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【獣医師監修】犬に納豆を与えても大丈夫。納豆を食べるメリットと与え方を解説

納豆は、犬の健康維持にも役立つ栄養素が豊富に含まれている食品です。人間用の納豆を与えても大丈夫ですが、ネバネバのない「犬用納豆」「犬用フリーズドライ納豆」も市販されています。犬が納豆を食べるメリットと、犬に納豆を与えるときの注意点を紹介します。

佐野 忠士 先生

犬は適量なら納豆を食べても大丈夫

納豆を箸でつかむ。
kuppa_rock/gettyimages
日本では、体によい健康効果が期待できる発酵食品のひとつとして知られている「納豆」。じつは、犬にとっても健康効果を期待できる栄養素がたくさん含まれているので、愛犬の主食のトッピングやおやつに取り入れてみるのもよいかもしれません。

納豆には独特の匂いがあることから、「犬は好まないのでは」と思う飼い主さんもいるようですが、腐敗臭のような独特の臭いのある食べ物を好む犬もいて、むしろ喜んで納豆を食べる犬も少なくないようです。
ただ、納豆のネバネバについては、好き嫌いが分かれるようです。最近は、ネバネバが苦手な犬にも与えやすいよう、乾燥させて粘り気をなくした犬用の納豆や納豆菌が含まれたおやつやふりかけも販売されています。

まずは、納豆が犬にとってどんなメリットがあるのか、与えるときの注意点も含めて紹介します。

納豆のおもな栄養素|体をつくり、維持するタンパク質が豊富

「福納豆」と書いてある紙を加えてカメラを見つめる茶色のゴールデン・レトリーバー
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
納豆に含まれるおもな栄養素 ※数値は可食部100gに含まれる成分

エネルギー190kal
水分59.5g
タンパク質16.5g
脂質10.0g
炭水化物12.1g
灰分(無機質)1.9g

文部科学省「食品データベース」https://fooddb.mext.go.jp/index.plより参照

犬が納豆を食べるメリット|丈夫な体を維持し、免疫力アップで健康をキープ

テーブルの上にある納豆入りの春巻きを、舌なめずりして食べたそうに見つめる白いチワワ
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
納豆の栄養成分のなかから、犬にとって健康効果が期待できるといわれているものをピックアップして紹介します。

ナットウキナーゼ|血液サラサラで脳循環を改善

納豆は、煮た大豆を納豆菌によって発酵させることによってできる食品です。その発酵過程でさまざまな栄養素が生成されるのですが、そのなかのひとつが「ナットウキナーゼ」というタンパク質を分解する酵素です。
ナットウキナーゼには、血のなかにできる「血栓」の主成分である「フィブリン」を溶かす作用があるので、血液をサラサラに保ち、脳血栓や脳梗塞などの予防に役立つのではといわれています。

これらの健康効果は、おもに人間についてのことですが、犬の場合にも同じ血液凝固のメカニズムがあるため、血栓形成予防や脳循環の改善などが期待できると考えられ、ナットウキナーゼを主成分とする犬用サプリメントも発売されています。しかしながら、実際には学術的に明確な根拠を示すような研究結果は発表されていません。

ビタミンK|出血を止める、骨を丈夫にする

ビタミンKは、骨にカルシウムを沈着させ、骨を丈夫にする働きがあります。また、出血があった際に血を止める凝固作用もあります。
犬は自分の腸内細菌でビタミンKを合成することができますが、それだけで十分な1日の必要量を満たすことはできません。総合栄養食を与えている場合は不足を心配する必要はありませんが、納豆からビタミンKを補うのもよいでしょう。

大豆サポニン|老化防止、免疫力アップに期待

大豆からできている納豆には、大豆に含まれる大豆サポニンという成分が多く含まれています。
大豆サポニンには、体を錆びさせる活性酸素を除去する抗酸化作用や免疫力の向上、血流の改善などの作用があるといわれています。

食物繊維|豊富な不溶性食物繊維で便秘を解消

食物繊維には、「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」の2種類があります。
水溶性食物繊維には、腸の中で糖質の吸収をゆるやかにし、食後の血糖値の上昇を穏やかにする働きやコレステロールを排出する作用があります。一方の不溶性食物繊維は、腸の中で水分を吸って大きく膨らみ、便のカサを増して腸壁を刺激。腸のぜん動運動を促すことで、スムーズな排便をサポートしてくれます。

納豆には、これら2つの食物繊維が豊富ですが、不溶性食物繊維のほうが水溶性の2倍含まれています。普段から便秘気味の犬には、納豆で便秘解消を期待できるかもしれません。

タンパク質|体をつくり、維持する。エネルギー源にも

タンパク質は犬の筋肉や臓器、皮膚などをつくり、エネルギー源にもなる大事な栄養素です。
ただ、犬にとって植物由来のタンパク質は、肉など動物性タンパク質に比べると体に吸収しにくいものです。その点、納豆は製造過程で納豆菌によって適度に分解されているので、大豆そのものを食べるより栄養を吸収しやすいメリットがあります。

マグネシウム|過剰摂取は尿石症の原因にも

納豆はマグネシウムも豊富です。マグネシウムは、心臓の健康維持や骨や歯を作るのに必要な栄養素ですが、多量に摂取するとストルバイト結石を形成しやすくなるといわれています。尿石症の既往がある犬や現在治療中の犬、そしてその他、腎臓や肝臓などに問題のある犬の場合には、マグネシウムを多く含む食べ物には注意が必要です。

大豆アレルギーの犬にはNG

納豆は大豆が原料なので、大豆アレルギーがある犬には食べさせてはいけません。大豆アレルギーがあるかどうかわからない場合は、まず少し与えてみて、下痢や嘔吐、皮膚を痒がるなどのアレルギー症状が出ないかどうか確認してから、その後も与えるかどうかを判断しましょう。

犬に納豆を与えるときの注意ポイント|味付け・薬味はなし。薬にも注意!

飼い主から納豆をもらって食べているチワワ
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
愛犬に納豆を与えるときの注意点は、以下のとおりです。

与えてよい部位

人間用に市販されている納豆を、そのまま犬に与えて大丈夫です。

納豆のネバネバが苦手で人間用の納豆を好まない愛犬に、どうしても納豆を食べさせたい場合は、ネバネバをなくした犬用納豆を利用するとよいでしょう。
犬用納豆として市販されているものは、乾燥させることでネバネバをなくしてあるので、手で触っても1粒ずつ独立していて、ごはんのトッピングやおやつに利用しやすくなっています。

犬用納豆は、水分を蒸発させた乾燥納豆と、凍結乾燥の技術を用いたフリーズドライ納豆がありますが、最近の主流はフリーズドライ納豆のようです。
高温で水分を蒸発させた一般的な乾燥に比べ、食品を真空状態にしてから気圧を下げて水分を飛ばしたフリーズドライのほうが、食品本来の栄養成分を損いにくいことから、最近の主流はフリーズドライ納豆のようです。

また、ほかにも納豆の栄養成分を凝縮させた「犬用納豆ふりかけ」や「犬用納豆菌サプリメント」「犬用納豆菌パウダー」なども販売されています。
これからのほかにも、さまざまな種類が販売されているので、愛犬の好みによって選んでみるとよいでしょう。

与えるときの適量

犬に納豆を与える場合は、体重に合わせて以下の量を目安にしてください。ただし、あくまでもカロリー上の算出値なので、主食(総合栄養食)の摂取を阻害しない量にとどめることが大切です。
また、犬の年齢や健康状態によっては、特定栄養素の過剰摂取につながることもあるので注意しましょう。

犬の体重目安1日あたりの摂取可能目安
小型(2~5kg)10g~20g(丸い小カップ1/3個~丸い小カップ2/3個)
中型(6~15kg)23g~45g( 四角いパック1/2個~四角いパック1個)
大型(20~50kg)56g~111g(四角いパック1+1/3個~四角いパック2+2/3個)

※数値は、避妊・去勢済みの犬で体重相応のおやつ(1日の総摂取カロリー目安の1割)として算出
犬用として販売されている「犬用乾燥納豆」や「犬用フリーズドライ納豆」「犬用納豆菌パウダー」などについては、商品に表示されているカロリーや栄養成分を参考に、1日の必要摂取カロリーの10%程度にとどめるようにしましょう。

調理方法

納豆についている調味液や辛子は、犬には不要なものです。ネギや青のりなど、人間が食べるときに加える薬味も、犬には不要です。犬には、味付けや薬味はなしでそのまま与えてください。

薬を飲んでいる犬は、事前に獣医師に確認を

人間は、血をサラサラにする「抗凝固剤」を飲んでいる場合、医師から納豆を食べてはいけないと指導されることもあります。。納豆を食べると、腸内に凝固作用のあるビタミンKが合成され、薬の効果を弱めてしまうからです。
心臓病などの持病があり、薬を服用している犬の場合は、納豆を与える前に必ず獣医師に確認してください。

犬に納豆を与えても大丈夫。ただし与えすぎないように!

納豆には犬の体を健康に保つ栄養素がたくさん含まれています。適度な量であれば、愛犬に納豆を与えてもよいでしょう。過剰摂取とアレルギーには気をつけながら、上手に愛犬の健康維持に役立ててください。
監修/佐野忠士先生(酪農学園大学獣医学群獣医学類准教授)
文/村田典子
※一部写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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