犬と暮らす
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がんで右後ろ足を丸々失い、3本足になった愛犬。現在の飼い主さんとの生活は
今回ご紹介するのは、9才のときに悪性腫瘍が発覚したくららちゃんと、くららちゃんの飼い主であるHさん夫妻。
くららちゃんに「がん」が判明したそのとき、ご家族がとった行動や決断、そして現在のくららちゃんの様子についてご紹介します。
足のつけ根にできた「肉腫」を除去するため、右後ろ足全体を切断
足のつけ根にできた悪性腫瘍(肉腫)を取り除くため、足全体を切断する大きな手術を受けたからです。
くららちゃんの右後ろ足に腫瘍が見つかったのは、9才のときでした。
ある朝、右の後ろ足を引きずって歩いているくららちゃんを見つけ、最初は「子犬のころにヘルニアの手術を受けていることもあって、『腰でも悪くしたのかな』と思いました」(Hさん)
ところが、かかりつけ医で診察してもらうと、右後ろ足に、肉腫(悪性腫瘍)がある可能性が高いことがわかりました。
すぐに別の大きな動物病院で精密検査を受けたところ、たしかに骨盤と大腿骨にはさまれるようにして、大きな肉腫ができていたくららちゃん。
肉腫は座骨神経まで巻き込んでおり、いろいろな条件を考えると「右後ろ足ごと病巣を切除することが望ましい」と、獣医師から告げられたそうです。
「必要な手術だと理解していました。でもやっぱり飼い主の気持ちとしては『すぐに切ってほしい』とは言えませんでした」と、Hさんが苦渋の決断を下した当時を振り返ります。
覚悟を決めて受けた足の切除手術は無事に成功。
術後のくららちゃんの体調は良好で、つらそうな様子もなかったといいます。
さらに、これだけの大手術だったにもかかわらず、術後とくにリハビリをするでもなく3本の足で自力で立ち、散歩にまで行けるようになったというのですから、くららちゃんのパワーには驚かされます。
「肉腫」とは、進行してしまうと命にかかわる悪性腫瘍(がん)の一種
腫瘍の根が深いという特徴があります。
かかった場合には、早期に外科手術を受けて腫瘍を切り取る必要があります。
ただし、リンパ節や内臓に転移していたり、切除が困難な場所や大きさの場合には、抗がん剤や放射線による抗がん治療が検討されることも。
シニア犬が発症しやすいといわれています。
現在はほぼ寝たきりに。天性のパワーで食欲は全開
それまで3本足で上手に歩けていたくららちゃんが突然倒れます。
原因は、左前足の足先の壊死。
腫瘍がもとで血管が詰まり、足先が壊死した可能性があるそう。
同時に骨盤内にて腫瘍の再発も判明。
さらに追い打ちをかけるように、今度はお尻に、褥瘡(皮膚組織が血行不良となって周辺組織が壊死すること)のようなものまでできてしまいます。
「足とお尻が痛むらしく、このときは寝たまま自分で顔も起こせませんでした」(Hさん)
その後の治療で足とお尻の痛みは解消したものの、結果的に自力で立てなくなってしまったくららちゃん。
それでも今は、食事をしっかり食べられるまでに回復を遂げました。
「くららの生命力には驚くばかりです。
ゴハンちょうだい!と横になりながら吠えて私を呼ぶ姿が、また愛おしいです」(Hさん)
寝たきりになった現在のお世話と工夫
くららちゃん自身は、「おなかが空いた」「オシッコが出た」というような場面で、吠えて飼い主さんを呼ぶようになったそう。
また、3本足で自立できていたころに使っていた車椅子は、2輪から4輪仕様に改造。
寝たきりになった今でも、車椅子に乗せると前足を使って動くことができるそうで、ときどき気分転換を兼ねて、車椅子に乗せて散歩をし、外の空気を味わわせるのだとか。
立って歩くことはできなくなってしまいましたが、以前と同様、可能な限りくららちゃんをアウトドアに連れだしてリフレッシュさせているというHさん夫妻。
コロナ禍ということもあり、思うようにお出かけができない状況ですが、チャンスを見て、またくららちゃんとともに大自然の中に出向きたいと話してくれました。
※各情報は2020年9月7日現在の情報です。
写真/石川正勝
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