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獣医師監修|犬のくしゃみ 止まらないときは病気が原因? 対処法を解説
この記事の監修

石田 陽子 先生
石田ようこ犬と猫の歯科クリニック院長
麻布大学獣医学部獣医学科卒業
●経歴:ぬのかわ犬猫病院本院副院長/ぬのかわ犬猫病院中田分院院長 など
●資格:獣医師
●所属:日本小動物歯科研究会/比較歯科学研究会/日本獣医動物行動研究会
犬がくしゃみをするときは、どうすればいいのでしょうか? 今回は、犬がくしゃみをするメカニズムや、心配のいらないくしゃみ、注意したいくしゃみの特徴を解説します。犬のくしゃみの原因についても解説するので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
犬がくしゃみをするメカニズム

犬がくしゃみをするメカニズムは基本的に人と同じです。ホコリが鼻に入ってきたときなどに、体がそれを外に出そうと反応してくしゃみが出ます。異物を吸い込んでしまったら排除するという、生理現象のひとつです。
くしゃみをしている犬の姿はかわいらしいですが、なかには少し危険なくしゃみもあるので要注意。次章からは、あまり心配のいらない犬のくしゃみと、注意が必要な犬のくしゃみの特徴について詳しく見ていきましょう。
あまり心配のいらない犬のくしゃみの特徴

犬がくしゃみをしたからといって、慌てて「即病院!」と思わなくてもいいでしょう。先述したように、一過性の生理現象の場合もあります。あまり心配のないくしゃみの特徴は以下の通りです。
様子見してもいい犬のくしゃみ
- 数回くしゃみをしただけで、体調に変化がない
- くしゃみの後でも元気
- かんきつ類や香辛料といった刺激物を嗅いで出たくしゃみ など
数回でおさまるくしゃみの場合、原因はホコリなどのゴミが鼻に入ったことが原因と考えられます。この場合、異物が外に出てしまえばくしゃみはおさまるので、あまり心配はいらないでしょう。
ちなみに、パグやプードル、チワワなどの小型犬によくみられる、「逆くしゃみ」と呼ばれるものもあります。鼻から勢いよく息を吸い込み、「ブーブー」と鼻を鳴らすような呼吸のことです。厳密にはくしゃみとは関係がなく、「吸気性の発作性呼吸」といわれています。
詳しい原因は解明されていませんが、多くの場合、治療が必要なものではないので、あまり気にしなくてもいいでしょう。ただし、くしゃみの頻度が増えている場合は、鼻炎などが原因のこともありますので、気になった際は獣医師に相談してみてください。
病気の可能性がある犬のくしゃみの特徴

犬がくしゃみをする状況によっては、大きな病気のサインである場合も。注意したい犬のくしゃみは以下の通りです。
注意したい犬のくしゃみ
- くしゃみと一緒にたくさんの鼻水が出ている
- くしゃみが連続して出て止まらない
- 長時間くしゃみを頻繁にし続けている
- くしゃみ鼻水だけでなく、発熱・下痢・嘔吐などの症状もみられる
- いつものくしゃみと違う・くしゃみの仕方がどこかおかしい(くしゃみではなく咳の場合が)
- 子犬のくしゃみ など
子犬は免疫力が弱いので、軽い風邪でも重症化しやすく、注意が必要です。気になる場合は、獣医師に相談しましょう。心配のないくしゃみと、そうでないくしゃみの見分け方は、少し難しいかもしれません。日ごろから愛犬の様子を観察して、ふだんのくしゃみとの違いを見極めることが重要です。
犬のくしゃみの原因とは

犬のくしゃみの主な原因は以下のとおりです。いざというときの判断材料として、覚えておくといいでしょう。
犬のくしゃみの原因:ホコリなどのゴミ
単純に鼻に異物が入ったからくしゃみをしているというケース。この場合は、こまめな掃除によって、室内の清潔を保つことが解決につながります。
犬のくしゃみの原因:花粉症などのアレルギー
花粉やハウスダストなど、特定の物質に対して過敏に反応してしまうのがアレルギーです。アレルギーの疑いがある場合は、血液検査でアレルゲンを調べることもできます。獣医師の指示に従いながら、アレルゲンを愛犬に近づけない工夫を、お世話に取り入れましょう。
犬の花粉症などのアレルギーについては、以下の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。
犬のくしゃみの原因:ウイルス感染や細菌感染
いわゆる風邪の症状です。犬がくしゃみを連発するときは、感染症による鼻炎であることが多いといわれています。くしゃみのほか、鼻水や咳が出たり、熱が出たりしている場合は、できるだけ早く動物病院を受診しましょう。
犬の風邪の詳しい情報については、下記の記事を参考にしてみてください。
犬のくしゃみの原因:副鼻腔炎(ふくびくうえん)/蓄膿症(ちくのうしょう)
くしゃみと一緒に鼻水が長引いたり、ドロッとした粘り気のある鼻水が出続けたりする場合は、副鼻腔炎(蓄膿症)が考えられます。悪化すると食欲が落ちたり、犬にとって重要な嗅覚が衰えたりするので、動物病院で診てもらいましょう。
犬のくしゃみの原因:鼻腔内腫瘍(びくうないしゅよう)
鼻の中に腫瘍ができて炎症を起こすと、くしゃみや鼻水、鼻血が出ることがあります。高齢の犬や、特に鼻血が見られる場合は、早めの受診が肝心です。
犬の鼻水については、以下の記事で詳しく解説しているので、あわせて参考にしてみてください。
犬のくしゃみの原因:歯周病(ししゅうびょう)
歯周病の症状は口の中だけにとどまりません。歯周病が進行すると、歯根部の感染が鼻腔にも広がり、くしゃみや膿っぽい鼻水、鼻血などの症状がみられることがあります。この場合、内服薬や抜歯が必要な場合があるため早めに受診しましょう。
犬の歯周病の詳しい情報については、以下の記事を参考にしてください。
犬のくしゃみが心配なときは動物病院へ

愛犬のくしゃみが心配なときは、動物病院へ行きましょう。もし、まったく心配のいらないくしゃみだったとしても、信頼できるかかりつけ医から「問題ないです」と言われたほうが安心できるはずですよ。
監修/石田陽子先生(石田ようこ犬と猫の歯科クリニック院長)
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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