1. トップ
  2. 犬と暮らす
  3. 飼い方
  4. 食事・ドッグフード
  5. 獣医師監修|無添加ドッグフードの選び方・注意点

犬と暮らす

UP DATE

獣医師監修|無添加ドッグフードの選び方・注意点

最近では、無添加ドッグフードの購入を検討しているかたも増えてきているようです。そこで今回は、無添加ドッグフードについて知っておくべきことや、無添加ドッグフードの選び方・注意点をご紹介します。

徳本 一義 先生

 獣医師
 有限会社ハーモニー代表取締役
 日本ペット栄養学会理事
 ペットフード協会新資格検定制度実行委員会委員長
 日本獣医生命科学大学非常勤講師
 帝京科学大学非常勤講師
 など

●資格:獣医師 経営学修士(MBA)

●所属:日本ペット栄養学会

続きを読む

無添加ドッグフードとは?

飼い主さんの健康志向が高まり、注目されることが増えた無添加ドッグフード。「無添加」とは、何かが添加されていないということを意味しますが、ドッグフードのパッケージに「無添加」「不使用」などと表記される場合、「ペットフードの表示に関する公正競争規約・同施行規則」の規定に従い、以下の基準のどちらかを満たす必要があります。

  • ドッグフードを作るすべての工程で、その原材料に添加物が使われていないとわかる場合
  • 『ペットフード表示のための添加物便覧』に記載された添加物を一切使用していない場合


ただし、製造工程で添加物が含まれていなければ、原材料にすでに添加物が含まれていたとしても、添加物の表示義務はありません。原材料に含まれる添加物がパッケージに記載されない点についても、覚えておくといいでしょう。

ドッグフードに添加物が使用されている理由

そもそもなぜドッグフードに添加物が使用されているのでしょうか? それには以下のような理由があります。

  • 食品の栄養成分を補うため

  • 食品を製造または加工するときに必要となるため

  • 食品を形作ったり、独特の食感をもたせたりするため

  • 食品の色や味、品質を保つため など


ドッグフードの原材料は基本的に「自然のもの」なので、どうしても栄養素にばらつきが出てしまいます。このような栄養的な問題や、製造・保存上の問題などをクリアするために、添加物は使用されているのです。

なお、日本には「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律」(通称:「ペットフード安全法」)という法律があり、この法律によって国内に流通するドッグフードの安全性は確保されています。「動物の健康に害になるような」物質がペットフードに含まれることを禁止しているため、「○○という添加物は危険」などと、極端に心配する必要はないのです。

無添加ドッグフードの選ぶときのポイント

フードを食べる犬
getty
以上のことからもわかるように、無添加ドッグフードがほかのものに比べて高品質で安全性に優れているわけではありません。しかし、素材にこだわりたいときなどには、無添加であるかどうかが参考になる場合もあるでしょう。
では、無添加ドッグフードを選ぶときは、どのような点に着目すればいいのでしょうか?

何が「無添加」なのかを確認する

パッケージに「無添加」や「不使用」などと記載する際は、「ペットフードの表示に関する公正競争規約・同施行規則」の規定に従い、「人工添加物」「香料」「保存料」「着色料」など、何が無添加・不使用であるのかを明確に表示する必要があります。
そのため、無添加ドッグフードを選ぶときはパッケージをよく見て、どんな添加物が不使用なのか、気になる物質が含まれていないかなどを確認するといいでしょう。その際、添加物の名称や目的を知っておくと便利ですので、以下の表も参考にしてみてください。

ドッグフードに含まれる主な添加物の種類

種類目的
酸化防止剤油などの酸化を防ぎ保存性を高めるBHA、BHT、ミックストコフェロール、没食子酸プロピルなど
着色料見た目を良くする、原材料がとれる季節や産地によって色にばらつきが出ないようにする赤色3号、赤色102号、赤色40号、青色2号など
甘味料甘みをつけて犬の食いつき(嗜好性)を良くするソルビトール、コーンシロップなど
発色剤細菌やカビの増殖を抑え、肉の変色を防ぐ亜硝酸ナトリウムなど
保存料ドッグフードの細菌やカビの増殖を抑えて腐敗を防ぐソルビン酸カリウムなど
保湿剤ドッグフードの乾燥を防ぐプロピレングリコールなど
香料においをつけて犬の食いつき(嗜好性)を良くする、○○フレーバーなど原材料には「香料」のみ記載され、詳細がわからないことも多い
なお、飼い主さんのなかには、酸化防止剤として使用されるBHAに「発がん性があるのでは?」などと気にするかたもいるようですが、それはラットを用いた実験で極端に大量投与した結果、ラットの前胃で発がん性が報告されたというものです。(犬に前胃はありません)

「ペットフード安全法」に基づき、ドッグフードには犬が毎日摂取しても健康を害するおそれがないと科学的に認められた量しか使用されていませんので、心配する必要はありません。
詳しくは下記の記事で解説していますので、参考にしてみてください。

主食となるドッグフードは「総合栄養食」から選ぶ

ドッグフードは目的別に、「総合栄養食」「間食」「療法食」「その他の目的食」に分類されています。そのうち、主食として推奨されているのが、「総合栄養食」と表示されているドッグフードです。

「総合栄養食」とは、新鮮な水とともに適量与えるだけで犬の栄養基準を満たし、表示された成長段階の健康を維持できるよう調整されたドッグフードのこと。そのため、主食として与える無添加ドッグフードを選ぶ際は、パッケージに「総合栄養食」と記載されたもののなかから選ぶようにしましょう。

ライフステージに合ったものを選ぶ

成長期の子犬と成長が一段落した成犬とでは、体重あたりの必要なエネルギー量や栄養バランスが異なります。そのため、無添加ドッグフードを選ぶときは、愛犬のライフステージ(年齢や肥満などの生活状態、妊娠などの生理状態)に合ったものを選ぶことが大切です。

ウエットタイプとドライタイプは特徴を比較して

ドッグフードには、ウエットタイプやドライタイプなど、食感によって種類があります。それぞれ特徴などが異なるため、愛犬の健康状態や年齢、食欲などに合わせて選ぶようにしましょう。
なお、ドライタイプはほとんどが「総合栄養食」ですが、ウエットタイプは「その他の目的食」であることも多いため、ウエットタイプのフードを選ぶ際は、特に注意深くパッケージの表示を見るようにしてください。

無添加ドッグフードを選ぶときの注意点

無添加ドッグフードを選ぶときは、以下の点にも注意が必要です。

「ヒューマングレード」という言葉に要注意

無添加ドッグフードのなかには、「ヒューマングレードの原材料を使用」などと謳っている商品もあります。「ヒューマングレード」とは一般的に「人でも食べられるグレードのもの」という意味で用いられることが多いですが、、今のところ、日本国内において「ヒューマングレード」の明確な定義や表示ルールはありません。
そもそも、日本で流通するドッグフードに有害な原材料が使用されることはありませんので、原材料が「ヒューマングレード」であるかどうかにこだわる必要はないでしょう。

「グレインフリー」「グルテンフリー」が健康にいいとは限らない

穀類全般を使用していない「グレインフリー」や、麦類に含まれるたんぱく質であるグルテンを含まない「グルテンフリー」の無添加ドッグフードもあります。飼い主さんのなかには、犬が生の穀類をうまく消化できないことや、犬の祖先であるオオカミが穀類を食べていなかったことなどから、グレイン・グルテンフリーのドッグフードのほうが健康にいいと思っているかたもいるでしょう。
しかし、“生の”デンプンは人間でもうまく消化できません。ドッグフードの原材料に使用されている穀類は、加熱調理によって消化性が高められているので、犬に与えても問題ありませんし、きちんと調理されたものであれば犬も100%消化出来るという研究があります。むしろ、穀類はドッグフードの栄養バランスを整えるために必要な栄養源ともいえます。

また、現代の犬は野生のオオカミと比べると、穀類(でんぷん)の消化能力がはるかに高いことが研究で明らかになっているため、同列に扱うことはできません。アレルギーなどでもない限り、グレイン・グルテンフリーのドッグフードにこだわらなくてもいいでしょう。

「ナチュラル」「ネーチャー」との違いを理解しておくことも大切

無添加ドッグフードと混同しやすいのが、ナチュラル系のドッグフードです。「ペットフードの表示に関する公正競争規約・同施行規則」によると、化学的合成物及び着色料を使用していないものに限り、「ナチュラル」や「ネーチャー」と表示することができるとされ、無添加ドッグフードとは定義が異なります。ちなみに、無添加とは、特定の添加物が使用されていないこと、ナチュラルとは、合成の添加物が一切使用されていないことを言います。また、栄養を加えるために用いられるビタミン、ミネラル、アミノ酸については使用している事を明記すれば、合成でもナチュラルと表記して使用可能ですので覚えておくといいでしょう。

なお、「ナチュラル」や「ネーチャー」と比較されることの多い「オーガニック」は、特定の農薬を使用していない原材料から作られていることを示す言葉です。しかし、これは人の食品のJAS法で定められているものであり、日本ではペットフードに「オーガニック」と表記することは基本的に認められていません。

ドッグフードは無添加にこだわらなくてOK。愛犬に合ったものを選ぼう

フードの横で伏せをする犬
getty
繰り返しになりますが、添加物はドッグフードの品質や安全を守るために使用されるものであり、犬の体に害を及ぼすものではありません。むしろ、添加物を一切使用せずに、栄養バランスの優れた安全性の高いドッグフードを製造するのは難しいといえるでしょう。

また、飼い主さんのなかには「国産ドッグフード=良質」というイメージがあるかたもいるようですが、先述の通り、国内で流通しているドッグフードは「ペットフード安全法」による基準や規格をクリアしたものですので、産地によって品質に差が出ることもありません。

犬の食事にとって重要なのは栄養バランスですから、愛犬のドッグフードを選ぶ際は、「無添加・国産だから安心」と考えるのではなく、「何が愛犬に合うのか」を考えることが大切です。ぜひ参考にしてみてくださいね。
監修/徳本一義先生(有限会社ハーモニー代表取締役)
※画像は本文とは関係ありません。
CATEGORY   犬と暮らす

UP DATE

関連するキーワード一覧

人気テーマ

あわせて読みたい!
「犬と暮らす」の新着記事

新着記事をもっと見る