽(かきん)副産物」や「肉副産物」って?
◆家禽副産物や肉副産物とは?
家禽副産物・肉副産物とは、食用の家禽や家畜の体のうち、「正肉」と定義された部分以外のことで、「副産物」「副生物」というのは、あくまで総称です。副産物には、主に以下のような内臓が含まれています。
【主な「副産物」「副生物」】
レバー(肝臓)/タン(舌)/ハツ(心臓)/ミノ(牛の第一胃)/センマイ(牛の第三胃)/マメ(腎臓)/テール(尾)/コブクロ(豚の子宮)
◆家禽副産物や肉副産物は栄養価も高い
野生で暮らす犬やその祖先にあたるオオカミは、捕らえた獲物の食べられるところは、すべて食べていました。とくにオオカミやコヨーテなど犬に近い動物は、内臓も好んで食べるといいます。これは、内臓にはたんぱく質だけでなく、一部のビタミンやミネラルを多く含むなど、正肉とは違った栄養素が含まれているためといわれています。犬の自然な食性や栄養バランスを考えると、家禽副産物や肉副産物を摂取することは、ごく自然のことといえるでしょう。
◆家禽副産物や肉副産物の安全性は?
家禽副産物や肉副産物は、前述通り、「正肉」と定義された部分以外すべてを指しますが、それらのすべてがドッグフードに使われているというわけではありません。ドッグフードの原材料として適した内容で、かつ、清浄に処理されたもののみが使用されています。
AAFCOでは、肉副産物は殺動物由来の正肉以外の清浄な部分とされています。
ミートミール同様、家禽副産物や肉副産物も、法律のもと、安全に管理されてドッグフードに使用されています。インターネットは非常に便利ですが、中には、根拠がないものや間違った情報を流すことで、人の不安をかきたてて注目を集めようとするサイトもあるようです。
愛犬の健康を守る飼い主さんとしても、何が真実なのか、しっかりと見極められるようになりたいものですね。
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