1. トップ
  2. 犬と暮らす
  3. 健康・病気
  4. 犬が食べると危険な食べ物
  5. 【獣医師監修】犬にキャベツを与えても大丈夫。キャベツを食べるメリットと与え方を解説

犬と暮らす

UP DATE

【獣医師監修】犬にキャベツを与えても大丈夫。キャベツを食べるメリットと与え方を解説

キャベツは、犬が食べても大丈夫な野菜です。食物繊維やビタミンC、ビタミンK,葉酸、胃腸薬の成分としても知られるキャベジン(ビタミンU)などの栄養が豊富で、低カロリー。肥満が心配な愛犬の食事にも取り入れやすいといえます。犬がキャベツを食べるメリットと与え方を紹介します。

佐野 忠士 先生

犬は適量ならキャベツを食べても大丈夫

クリッピングパスを持つ白い背景に分離された半分のキャベツ
Pektoral/gettyimages
日本の食卓になじみのある野菜のひとつ、キャベツ。一般的に食物繊維やビタミンCが豊富な野菜であることはよく知られているところでしょう。基本的には、キャベツには犬が中毒を起こすような有害な成分は含まれていません。しかも、キャベツには食物繊維やビタミンCのほかにも、愛犬の健康維持に役立つさまざまな栄養素が含まれています。脂質が少なく、カロリーが低いので、主食のドッグフードと合わせた1日の必要摂取カロリーの範囲内であれば、愛犬の毎日の食事やおやつに取り入れても問題はありません。

ただし、キャベツはブロッコリーや小松菜、白菜、カリフラワーなどと同じアブラナ科の植物で、「グルコシノレート」という成分が含まれています。そのため、甲状腺に疾患がある犬にキャベツを与えるのは避けたほうが安心です。

また、キャベツに含まれているシュウ酸は尿路結石の原因になるので、過去に尿路結石を患ったことのある犬や結石が心配される犬にも、キャベツを与えるのは注意が必要です。

犬の体にとってメリットとなるキャベツの栄養素と、与える際の注意点をよく知って、愛犬の健康維持に役立てましょう。

キャベツのおもな栄養素|約93%が水分、食物繊維やビタミン、ミネラルが豊富

キャベツを口に入れて腹ばいになり、斜め目線でこちらを見ている白い犬
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
キャベツに含まれるおもな栄養素 ※数値は可食部100gに含まれる成分
エネルギー21kal
水分92.7g
タンパク質1.3g
脂質0.2g
炭水化物5.2g
灰分(無機質)0.5g

文部科学省「食品データベース」https://fooddb.mext.go.jp/index.plより参照

犬がキャベツを食べるメリット|胃腸の調子を整え、便秘を予防。免疫力アップも

毛布が敷き詰められた暖かそうなカゴに入って口にキャベツを加え、上を仰ぎ見ているトイ・プードルとスピッツのミックス
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
キャベツに含まれる栄養素のうち、犬の健康を維持するのに役立つと考えられるおもな成分を紹介します。

食物繊維|腸内環境の改善と便秘の解消

食物繊維には、「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」の2種類があります。
水溶性食物繊維は、腸の中で糖質の吸収をゆるやかにし、食後の血糖値の上昇を穏やかにする働きやコレステロールを排出する作用があります。一方、不溶性食物繊維は、腸の中で水分を吸って大きく膨らみ、便のカサを増して腸壁を刺激することで、スムーズな排便を促す働きが期待されます。

キャベツには、これら2つの食物繊維が豊富に含まれていますが、不溶性食物繊維のほうが水溶性の約3.5倍含まれているので、普段から便秘気味の犬にとくにおすすめです。
ただし、不溶性食物維を過剰に摂取すると、腸内で水を吸った便が大きくなり過ぎ、逆に便が出にくくなる心配があるので、与え過ぎないことが大切です。

キャベジン(ビタミンU)|胃腸の粘膜を保護、胃腸を丈夫に

胃腸薬の成分として知られている「キャベジン」は、別名「ビタミンU」といわれるビタミンの一種です。胃酸の過剰な分泌を抑制したり、胃腸の粘膜を保護したりする働きがあり、キャベツ以外にレタスやパセリ、トマトなどにも含まれています。胃腸を丈夫にするだけでなく、胃潰瘍や十二指腸潰瘍などの予防も期待できるので、普段から胃腸が弱い愛犬の食事に取り入れてもよいかもしれません。

ビタミンC|強い抗酸化作用で病気予防と老化防止

病気や老化の原因と考えられる活性酸素を取り除く強力な抗酸化作用をもつビタミンCが含まれています。ビタミンCは、ほかにも鉄分の吸収促進や、解毒やホルモン代謝を担う酵素のサポート、コラーゲン合成への関与など、犬の体内でさまざまに役立つ栄養素なので、愛犬の健康維持に役立つといえるでしょう。

ちなみに、犬は体内でビタミンCを合成することができるため、長く「犬にビタミン摂取は不要」と考えられてきました。しかし、最近の研究結果から犬にも「ビタミンC欠乏症」があることがわかってきました。5歳を過ぎる頃からビタミンCの合成能力が衰え始めるとも考えられているので、食べ物やサプリメントからビタミンCの補給を図るのもよいかもしれません。

ビタミンK|止血、骨粗鬆症の予防

キャベツには、骨にカルシウムを沈着させ、骨を丈夫にする働きや、出血があった際に血を止める凝血作用があるビタミンKも多く含まれています。

犬は自分の腸内細菌でビタミンKを合成することができ、普段から「総合栄養食」のドッグフードを主食にしていれば、ビタミンKが不足することはまずありません。ただし、加齢などによって合成能力が低下している場合などは、キャベツからビタミンKを補うのもよいでしょう。

葉酸|胎児や子犬の成長を促進、貧血予防にも

キャベツに含まれるビタミンのひとつに葉酸があります。ビタミンB群のひとつである葉酸は、DNAの合成に関わる栄養素で、細胞の生産や再生をサポートする働きをもっています。そのため、お腹に胎児のいる妊娠中の母犬や、成長期の犬にはとくに必要であると考えられている栄養素です。

また、葉酸は赤血球の生産にも関わっているので、不足すると貧血や口内炎の原因になります。キャベツが愛犬の貧血予防に役立ってくれるかもしれません。

犬にキャベツを与えると食糞を防げるってホント?

クレートのなかから舌を出して見つめている柴犬
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
「犬の食糞防止にキャベツが役立つ」という情報を耳にしたことはありませんか。じつは、今のところ、このことを科学的に証明する研究報告はありません。

そもそも「食糞」とは、犬が自分の排泄した便を食べてしまうこと。
その原因については、おもに以下の理由が考えられます。

  1. 栄養不足

  2. 消化器官が未発達のため、消化不良を起こし、うんちにフードの匂いが残っている

  3. 興味・好奇心・飼い主の興味を引きたい


食糞の原因が消化不良による栄養不足ならば、キャベツに含まれるキャベジン(ビタミンU)が胃腸の調子を整え、消化不良の改善が期待されるので、食糞を止めることができるかもしれません。
いずれにしても、食糞を止めるには、その原因がなんであるかを突き止めることが大事です。
食糞について詳しくは、以下の記事もお読みください。

犬にキャベツを過剰に与えると結石になる?

早くおやつちょうだいとおねだりしているシー・ズー
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
犬の結石のおもなものに「ストルバイト結石」と「シュウ酸カルシウム結石」があります。前者は、細菌感染や尿のPH(ペーハー)がアルカリ性に傾くことで結晶ができやすくなり、逆に後者はPHが酸性に傾き、シュウ酸とカルシウムが結びつくことで結石ができやすくなります。

つまり、結石を予防するには、尿のPHバランスを正常に保つことが大事なのです。そのため、体によい栄養素が含まれているからといって、毎日多量のキャベツを与えるのはよくありません。

とくに、尿路結石歴がある犬や心配のある犬には、キャベツを与える前にかかりつけの獣医師に相談してください。

甲状腺・胃腸機能などが弱い犬には与えないほうがよい

雨の合間のお散歩で、沢山走ってニコっとしているMIX小型犬
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
キャベツ、白菜、小松菜、キャベツ、クレソン、カリフラワーなど「アブラナ科」の植物には、甲状腺ホルモンの分泌を阻害する「グルコシノレート」という成分が含まれています。甲状腺ホルモンが欠乏すると、運動性の低下や無気力などを引き起こす可能性があるので注意が必要です。毎日大量にキャベツを与え続けなければ、それほど心配はないと考えられますが、すでに甲状腺機能の低下が認められる犬には与えないほうが安心でしょう。

また、キャベツにはまた、「グルコシノレート」はすりおろしたり噛み砕いたりして細胞が破壊されることで「イソチオシアネート」という辛味成分に変換されます。胃腸が弱っていると、この辛味成分の刺激が強く、嘔吐や下痢の原因になることもあるので、愛犬の体調を見ながら与えるようにしましょう。

カリウムの含有量も体に悪い という程度のものではありませんが、腎臓の機能などが衰えているワンちゃんには与える量、与え方、などかかりつけの先生にご相談するようにしてください。

犬にキャベツを与えるときの注意ポイント|短時間で加熱してから細かく刻んで

茶色いトイ・プードルの顔アップ
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
キャベツを与える場合の調理方法や注意点について紹介します。

与えてよい部位

犬にキャベツを与える場合は、体重に合わせて以下の量を目安にしてください。ただし、あくまでもカロリー上の算出値なので、主食(総合栄養食)の摂取を阻害しない量にとどめることが大切です。
また、犬の年齢や健康状態によっては、特定栄養素の過剰摂取につながることもあるので注意しましょう。
犬の体重目安1日あたりの摂取可能目安
小型(2~5kg)90g~178g(1.5枚~3枚)
中型(6~15kg)204g~407g(3.5枚~6.5枚)
大型(20~50kg)504g~1003g(8枚~17枚)

※キャベツの葉(生、大きめ)1枚=60gとして計算
※数値は、避妊・去勢済みの犬で体重相応のおやつ(1日の総摂取カロリー目安の1割)として算出

調理方法

生より加熱したほうが消化しやすくなるので、茹でるか蒸す、電子レンジでの加熱をおすすめします。ただし、ビタミンCは水に溶けやすく、熱にも弱いので、水にさらしたり加熱したりする時間は短いほうがベターです。また、茹でた場合は、お湯の中に栄養成分が流れ出ているので、茹で汁も一緒に主食のドッグフードに混ぜてあげるなど工夫するとよいでしょう。
加熱したキャベツは、消化しやすいよう細かく刻んで与えてください。

タンパク質がアレルギー症状を引き起こすことも

キャベツには、少量ですがタンパク質が含まれています。食物アレルギーは、タンパク質に免疫機能が過剰反応する現象なので、まれにキャベツでアレルギーを起こす犬も。最初はまず少量から与えてみて、皮膚の痒みや湿疹、下痢、嘔吐などが起こらないことを確認してから、その後も与えるようにしましょう。

適量なら犬にキャベツを与えても大丈夫。主食のトッピングやおやつに取り入れてみても

「いぬのきもち」のアプリユーザーに「キャベツは愛犬に食べさせてもいいか、ダメかご存知ですか?」というアンケートを行ったところ、以下の結果が得られました。
なんと、9割以上の飼い主が「犬にキャベツを与えても問題ない」と答えています。
まさに、正解。キャベツは、犬の体を健康に保つのに役立つ栄養素が豊富な野菜です。過剰摂取にならないように気をつければ、普段の主食のトッピングやおやつに活用してみるのもよいでしょう。
犬には与えてはいけない食べ物や、注意したい食べ物があります。確認しておきましょう。
監修/佐野忠士先生(酪農学園大学獣医学群獣医学類准教授)
文/村田典子
※一部写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
CATEGORY   犬と暮らす

UP DATE

関連するキーワード一覧

人気テーマ

あわせて読みたい!
「犬と暮らす」の新着記事

新着記事をもっと見る