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【獣医師監修】犬にほうれん草を与えるときは注意が必要。与えるメリットとデメリットを解説

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栄養豊富な野菜というイメージのある「ほうれん草」。犬にとってもメリットになる栄養素が含まれている一方で、「シュウ酸」が多いため与える際には注意が必要です。愛犬の健康を守るために、ほうれん草のおもな成分の働きと与える際の注意点を正しく理解しておきましょう。

佐野 忠士 先生

犬にほうれん草を与えるときは「シュウ酸」に要注意

卓上のホウレンソウ
Lecic/gettyimages

ビタミンや鉄分が豊富で栄養価の高い野菜というイメージのある「ほうれん草」。たしかに、ほうれん草はカロテンやビタミン類(B群、C、E 、K)、鉄分やカルシウムなどが豊富に含まれています。

しかし、環境省の「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」において、ほうれん草は犬や猫に与える際に「注意が必要なもの」のひとつとして紹介されています。
その理由は、ほうれん草に多く含まれる「シュウ酸」という成分がカルシウムと結合することで、結石形成の可能性があるためです。

栄養価が高いという側面から、ほうれん草に含まれるおもな栄養素を紹介するとともに、シュウ酸など与える際に注意したい成分について、また効果的な与え方について説明します。

ほうれん草のおもな栄養素|約92%が水分、ビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富

ベージュのじゅうたんの上に腹這いになって少し首を傾げて健気な表情でカメラを見つめる茶色と白の柴犬
いぬのきもち投稿写真ギャラリー

ほうれん草に含まれるおもな栄養素 ※数値は可食部100gに含まれる成分

エネルギー18kal
水分92.4g
タンパク質2.2g
脂質0.4g
炭水化物3.1g
灰分(無機質)1.7g

文部科学省「食品データベース」https://fooddb.mext.go.jp/index.plより参照

犬がほうれん草を食べるメリット|多様なビタミン、ミネラルで健康な体をキープ

木のベンチの上に座り、舌を出している茶色のゴールデン・レトリーバー
いぬのきもち投稿写真ギャラリー

愛犬にほうれん草を与えるメリットについて、多様な栄養素の働きから見ていきましょう。

ビタミンC|皮膚・被毛の健康、免疫力アップ

ほうれん草に多く含まれているビタミンCには、コラーゲンの合成、鉄分の吸収促進、解毒やホルモン代謝のサポートをする働きがあります。さらに病気や老化の原因となる活性酸素を除去する抗酸化作用があるので、免疫力アップ、病気の予防、アンチエイジングにも役立つと考えられています。人では高濃度ビタミンCが癌の予防に効果的などといわれるようになり、非常に注目されるようになっているビタミンです。

健康な犬は体内でブドウ糖からビタミンCを合成できるため、以前は「犬にビタミンCの摂取は必要ない」と考えられていましたが、最近の研究により、「犬にもビタミンC欠乏症がある」ことがわかってきました。健康な犬でも5歳を過ぎる頃からビタミンCの合成能力が低下してくるとも考えられているので、シニア犬などには食べ物やサプリメントからビタミンCの補給を図るとよいかもしれません。

ビタミンE|抗酸化作用で若々しさをキープ

細胞を覆っている細胞膜が酸化すると、皮膚病や腎臓病、消化器疾患などの病気になりやすくなります。ほうれん草に含まれるビタミンEには、細胞膜にダメージを与える活性酸素を除いてくれる抗酸化作用があります。

ただし、体内で細胞膜を守るために働いたビタミンEは、「ビタミンEラジカル」という成分に変わってしまうことがわかっています。そこで、大事なのがビタミンEと一緒にビタミンCを摂取することです。ビタミンCが「ビタミンEラジカル」を「ビタミンE」に戻してくれるからです。

ビタミンB群|エネルギーを生成する

ほうれん草には、ビタミンB1、B2、 B6などが豊富です。これらのビタミンB群は、炭水化物・タンパク質・糖の代謝によってエネルギーを生成するのに役立ちます。

ビタミンK|凝血、骨を丈夫にする

ほうれん草に含まれているビタミンKは、骨にカルシウムを沈着させ、骨を丈夫にする働きをする栄養素。また、出血があった際に血を止める凝血作用へ影響する働きもあります。

犬は自分の腸内細菌でビタミンKを合成することができます。総合栄養食のドッグフードを主食にしていれば、ビタミンKの不足を心配する必要はありませんが、ほうれん草でビタミンKを補うのもよいかもしれません。

βカロテン|健康な皮膚や被毛、粘膜、丈夫な歯をつくる

ほうれん草の栄養素のひとつ「βカロテン」は、犬の体内で必要な分だけのビタミンAに変換されて活用されます。

ビタミンAは、犬の皮膚や被毛を健康な状態に保ち、丈夫な粘膜や歯をつくり維持するのに役立つ栄養素です。
また、βカロテンはビタミンAに変換されて働くだけではなく、それ自体が強い抗酸化作用を持っているので、体内に発生した有害な活性酸素を除去し、老化を防ぐ効果も期待されます。

鉄分|貧血の予防

ほうれん草は、鉄分を多く含む野菜として知られています。

鉄は、赤血球の中のヘモグロビンを構成する成分で、酸素を全身に運搬する働きがあります。鉄が不足すると、赤血球が十分につくれないために、全身の器官や筋肉に酸素が行きわたらなくなる「貧血」状態に。総合栄養食を与えていれば、鉄分不足を心配する必要はありませんが、ほうれん草で鉄分を補給するのもよいかもしれません。

ただ、肉や魚に含まれる「ヘム鉄」に比べると、野菜に含まれる「非ヘム鉄」は、体に吸収される率が低いため、鉄の吸収率をアップさせてくれるビタミンCを一緒に摂取するのが大事です。ほうれん草には、ビタミンCも多く含まれているので、効率的に鉄分補給が図れる野菜のひとつといえるでしょう。

マグネシウム|過剰摂取は尿石症の原因にも

マグネシウムは、心臓の健康維持や骨や歯をつくるのに必要な栄養素ですが、多量に摂取するとストルバイト結石を形成しやすくなるといわれています。ほうれん草には、マグネシウムが含まれていますので、尿石症の既往がある犬に与えるのは注意が必要です。

カルシウム|筋肉の収縮をサポート、丈夫な骨をつくる

ほうれん草は、「カルシウム」を多く含んでいる野菜のひとつです。
カルシウムは、筋肉の収縮や弛緩、つまり筋肉をスムーズに動かすのに必要な栄養素。リンとバランスをとって骨や歯の健康を保つのにも役立っています。

犬は体内でカルシウムを合成することができないため、食べ物から摂取する必要があります。昔は大型犬の成長期には多量のカルシウムを摂取させないといけない!と言われていましたが、カルシウムの過剰摂取も問題となることがわかり、その考え方はなくなりました。

主食が総合栄養食であれば、カルシウムが不足することはありませんが、ほうれん草からカルシウムを補給するのもよいかもしれません。

犬がほうれん草を食べるデメリット|シュウ酸で尿路結石のリスク

ささみジャーキーのようなおやつを加えている真っ黒なポメラニアンの顔アップ
いぬのきもち投稿写真ギャラリー

犬の体にデメリットとなる栄養素についても以下に紹介します。

シュウ酸|尿路結石症の原因に

ほうれん草が「犬に与えるのに注意が必要」といわれる大きな理由が、豊富に含まれる「シュウ酸」です。

シュウ酸は、カルシウムと結合することでカルシウムバランスを保つ役割を果たします。
一方で、シュウ酸は腎臓や膀胱、尿道などの泌尿器で結石(シュウ酸カルシウム結晶)をつくる原因となるので、尿結石症を避けるためには摂取量には気をつけなければいけません。

尿結石症を起こすと、正常に尿が体の外に排泄されなくなり、水腎症などを生じてしまったり、最悪の場合、尿毒症を起こし死亡してしまうことも考えられます。
ほうれん草を与える際には、調理時にシュウ酸対策を行い、与え過ぎないよう注意が必要です。
とくに、腎臓病を患っている犬や尿路結石症がある、過去にこれらの罹患歴のある犬には、ほうれん草を与えないほうが安心です。

ミネラル|バランスを崩すと働きが低減

ミネラルとは、食品の栄養成分表において「灰分」と表記されるもので、「カルシウム」「リン」「ナトリウム」「カリウム」「マグネシウム」「鉄」「ヨウ素」などがそれにあたります。
さまざまなミネラルが効率的に体内で働くためには、ミネラル同士の摂取バランスが大事になってきます。たとえば、骨格の構造に必要な「リン」と「カルシウム」は、「リン」を多く摂取し過ぎると「カルシウム」の吸収が阻害されてしまいます。

総合栄養食は、犬の体に必要なミネラルがバランスよく配合されているので、総合栄養食を主食としている場合、ほうれん草の与え過ぎはミネラルのバランスを崩すことになりかねません。

食物繊維|過剰摂取で便秘や下痢に

腸内環境を健康に保ち、正常な便通を維持するには、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維のバランスが大事です。ほうれん草には、不溶性食物繊維のほうが多く含まれているので、食べ過ぎると便が大きくなり過ぎたり、固くなり過ぎたりして、かえって排便が困難になる可能性があります。
また、水溶性食物繊維の過剰摂取も、下痢の原因になるので注意しましょう。

犬にほうれん草を与えるときの注意ポイント|必ず茹でてアク抜きを

木のベンチの上に腹這いになり、口を開けて舌を出し、笑っているトイ・プードル(ピンクとブルーのチェックの洋服)
いぬのきもち投稿写真ギャラリー

ほうれん草に含まれるシュウ酸は、適切な方法でアク抜きをすれば、シュウ酸の量を減らすことができます。
アク抜きの方法をはじめ、ほうれん草を愛犬に与える場合の調理法や注意点を以下に紹介します。

与えてよい部位

きれいに洗ってあれば、赤味のある根本の部分まで与えても大丈夫です。

与えるときの適量

犬にほうれん草を与える場合は、体重に合わせて以下の量を目安にしてください。ただし、あくまでもカロリー上の算出値なので、主食(総合栄養食)の摂取を阻害しない量にとどめることが大切です。
また、犬の年齢や健康状態によっては、特定栄養素の過剰摂取につながることもあるので注意しましょう。

犬の体重目安1日あたりの接種可能目安
小型(2~5kg)104g~208g(0.5束~1束)
中型(6~15kg)238g~474g(1.2束~2.3束)
大型(20~50kg)588g~1170g(3束~5束)

※数値は、避妊・去勢済みの犬で体重相応のおやつ(1日の総摂取カロリー目安の1割)として算出

調理方法

ほうれん草は、たっぷりのお湯で茹でたあと、流水で洗って水分を絞ることで、ある程度シュウ酸を除去することができます。
ただし、過剰な期待は禁物で、「公益財団法人日本医療機能評価機構」の発表によると、ほうれん草を3分間茹でた場合のシュウ酸の除去率は37%〜51%程度とのことです。

なお、電子レジで加熱したあとに、水に晒しておくことでもシュウ酸は除去できますが、茹でたときほど多くの除去はできないので、愛犬のためにはたっぷりのお湯で茹でる方法をおすすめします。

アク抜きをしたほうれん草は、犬が消化しやすいよう細かく刻んで与えましょう。

また、シュウ酸は犬の体内でカルシウムと結合すると便として体外に排出されるので、ほうれん草と一緒にカルシウムを多く含む食べ物(チーズ、小魚など)を与えることをおすすめします。反対に、動物性タンパク質や脂質が多い食品とともに与えると、犬の尿中のシュウ酸が増え、結石ができるリスクが高まってしまいます。

タンパク質がアレルギー症状を引き起こすことも

食物アレルギーは、タンパク質に免疫機能が過剰反応する現象ですが、ほうれん草にも、少量ですがタンパク質が含まれています。愛犬に初めてほうれん草を与えるときは、少し与えて体調に変化がないかどうか確認してみましょう。

犬にほうれん草を与えるときはアク抜きを忘れずに

ほうれん草はビタミン、ミネラル、食物繊維など犬の体にも役立つ栄養素がたくさん含まれている野菜です。しかし、一方で犬の尿路結石の原因となる「シュウ酸」を多く含むことから、犬に与える際には「アク抜き」が必須です。さまざまな栄養の働きを生かすために、調理のひと手間を惜しまないことが大切です。

犬には与えてはいけない食べ物や、注意したい食べ物があります。確認しておきましょう。

監修/佐野忠士先生(酪農学園大学獣医学群獣医学類准教授)
文/村田典子
※一部写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。

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