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【獣医師監修】犬の咳の3つの原因 対応や危険な咳の見極め方
愛犬の咳が止まらないと心配になりますよね。今回は、犬の咳のチェックポイントや原因、原因別の対処法のほか、咳を症状とする病気や緊急性の高い咳の症状について解説します。いざというときに落ち着いて対処するためにも、しっかりと把握しておきましょう。
石田 陽子 先生
石田ようこ犬と猫の歯科クリニック院長
麻布大学獣医学部獣医学科卒業
●経歴:ぬのかわ犬猫病院本院副院長/ぬのかわ犬猫病院中田分院院長 など
●資格:獣医師
●所属:日本小動物歯科研究会/比較歯科学研究会/日本獣医動物行動研究会
まずは原因を見極めよう! 犬が咳をしているときのチェックポイント
犬の咳の3つのチェックポイント
(1)咳をする時間帯やタイミング
(2)咳のしかた
(3)ほかの症状を伴っているかどうか
では、犬の主な咳の原因別にその特徴や対処法などを見ていきましょう。
犬の咳の原因(1)一時的(生理的)なもの
一時的(生理的)な咳の特徴
一時的(生理的)な咳の対処法
水を欲しがるようなら、むせたり吐いたりしないように、少しずつのませてあげてください。
このように対処しても改善が見られない場合は、一時的な咳ではなく、病気などが原因となっている可能性が考えられますので、なるべく早く動物病院を受診してください。
犬の咳の原因(2)誤飲・誤食
誤飲・誤食による咳の特徴
誤飲・誤食による咳の対処法
ただしこの方法は、一刻を争う場合のみ行い、呼吸ができているようであれば、すぐに受診することのほうが重要です。
誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)にも注意
犬の咳の原因(3)呼吸器や循環器などの病気
病気による咳の特徴
病気による咳の対処法
なお、咳とよく似た症状に「逆くしゃみ」というものがあります。これは主に、鼻の違和感や刺激、過剰な興奮などがきっかけになって起こる生理現象と考えられており、断続的に何度も強く息を鼻から吸い込みガーガーと特徴的な音を出す仕草が特徴です。
この逆くしゃみは、後述する気管虚脱(きかんきょだつ)などの病気が原因で出る咳と間違われやすいので注意しましょう。飼い主さんでは判別がつきにくい場合もあるので、呼吸困難になっているなどの緊急時を除いて、余裕があれば動画を撮影し、獣医師にチェックしてもらうことをおすすめします。
動物病院での主な治療法
咳の症状の緩和のためには、鎮咳剤(咳止め)や気管支拡張剤などの薬による内科的治療や、薬剤を気化して吸入させるネブライザー治療が行われ、根本の病気の治療については、それぞれの病気によって異なり、症状によっては詳しい検査なども必要になるかもしれません。
なお、治療後は獣医師の指示に従い、自宅での経過観察をしっかりと行うことが大切です。処方された薬を指示通りに飲ませることはもちろん、症状に応じた空調管理や食事管理など、必要な管理を徹底的に行ってください。
犬の咳の原因となる病気について詳しく知ろう
僧帽弁閉鎖不全症(そうぼうべんへいさふぜんしょう)
犬種を問わず発症しますが、特に高齢の小型~中型犬に多く見られ、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルやマルチーズ、ヨークシャー・テリア、シー・ズー、チワワ、ポメラニアンなどの犬種が発症しやすいといわれています。以下の記事もあわせてチェックしてみてください。
気管虚脱
プードルやチワワ、ポメラニアン、ヨークシャー・テリアなどの小型犬に多く見られますが、大型犬でも発症するケースもあります。詳しくは以下の記事も参考にてみてください。
ケンネルコフ
軽症の場合は1週間前後で回復することがほとんどですが、悪化すると膿のような鼻水やくしゃみ、高熱などの症状があらわれ、命に関わることもあるので注意が必要です。原因のウイルスの中には、混合ワクチンで予防できるものもあるので、定期的な接種をおすすめします。詳しい情報は以下の記事を参考にしてみてください。
フィラリア症
なお、それらの症状がなくてもミクロフィラリアという感染幼虫が、血管を介して全身を回ることで、突然急激な貧血や血尿、呼吸困難などの激しい症状を起こし、急死することもあります。感染し症状が進行するととても怖い病気ですが、定期的な投薬で予防できますので、以下の記事も参考にして、しっかりと対策を行いましょう。
肺炎
肺炎には先述した「誤嚥性肺炎」のほか、「真菌性肺炎」「細菌性肺炎」「ウイルス性肺炎」など、さまざまな種類があり、それぞれ原因が異なります。肺炎の詳しい情報が気になる場合は、以下の記事で確認してみてください。
喘息(ぜんそく)
夜間でも迷わず受診を! 犬がこんな咳をしているときは要注意
咳とともにこんな症状があらわれたら要注意
- 激しい運動後でもないのに呼吸が荒くなっている、肩で呼吸している
- ぐったりしている
- 歯茎や舌の色が青白くなっている
- 呼吸が苦しそうで横になることさえできない(※)など
※この場合、犬は犬座姿勢(オスワリの姿勢)をとったり、首を伸ばして呼吸したりします。特に呼吸が苦しいときは、前足の幅を広く置き、腕を体から離して脇の下が空く独特な姿勢になることが多いです。
誤飲・誤食で窒息しそうなときは応急処置を
動物病院へ連れていくときの注意点
呼吸困難など、より緊急性が高い場合には、治療をスムーズに行うためにも、あらかじめ動物病院に連絡しておく必要があります。
愛犬を興奮させないように、飼い主さんが落ち着いて対処するように心がけましょう。
愛犬の咳が気になるときは動物病院で相談しよう
以下の記事では、ワクチンの必要性などについて詳しく解説しています。軽い咳でも“単なる咳”と見過ごさず、気になる場合は受診するようにしてください。
文/ハセベサチコ
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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