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【獣医師監修】犬の咳の3つの原因 対応や危険な咳の見極め方

愛犬の咳が止まらないと心配になりますよね。今回は、犬の咳のチェックポイントや原因、原因別の対処法のほか、咳を症状とする病気や緊急性の高い咳の症状について解説します。いざというときに落ち着いて対処するためにも、しっかりと把握しておきましょう。

まずは原因を見極めよう! 犬が咳をしているときのチェックポイント

小型犬
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
犬の咳の原因はさまざまなので、まずは愛犬がどのような咳をしているのかチェックし、考えられる原因を探りましょう。

犬の咳の3つのチェックポイント

(1)咳をする時間帯やタイミング

運動後や興奮したときに咳をするのか、それとも安静時でも咳をするのか。また、朝や夜中など決まった時間帯にするのか、1日中しているのかなど、犬が咳をするタイミングについてチェックしましょう。運動後や興奮したときに咳をする場合は、一時的なものの可能性があります。

(2)咳のしかた

発作的に咳をするのか、繰り返し咳をするのかなどをチェックします。もしも苦しそうにしていたら、誤飲や誤食などが原因で呼吸困難になっているおそれもあるので、すぐに動物病院を受診してください。

(3)ほかの症状を伴っているかどうか

発熱や嘔吐がある、ぐったりしているなど、咳以外にも症状がないかを確認しましょう。そのほかの症状が見られる場合は、病気が原因となっているおそれがあるので、なるべく早く受診してください。

では、犬の主な咳の原因別にその特徴や対処法などを見ていきましょう。

犬の咳の原因(1)一時的(生理的)なもの

散歩している犬
いぬのきもち投稿写真ギャラリー

一時的(生理的)な咳の特徴

リードを引っ張ったときに出る「カッカッ」という乾いた咳や、吠えた後や興奮したとき、運動後に出る咳の場合は、生理的に出る一時的な咳といえます。

一時的(生理的)な咳の対処法

やさしく声がけをしたり、さすったりしながら落ち着かせ、まずは呼吸を整えてあげましょう。空気が悪かったり、乾燥していたりするようなら、抱っこをして場所を移動するのもよい方法です。
水を欲しがるようなら、むせたり吐いたりしないように、少しずつのませてあげてください。
このように対処しても改善が見られない場合は、一時的な咳ではなく、病気などが原因となっている可能性が考えられますので、なるべく早く動物病院を受診してください。

犬の咳の原因(2)誤飲・誤食

コーギー
いぬのきもち投稿写真ギャラリー

誤飲・誤食による咳の特徴

慌てて水を飲んだときにむせて出る咳や、おもちゃなどの異物を誤って飲み込み、喉や気管に詰まって激しく咳込む場合などが、これに当てはまります。誤飲や誤食による咳の場合、呼吸困難に陥ることもあるため、十分注意が必要です。

誤飲・誤食による咳の対処法

異物を詰まらせて咳込み、今にも窒息しそうな場合は、応急処置が必要となるケースも見られます。呼吸困難になっている場合、可能であれば口の中を覗き、異物が見えるようであればそっと引き出すことも必要です。また、小型犬であれば持ち上げて頭を下にして、背中を叩く、持ち上げることが難しい大型犬なら、横向きに寝かせ、肋骨の下をグッと押すようにして異物を取り出すなどの応急処置が必要です。

ただしこの方法は、一刻を争う場合のみ行い、呼吸ができているようであれば、すぐに受診することのほうが重要です。

誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)にも注意

物を飲み込むことを、嚥下(えんげ)といい、本来口から食道へ入るものが、誤って気管へ入ってしまうことを誤嚥(ごえん)といいます。誤嚥が起こると、気管に誤って入った異物やそれに付着した細菌により、肺に炎症が起こる誤嚥性肺炎を引き起こします。急激に症状が悪化し、重度であれば突然死するおそれもあるので注意深く様子を観察し、誤嚥の可能性がある場合にはすぐに受診してください。

犬の咳の原因(3)呼吸器や循環器などの病気

服を着た犬
いぬのきもち投稿写真ギャラリー

病気による咳の特徴

呼吸器や循環器などの病気が原因となって出る咳の場合は、咳と同時に病気自体が悪化していることが少なくありません。緊急度・危険度が高いケースも多いので、すぐに動物病院を受診してください。

病気による咳の対処法

動物病院を受診し、必要な処置や検査を受けましょう。

なお、咳とよく似た症状に「逆くしゃみ」というものがあります。これは主に、鼻の違和感や刺激、過剰な興奮などがきっかけになって起こる生理現象と考えられており、断続的に何度も強く息を鼻から吸い込みガーガーと特徴的な音を出す仕草が特徴です。

この逆くしゃみは、後述する気管虚脱(きかんきょだつ)などの病気が原因で出る咳と間違われやすいので注意しましょう。飼い主さんでは判別がつきにくい場合もあるので、呼吸困難になっているなどの緊急時を除いて、余裕があれば動画を撮影し、獣医師にチェックしてもらうことをおすすめします。

動物病院での主な治療法

治療は、咳の症状の緩和を目的とした治療をしますが、咳の原因になっている病気がある場合にはその治療も並行して行います。
咳の症状の緩和のためには、鎮咳剤(咳止め)や気管支拡張剤などの薬による内科的治療や、薬剤を気化して吸入させるネブライザー治療が行われ、根本の病気の治療については、それぞれの病気によって異なり、症状によっては詳しい検査なども必要になるかもしれません。

なお、治療後は獣医師の指示に従い、自宅での経過観察をしっかりと行うことが大切です。処方された薬を指示通りに飲ませることはもちろん、症状に応じた空調管理や食事管理など、必要な管理を徹底的に行ってください。

犬の咳の原因となる病気について詳しく知ろう

見上げる犬
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
ここからは、犬の咳の原因として考えられる病気について、詳しく見ていきましょう。

僧帽弁閉鎖不全症(そうぼうべんへいさふぜんしょう)

犬が発症しやすい心臓病のひとつで、主な症状としては、咳が出る、疲れやすい、運動をしたがらないなどが挙げられます。病状が進行すると「肺水腫(はいすいしゅ)」を引き起こして呼吸困難に陥ることもあるので注意しましょう。

犬種を問わず発症しますが、特に高齢の小型~中型犬に多く見られ、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルやマルチーズ、ヨークシャー・テリア、シー・ズー、チワワ、ポメラニアンなどの犬種が発症しやすいといわれています。以下の記事もあわせてチェックしてみてください。

気管虚脱

この病気は、「ゼーゼー」「ガーガー」とアヒルの鳴き声のような独特な呼吸音が出るなど、先述のとおり、逆くしゃみとよく似た症状が見られます。また、呼吸のしにくさに伴って咳が頻繁に出たりするほか、ひどくなると苦しくて動きが止まったり、逆に落ち着かずに動き回ったりすることも。さらに悪化すると呼吸困難になり、酸素不足になり舌の色が青紫色になるチアノーゼの症状があらわれることもあるので注意が必要です。

プードルやチワワ、ポメラニアン、ヨークシャー・テリアなどの小型犬に多く見られますが、大型犬でも発症するケースもあります。詳しくは以下の記事も参考にてみてください。

ケンネルコフ

ケンネルコフは「犬の風邪」ともいわれており、ウイルスや細菌の混合感染が原因で発症する症状の総称です。免疫力の低い子犬やシニア犬に多く見られ、しつこい乾いた咳や発熱などが主な症状として挙げられます。

軽症の場合は1週間前後で回復することがほとんどですが、悪化すると膿のような鼻水やくしゃみ、高熱などの症状があらわれ、命に関わることもあるので注意が必要です。原因のウイルスの中には、混合ワクチンで予防できるものもあるので、定期的な接種をおすすめします。詳しい情報は以下の記事を参考にしてみてください。

フィラリア症

フィラリア症は、フィラリア感染子虫をもっている蚊に刺されることで感染する病気です。初期症状は気がつきにくいですが、そのうち咳や息が荒くなるなどの症状が見られ、末期には散歩などの運動を嫌がる、四肢のむくみ、腹水が溜まるといった症状があらわれます。さらに進行すると、血を吐いたり失神を起こしたりして、最終的には死に至ることも。

なお、それらの症状がなくてもミクロフィラリアという感染幼虫が、血管を介して全身を回ることで、突然急激な貧血や血尿、呼吸困難などの激しい症状を起こし、急死することもあります。感染し症状が進行するととても怖い病気ですが、定期的な投薬で予防できますので、以下の記事も参考にして、しっかりと対策を行いましょう。

肺炎

犬の肺炎では、咳やくしゃみ、鼻水、「ゼーゼー」とした呼吸、呼吸の回数が多いなどの症状が見られます。重症化すると呼吸困難に陥り、チアノーゼが見られることも。

肺炎には先述した「誤嚥性肺炎」のほか、「真菌性肺炎」「細菌性肺炎」「ウイルス性肺炎」など、さまざまな種類があり、それぞれ原因が異なります。肺炎の詳しい情報が気になる場合は、以下の記事で確認してみてください。

喘息(ぜんそく)

犬の喘息の主な原因はアレルギー反応によるもので、咳や呼吸困難などの症状があらわれれるのが特徴です。そのため、アレルギーの原因物質(アレルゲン)を特定して取り除き、実際の呼吸器症状を緩和し改善する治療が重要になります。

夜間でも迷わず受診を! 犬がこんな咳をしているときは要注意

黒い子犬
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
咳の症状とともに以下のような様子が見られた場合は、呼吸困難に陥っているおそれがあります。呼吸困難を起こしている場合は、様子を見ているうちに呼吸ができなくなって、死に至るおそれもあるので、夜間でも迷わず受診してください。

咳とともにこんな症状があらわれたら要注意

  • 激しい運動後でもないのに呼吸が荒くなっている、肩で呼吸している

  • ぐったりしている

  • 歯茎や舌の色が青白くなっている

  • 呼吸が苦しそうで横になることさえできない(※)など


※この場合、犬は犬座姿勢(オスワリの姿勢)をとったり、首を伸ばして呼吸したりします。特に呼吸が苦しいときは、前足の幅を広く置き、腕を体から離して脇の下が空く独特な姿勢になることが多いです。

誤飲・誤食で窒息しそうなときは応急処置を

繰り返しになりますが、誤飲・誤食が原因で咳込み、今にも窒息しそうな場合は、応急処置が必要となる場合もあります。先ほどご紹介した応急処置を行い、速やかに動物病院を受診しましょう。

動物病院へ連れていくときの注意点

緊急で動物病院へ連れていく際は、犬の体勢を変えないよう十分注意してください。例えば、腕を犬の体の下に入れてやさしく持ち上げ、できるだけ胸元を押さえないような抱き方をする、あるいは、愛犬が体を曲げずに入れるクレートなど、底面でしっかり犬の体を支えられるようなキャリーケースを使って、胸やおなかを圧迫しないように運ぶのがおすすめです。

呼吸困難など、より緊急性が高い場合には、治療をスムーズに行うためにも、あらかじめ動物病院に連絡しておく必要があります。
愛犬を興奮させないように、飼い主さんが落ち着いて対処するように心がけましょう。

愛犬の咳が気になるときは動物病院で相談しよう

秋田犬
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犬の咳を引き起こす病気のなかには、定期的なワクチンの接種や予防薬の投与によって予防できるものもたくさんあります。また、動物病院での健康診断や日頃の健康チェックをしっかりとしておくことで、愛犬の体調の異変にも気づきやすくなるので、積極的に行うようにしましょう。

以下の記事では、ワクチンの必要性などについて詳しく解説しています。軽い咳でも“単なる咳”と見過ごさず、気になる場合は受診するようにしてください。
監修/石田陽子先生(石田ようこ犬と猫の歯科クリニック院長)
文/ハセベサチコ
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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