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【獣医師監修】低カロリードッグフードとは?与え方や選び方のコツも
犬の体重管理や健康管理に役立つとして注目されている、「低カロリードッグフード」。今回は、低カロリードッグフードの定義やどんな犬に向いているのか、選び方のポイントや与え方の注意点まで解説します。
低カロリードッグフードってどんなもの?
そもそも犬は、体の成長段階によって必要とする栄養量が変わるほか、妊娠や避妊・去勢などの生理状態によって、エネルギー消費量も変わってきます。そのため、愛犬の体の成長が止まったにも関わらず、これまでと同じように食事をさせていると、肥満や病気を引き起こすおそれがあります。
そういったトラブルを回避するために必要となってくるのが、犬のライフステージに合わせたフードの切り替えです。低カロリードッグフードは、体重や筋肉維持に必要な栄養バランスが整えられているだけでなく、カロリーを抑えながらも満腹感を与えてくれるので、犬の体重や摂取カロリーをコントロールするのに適しています。
愛犬の健康を守るためにも、必要に応じて、低カロリードッグフードなどの犬の栄養に配慮したフードを取り入れてあげましょう。
低カロリードッグフードはどんな犬に向いているの?
肥満のためダイエットが必要な犬
肥満とは一般的に、理想の体重よりも15~20%以上体重が増加している状態のことを指します。肥満になると、さまざまな病気の発症リスクが高まるため、低カロリードッグフードなどを用いた食事管理を行い、適正体重まで戻してあげる必要があります。
ただし、病気が原因で太っている場合もあります。実際に低カロリードッグフードを用いてのダイエットを考えている場合は、必ず獣医師の判断を仰ぐようにしてください。
なお、愛犬が肥満かどうか知りたいときには、下の表にある「ボディコンディションスコア(BCS)」という指標が役立ちます。これは、犬の体を見たり触ったりすることで肥満を判断する方法です。愛犬が肥満かどうか気になる方は、一度動物病院でチェックしてもらいましょう。
肥満の犬に起きやすい健康リスク
- 足腰へ負担がかかることによる関節疾患
- 脂肪が気道を圧迫することによる呼吸器の病気
- 免疫機能の低下による感染症
- 歯周病などの生活習慣病
- 熱中症や尿石症の発症リスクの増加 など
これらの病気や疾患は命に関わるだけでなく、治療が長期化したり、費用がかさんだりするケースも多いため、肥満の兆候が見られたら、できるだけ早い対策を取ることをおすすめします。
病気のため食事管理が必要な犬
ただし、病気によっては減量しない方がいい場合もあるので、必ず獣医師の指示を仰ぐようにしましょう。
代謝の低いシニア犬
しかし、10才を超えると加齢や病気によって食べる量が減少したり、消化吸収能力が低下したりして、逆にやせてしまうことがあります。そのような場合は、カロリーや脂肪を適度に含んだフードの方が必要となってくるので、注意してください。
避妊・去勢手術を行った犬
低カロリードッグフードの選び方
ライフステージに合ったものを選ぶ
成長盛りで必要なエネルギー量が多い成長期には、少ない食事量でたくさんの栄養を摂取できる「子犬用」のドッグフードを与え、成長が一段落したら「成犬用」のドッグフードに、活動量や基礎代謝が低下する7才を過ぎたあたりからは、消化のよい「シニア犬用」のドッグフードに切り替えることを検討しましょう。
目的に合う種類のフードを選ぶ
含まれている成分や栄養素にも注意する
例えば、ダイエットのときは重量当たりのエネルギーが高い脂肪は避ける必要がある一方で、L−カルニチンや食物繊維などの栄養素は積極的に摂っておきたいといわれているので、これらの成分や栄養素が含まれているかどうか、よく確認してみてくださいね。
「無添加」「グレインフリー」などのワードにとらわれない
また、原材料に穀物やグルテンを使用しない「グレインフリー」や「グルテンフリー」のドッグフードは、これらの成分にアレルギーがある犬には適していますが、それ以外の犬に特にメリットはありません。逆に、原材料が限定されることで、栄養バランスの調整ができなくなることも考えられます。
犬の食事に大切なのは栄養バランスなので、「無添加」や「グレインフリー」などのワードにとらわれず、愛犬の体質に合ったフードを見つけてあげましょう。
必要に応じて療法食を与える
「療法食」とは、ある特定の病気や健康状態に応じて栄養バランスが整えられたフードのことで、獣医師の指導のもと、食事管理のために使用するものです。
ダイエット用の療法食は、カロリーを抑えても必要な栄養素を摂取できるように設計されているので、飼い主さんも食事管理しやすくなります。また、満腹感を長く保てるように工夫されているものや、肥満に関連した病気や疾患を同時に管理できるものも開発されているので、犬にとって大きなメリットがあります。
ただし、療法食のなかには、獣医師の管理の下で使用するということで極端な栄養バランスに調整されているものもあるうえ、愛犬の状態や症状の変化によっては、使用している療法食が合わなくなることもあります。飼い主さんの自己判断で与えるのは絶対に避け、必ず動物病院を受診して獣医師の判断を仰いでください。
ちなみに、「○○に配慮」「○○の健康」などとパッケージに記載されているものは、療法食とは異なるので注意してくださいね。
低カロリードッグフードを与える際の注意点
1日分のフードの分量・必要カロリー量を守る
また、フードを消化吸収するときにエネルギーも消費されるため、消費カロリーを増やすために、食事回数を増やすのもおすすめです。できれば、1日の食事は3~4回以上分けて与えるようにしましょう。
なお、減量時に必要な摂取カロリーは肥満の程度にもよりますが、「70×(体重の0.75乗)×1.0~1.4」で求めることができます。フードの量を調整するときなどは、この算出方法を参考にしてみてください。
急激な食事制限・減量を行わない
また、獣医師の指導のもとダイエットをする場合は、1週間につき1~3%程度の体重減少が理想といわれています。極端な食事制限やダイエットは、脱水や筋肉量の減少などの健康被害を引き起こすほか、犬の心身にストレスを与えるおそれもあるため、絶対にしないでください。
必ず定期的に動物病院で体重を測定してもらい、適切なペースでダイエットできているかを確認しながら、食事管理を行うようにしてくださいね。
適度な運動も取り入れる
まずは、ふだんの散歩に坂道のあるコースなどを取り入れて、散歩の距離や時間を徐々に延ばしてみましょう。引っ張り合いっこやモッテコイなど、おもちゃを使った室内遊びを取り入れるのもおすすめです。
適切な運動量が分からなければ、獣医師と事前に相談して決めておくと安心ですよ。
愛犬のライフステージにあった食事管理を行おう!
また、食事制限やダイエットは、正しい知識で行わないと犬に多大な負担やストレスを与えてしまうので、必ずかかりつけの獣医師に相談したうえで行いましょう。
文/宮下早希
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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