1. トップ
  2. 犬と暮らす
  3. 飼い方
  4. 食事・ドッグフード
  5. 【獣医師監修】低カロリードッグフードとは?与え方や選び方のコツも

犬と暮らす

UP DATE

【獣医師監修】低カロリードッグフードとは?与え方や選び方のコツも

犬の体重管理や健康管理に役立つとして注目されている、「低カロリードッグフード」。今回は、低カロリードッグフードの定義やどんな犬に向いているのか、選び方のポイントや与え方の注意点まで解説します。

徳本 一義 先生

 獣医師
 有限会社ハーモニー代表取締役
 日本ペット栄養学会理事
 ペットフード協会新資格検定制度実行委員会委員長
 日本獣医生命科学大学非常勤講師
 帝京科学大学非常勤講師
 など

●資格:獣医師 経営学修士(MBA)

●所属:日本ペット栄養学会

続きを読む

低カロリードッグフードってどんなもの?

白いポメラニアン
sutichak/gettyimages
低カロリードッグフードとは、「通常よりも代謝エネルギーが低く抑えられたドッグフード」のことをいいます。メーカーなどによっては、「体重管理用フード」や「機能性フード」、「ダイエットフード」「ライト」などと呼ぶ場合もあります。

そもそも犬は、体の成長段階によって必要とする栄養量が変わるほか、妊娠や避妊・去勢などの生理状態によって、エネルギー消費量も変わってきます。そのため、愛犬の体の成長が止まったにも関わらず、これまでと同じように食事をさせていると、肥満や病気を引き起こすおそれがあります。

そういったトラブルを回避するために必要となってくるのが、犬のライフステージに合わせたフードの切り替えです。低カロリードッグフードは、体重や筋肉維持に必要な栄養バランスが整えられているだけでなく、カロリーを抑えながらも満腹感を与えてくれるので、犬の体重や摂取カロリーをコントロールするのに適しています。

愛犬の健康を守るためにも、必要に応じて、低カロリードッグフードなどの犬の栄養に配慮したフードを取り入れてあげましょう。

低カロリードッグフードはどんな犬に向いているの?

フードボウルをくわえる犬
Rohappy/gettyimages
ここからは、低カロリードッグフードがどのような犬に向いているのかを見ていきましょう。

肥満のためダイエットが必要な犬

低カロリードッグフードが向いている犬としてまず挙げられるのが、肥満・もしくは軽度の体重過剰により、ダイエットが必要な犬です。

肥満とは一般的に、理想の体重よりも15~20%以上体重が増加している状態のことを指します。肥満になると、さまざまな病気の発症リスクが高まるため、低カロリードッグフードなどを用いた食事管理を行い、適正体重まで戻してあげる必要があります。

ただし、病気が原因で太っている場合もあります。実際に低カロリードッグフードを用いてのダイエットを考えている場合は、必ず獣医師の判断を仰ぐようにしてください。

なお、愛犬が肥満かどうか知りたいときには、下の表にある「ボディコンディションスコア(BCS)」という指標が役立ちます。これは、犬の体を見たり触ったりすることで肥満を判断する方法です。愛犬が肥満かどうか気になる方は、一度動物病院でチェックしてもらいましょう。

肥満の犬に起きやすい健康リスク

犬が肥満になると、以下のような病気を引き起こすリスクが高くなるといわれています。

  • 足腰へ負担がかかることによる関節疾患

  • 脂肪が気道を圧迫することによる呼吸器の病気

  • 免疫機能の低下による感染症

  • 歯周病などの生活習慣病

  • 熱中症や尿石症の発症リスクの増加 など


これらの病気や疾患は命に関わるだけでなく、治療が長期化したり、費用がかさんだりするケースも多いため、肥満の兆候が見られたら、できるだけ早い対策を取ることをおすすめします。

病気のため食事管理が必要な犬

前述した病気や疾患は、肥満が発症の原因になるだけでなく、肥満によって悪化することもあります。愛犬が、これらの病気を持病に持っている場合は、ふだんから体重を維持するための食事管理を心がける必要があります。

ただし、病気によっては減量しない方がいい場合もあるので、必ず獣医師の指示を仰ぐようにしましょう。

代謝の低いシニア犬

犬は7才を過ぎてシニア期に入ると、活動量・筋肉量・基礎代謝が低下して太りやすくなります。そのため、シニア期には低カロリーな「シニア犬用」のドッグフードに切り替えるのが一般的です。

しかし、10才を超えると加齢や病気によって食べる量が減少したり、消化吸収能力が低下したりして、逆にやせてしまうことがあります。そのような場合は、カロリーや脂肪を適度に含んだフードの方が必要となってくるので、注意してください。

避妊・去勢手術を行った犬

犬は避妊・去勢手術を行うと、ホルモンバランスの変化や必要エネルギー量の低下によって太りやすくなるため、低カロリードッグフードなどを用いて、食事量やカロリー量をコントロールしてあげる必要があります。

低カロリードッグフードの選び方

ライフステージに合ったものを選ぶ

前述したように、犬の肥満予防には、ライフステージに合わせたドッグフードの見直しが重要です。

成長盛りで必要なエネルギー量が多い成長期には、少ない食事量でたくさんの栄養を摂取できる「子犬用」のドッグフードを与え、成長が一段落したら「成犬用」のドッグフードに、活動量や基礎代謝が低下する7才を過ぎたあたりからは、消化のよい「シニア犬用」のドッグフードに切り替えることを検討しましょう。

目的に合う種類のフードを選ぶ

低カロリードッグフードなどの機能性フードは、ライフステージや体の大きさだけでなく、「減量用」や「適正体重維持用」、「去勢・避妊手術後の犬用」「室内で生活する犬用」など、健康管理の際の気になるポイントに応じても種類が分かれています。フードの種類をしっかり確認して、目的に合ったものを選ぶようにしましょう。

含まれている成分や栄養素にも注意する

ドッグフードに含まれる成分や栄養素は、メーカーやフードの種類によっても異なるため、「どのような成分や栄養素が必要なのか」ということを、把握したうえで選ぶことが大切です。

例えば、ダイエットのときは重量当たりのエネルギーが高い脂肪は避ける必要がある一方で、L−カルニチンや食物繊維などの栄養素は積極的に摂っておきたいといわれているので、これらの成分や栄養素が含まれているかどうか、よく確認してみてくださいね。

「無添加」「グレインフリー」などのワードにとらわれない

日本で流通するすべてのペットフードは、「ペットフード安全法」という法律によって守られています。この法律に従って、ドッグフードの添加物は、犬が毎日摂取しても健康を害するおそれがないと科学的に認められた量しか使用されていません。

また、原材料に穀物やグルテンを使用しない「グレインフリー」や「グルテンフリー」のドッグフードは、これらの成分にアレルギーがある犬には適していますが、それ以外の犬に特にメリットはありません。逆に、原材料が限定されることで、栄養バランスの調整ができなくなることも考えられます。

犬の食事に大切なのは栄養バランスなので、「無添加」や「グレインフリー」などのワードにとらわれず、愛犬の体質に合ったフードを見つけてあげましょう。

必要に応じて療法食を与える

低カロリードッグフードは、あくまでも適正体重の維持や摂取カロリーのコントロールに適したフードのため、重度の肥満を解消するのは難しく、なかなかダイエット効果が得られないケースも少なくありません。こういった場合は、ダイエットに対応している療法食を取り入れるのも、ひとつの手です。

「療法食」とは、ある特定の病気や健康状態に応じて栄養バランスが整えられたフードのことで、獣医師の指導のもと、食事管理のために使用するものです。

ダイエット用の療法食は、カロリーを抑えても必要な栄養素を摂取できるように設計されているので、飼い主さんも食事管理しやすくなります。また、満腹感を長く保てるように工夫されているものや、肥満に関連した病気や疾患を同時に管理できるものも開発されているので、犬にとって大きなメリットがあります。

ただし、療法食のなかには、獣医師の管理の下で使用するということで極端な栄養バランスに調整されているものもあるうえ、愛犬の状態や症状の変化によっては、使用している療法食が合わなくなることもあります。飼い主さんの自己判断で与えるのは絶対に避け、必ず動物病院を受診して獣医師の判断を仰いでください。

ちなみに、「○○に配慮」「○○の健康」などとパッケージに記載されているものは、療法食とは異なるので注意してくださいね。

低カロリードッグフードを与える際の注意点

茶色のボーダーコリー
smrm1977/gettyimages
低カロリードッグフードを与える際や、低カロリードッグフードを用いてのダイエットを行う際は、以下の3つのポイントに注意しましょう。

1日分のフードの分量・必要カロリー量を守る

犬の体重管理の基本は、適正な分量・カロリー量のフードを与えることです。おやつを与えすぎている場合はそれをやめ、獣医師と相談して決めた1日の総食事量を守ることを徹底しましょう。愛犬におねだりされても余計なフードやおやつを与えないよう、飼い主さんとその家族でしっかり取り決めることも大切です。

また、フードを消化吸収するときにエネルギーも消費されるため、消費カロリーを増やすために、食事回数を増やすのもおすすめです。できれば、1日の食事は3~4回以上分けて与えるようにしましょう。

なお、減量時に必要な摂取カロリーは肥満の程度にもよりますが、「70×(体重の0.75乗)×1.0~1.4」で求めることができます。フードの量を調整するときなどは、この算出方法を参考にしてみてください。

急激な食事制限・減量を行わない

ダイエットをするときは、目標体重を設定する必要があります。目標体重は愛犬の適正体重でOKです。適正体重がわからない場合は獣医師に相談するとよいでしょう。長期的なスパンで考えると、最終目標体重だけではなく、中間目標も設定しておくと達成しやすくなります。

また、獣医師の指導のもとダイエットをする場合は、1週間につき1~3%程度の体重減少が理想といわれています。極端な食事制限やダイエットは、脱水や筋肉量の減少などの健康被害を引き起こすほか、犬の心身にストレスを与えるおそれもあるため、絶対にしないでください。

必ず定期的に動物病院で体重を測定してもらい、適切なペースでダイエットできているかを確認しながら、食事管理を行うようにしてくださいね。

適度な運動も取り入れる

ダイエットには食事管理だけでなく、消費カロリーを増やすための適度な運動が欠かせません。しかし、肥満度の高い犬の場合、体に急激な負荷をかけると心臓や関節に負担がかかって危険なため、いきなり運動量を増やさないよう注意が必要です。

まずは、ふだんの散歩に坂道のあるコースなどを取り入れて、散歩の距離や時間を徐々に延ばしてみましょう。引っ張り合いっこやモッテコイなど、おもちゃを使った室内遊びを取り入れるのもおすすめです。

適切な運動量が分からなければ、獣医師と事前に相談して決めておくと安心ですよ。

愛犬のライフステージにあった食事管理を行おう!

かわいい子犬
HannahWade/gettyimages
食事は、犬の成長や体の維持に欠かせない存在です。とはいえ、量やカロリーを気にせず与えてしまうと健康を損ねてしまうので、愛犬に合ったフードを選んだうえで、飼い主さんがしっかり食事や体重管理をしてあげることが大切です。

また、食事制限やダイエットは、正しい知識で行わないと犬に多大な負担やストレスを与えてしまうので、必ずかかりつけの獣医師に相談したうえで行いましょう。
監修/徳本一義先生(有限会社ハーモニー代表取締役)
文/宮下早希
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
CATEGORY   犬と暮らす

UP DATE

関連するキーワード一覧

人気テーマ

あわせて読みたい!
「犬と暮らす」の新着記事

新着記事をもっと見る